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バレちった!

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「・・・えー。」
 カラオケボックスに入った千春達、ソラ達はエーデルと美桜を見ている、そして沈黙。

「何処から言おうか?」
「まずはエーデルさんとコンかなぁ、コン出て来ていいよ。」
 美桜はコンに言うと、頭の上にポンっと現れる。

「ミオ!そのワンコはいいのよ!隣の!隣!」
「ワンコじゃ無いよー、キツネだよ。」
「そう言う事じゃ無いのよ!」
「コン、幻術解いて。」
「はーい。」
 コンがそう言うと、エーデルは獣人に戻る。

「被り物じゃ無いよね。」
「いや、そうじゃ無いっしょ、何で人に見えてたんよ。」
「それはコンの幻術だよ。」
「幻術ぅ?!って今そのワンコ喋ってた?!」
 青空達は捲し立てる様に美桜へ問いかける。

「チハル言って良いの?」
「言うしか無いっしょー。」
「だよねー。」
 美桜は千春に確認し、説明を始める。


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「・・・と言う訳。」
 千春達は皆で大まかな経緯を青空達に説明をした。

「どう思う?」
「いや、目の前に喋ってたキツネに虎男で、喋る白蛇だよ?」
「それな、マジでしょこれ。」
 青空たちはボソボソと話しをする。

「チハル、あっちに連れて行ったらどうだ?」
「え?良いの?ハルト。」
「今更だろ、それに3人連れて行った所で何か変わるとは思えないからな。」
「変に広められるとヤバいかなーと思うんだよねー。」
「そうそう、変な研究機関とかさー、国レベルで動かれたらヤバいっしょー。」
「それは怖い!ゆっくり遊べない!」
 エンハルトが言うと千春達は悩み出す。

「チハル、言わないから連れてってよ。」
「そうそう、見てみたい。」
「うん、言わないから行きたい。」
 青空、大愛、日葵は真面目な顔で千春に言う。

「チハル、アイトネなら記憶消せるんやない?」
「え?マジ?」
「多分出来ますね、宇迦之御魂様も出来ますから。」
 ビェリーとコンがこっそりと千春に言う。

「んー、それはそれでなんかなぁ。」
「千春、とりあえず約束付けよう、この事は言わないって。」
 頼子はそう言いながら青空達を見る。

「はーい!言いませーん!」
「はーい!約束しまーす!」
「はーい!同じくー!」
 ソファーに並んで座り、手を上げながら3人は言う。

「しゃーない、一回連れて行くかぁ。」
「チハル、デート中っしょ?」
「え?あー、うん。」
「邪魔すんのアレだからさ、ウチら一回帰るわ。」
「お昼に異世界に戻るって言ってたじゃん?お泊まり私もしたいから準備してくるわ。」
「わたしもー。」
 青空達は笑顔でそう言うと、立ち上がる。

「そんじゃお昼にチハルの家で!」
「んじゃねーデート楽しんでねー。」
「ばいびー♪」
 青空達は手を振りカラオケボックスから急いで出て行く。

「・・・チハル。」
「なに?」
 美桜はマイクを持って千春に聞く。

「歌う?」
「えぇぇぇ。」
「良いじゃん、1時間借りたし残り30分歌おう!」
「こっちの歌聴かせよう!」
「それどころじゃ無いんだけど。」
「考えても答え出ないから、歌おう!」
 頼子はポチポチと機械を操作すると、アニソンを入れ、美桜と麗奈も選曲していく。

「むぅー。」
「チハル、なる様になるだろ、あまり悩むな。」
 エンハルトは千春の頭に手をポンと置き言う。

「そうですチハル様、ビェリー殿、コン殿の言った手も有ります。」
「エーデルさん聞こえてたんだ。」
「はい、耳は良い方なので。」
 エーデルは見た目に合わない可愛い虎耳をピコピコ動かす。

「わかった!もうなるようになれ!」
 千春は吹っ切れると言うよりもヤケクソ気味に言うと、選曲する。

『私の歌を聴けぇ!!!!』
 頼子は某アニメの歌をマイクで叫ぶ、エンハルト、アリンハンド、ホーキンはビックリし、エーデルは耳を塞ぎしゃがみ込んだ。


-----------------


「あースッキリ!」
「チハルとカラオケ久しぶりじゃん。」
「最近行ってなかったもんね。」
「ごめん、あっちにばっかり行ってたから。」
「それはしょうがない、私だってチハルの立場ならあっち入り浸るわ。」
 カラオケボックスから出た千春は頼子と麗奈に歩きながら話す。

「エーデルさん大丈夫?」
「大丈夫です、ちょっと耳鳴りしてますが。」
 少し歩き方がおかしいエーデルに美桜は心配しながら手を取る。

「千春どうする?戻る?」
 頼子が千春に聞くと千春はエンハルトを見る、エンハルトは通りの店を楽しそうに見ている。

「もうちょっと歩こうか。」
 頼子は千春の視線の先を見て納得する。

「そうだね、アリンさん何か気になる物ある?」
「全部気になりますが、アレは何ですか?」
 アリンハンドが指差すのを見て答える頼子。

「アレは自販機、お金入れたら飲み物出てくるんだよ。」
「アレは?」
「アレも自販機。」
「あっちの色が違うのは?」
「・・・自販機。」
「向かいにあるアレも?」
「自販機・・・ここ自販機多いな!見慣れすぎてなんとも思わなかったわ!」
 しばらく歩き、アイスを食べたり、アイトネのお土産のドーナッツを買う、そして目的地のスーパーに寄り、お菓子や調味料を買うと、一旦家に帰る事にした。

