上 下
167 / 732

ママさんズと神様!

しおりを挟む
 千春達がチョコを作っている頃、ママさんズはアイトネとお茶をしていた。

「はぁ、一息吐けたわ。」
 頼子の母、智美はコーヒーをグイっと飲むと溜息を吐く。

『メロンっていう果実なのね、とっても美味しいわぁ~♪』
「アイトネ様あちらにはメロン無いのですか?」
『敬語は要らないわ、普通に話ししてくれると嬉しいわ~。』
 美桜の母、美咲が敬語で話すとアイトネはケラケラ笑いながら答える。

『向こうにはこんなに美味しい果実は無いわ~、色々と品種改良してきたのね。』
「そうですね、日本以外に海外でもフルーツは美味しく、食べやすく研究してますねぇ。」
 麗奈の母、麗子はアイトネに言葉を返す。

「さて、皆LIMEの交換しない?」
「しましょ!来週も集まるのよね?」
「集まるというか麗奈ちゃんに付いて行く感じになるのかなぁ。」
「そうね、ウチのヨリは絶対来週も行くでしょうから。」
「旦那にはなんて言おうかしら。」
「娘たちのママ会で良いじゃない、実際そうだし?」
「そうそう、ウチのも週末好きにして良いって言えば二つ返事でOKくれるわよ。」
 智美と美咲は問題無いとウキウキだ。

「うちは行けるか微妙だなぁ~。」
「レイコの旦那厳しい?」
「厳しくは無いけどー、ほったらかしすると拗ねるのよねぇ。」
 麗子は旦那のショボンとした顔を思い出しながら苦笑いする。

『私がちょちょいと精神に魔法掛けてあげましょうか?』
 アイトネがフラペチーノを飲みながら恐ろしい事を言う。

「いや!さすがにそれはダメでしょ!」
「んー、それはちょっと気が引けるわ。」
「もういっその事話しちゃう?」
 ママさんズは、ウーーーンと唸りながら考える、するとアイトネに声を