「お酒頼んだの?」
「うん、ネットで頼んだ、置き配にしたから玄関前にあるよ、多分。」
 バスに揺られ千春達は家に帰ると、青空達が待機していた。

「おかえりチハル!」
「さっきぶり!」
「待ってたよーん。」
「早いなぁ、まだお昼じゃ無いよ?」
「もうすぐじゃん。」
 千春は笑いながらお酒を持ち上げ、玄関のドアを開け皆を招く。

「それじゃお見せしまーす。」
 クローゼットの扉を開ければ、奥は広くサフィーナとサリナが寛いでいた。

「あら、チハル早かったわね。」
「ただいまサフィー、みんな手繋いで。」
 そう言って門をくぐらせ中へ招く。

「凄っ・・・。」
「いやぁ、本当なんだろうとは思ったけど・・・マジかー。」
「チハルこの人何語喋ってるの?」
「あ!忘れてたわ、ハルト、翻訳魔道具ソラ達にお願い。」
 最近はアリンハンドの趣味なのか、ブレスレット型の魔道具が多く、4人は魔道具を外しソラ達に渡すと、3人は黙って付ける。

「チハル新しいお友達?」
「うん、ひょんな事からバレた。」
 サフィーナは「チハルですもんね。」と呟くと、自己紹介をする。

「サフィーナと申します。」
「サリナと申します、チハル様の付き人をさせて頂いております。」
「付き人!すごー、マジでお姫様なん?」
「王女ね。」
「チハルの友達のソラです!」
「ダイアでーす!」
「ヒマリでーす!」
 ソラ達が自己紹介をしていると、応接間につながる扉が開く。

「もっどりましたぁぁ!・・・あれ?チハルさんもう帰ってきたんです?」
「うん、モリー何処行ってたの?」
「解体作業を見てきました、午前の部終わりそうです!」
「時間通りだねぇビェリー、ラスト出しに行こうか。」
「任せりー。」
「チハル解体って?」
 話を聞いていた青空が問いかける。

「魔物の解体だよ、ダンジョン行ってきて大量に回収したから解体してもらってんの。」
「ダンジョン!」
「魔物!?」
「マ?!見たい!」
「えぇ、別に良いけど。」
「チハル、俺たちは着替えて来る。」
「ほいほい、ビェリー、ハルト達の服お願い。」
「あいよー。」
 エンハルト達は荷物を受け取ると部屋を出て行く、千春達は荷物を置くと、ルプが寝室の方から現れる。

「千春戻ったのか、早かったな。」
「ただいまルプ!」
 千春はルプに抱き着きモフモフしながら答える。

「チハ・・チハル・・なにそのデカい犬!」
「ひぃっ!!!!」
「ぎゃぁ!!!!」
「私のペットのルプだよ、説明したっしょ、土地神の狼。」
「騒がしいな、友達か?」
「うん、同級生。」
「バレたのか?」
「バレたw」
「まぁ千春だしな。」
「まって、サフィーも言ってたよね!」
「はっはっは、で?何してんだ?」
「追加の魔物を出しに訓練所まで行こうって言ってたの。」
 千春は簡単にルプへ説明する。

「そういえばロイロは散歩に行ってたな、誰か残ってるか?」
 ルプは庭に出ると気配を探る。

「いねぇな。」
「影作れないね、どうしよう。」
「レナ、アミ達呼べるか?」
「うん、多分ねー。」
 麗奈は桜の木の上に向かってアミを呼ぶ、するとアミが飛んできた。

「呼んだよ。」
「それじゃ子供達を訓練所の上に待機させておいてくれ。」
「あ~そう言う事ね、おっけ~♪」
 そして青空達3人を連れて王宮を歩いて行く。

「すごぉ・・・。」
「ソラ凄いしか言ってなくね?」
「いや、分かる、それしか出てこない、語彙力死んだわ。」
 王宮の中を通り、3人はキョロキョロしながら風景を楽しむ、そして訓練所の入り口に到着した。

「チハルさん!」
「あ、シャリーちゃんなにしてんの?」
 王宮食堂で面倒な作業が得意なシャリーが手を振りながら千春に声を掛ける。

「解体の応援でっす!」
「おつかれさまー、終わった?」
「さっき終わりました!すっごく大変でした!」
「そっか!シャリーちゃん喜びたまえ!ビェリー!」
「ほい~、いい具合に影出来とるねー。」
 ビェリーが上を見ると黒い影が動き、地面に大きな影が出来る、そしてビェリーは最後の魔物を開いたスペースにぼとぼとと落とし、朝よりも大きな魔物の山を作り上げる。

「・・・・・へ?」
「どうしたのシャリーちゃん。」
「・・・・・え?終わりじゃないんですか?」
「ビェリーの分はこれで終わり、その後ヨリが持ってる分、その後私とサフィーの分が待ってるよ。」
「・・・・聞いてないです。」
「だろうねぇ、聞いたら逃げるっしょ。」
 シャリーはトボトボと料理人解体チームの所に戻って行った。

「すごぉ・・・。」
「すごぉ・・・。」
「すごぉぉぉ!。」
 もう青空達は凄いしか言わなくなった。

「アレが魔物で~す。」
「うん・・・見たらわかる、キショイ。」
「あんなのが居るの?この世界。」
「でも美味しいよ。」
「食べるの!?」
「もっちろん!今日のお昼は魔物肉で何か作ってあげましょー!」
 お仕事が終わったビェリーは頼子の頭の上でピロピロしっぽを振り、千春はニッコニコで青空達に言うと、また部屋に戻って行った。





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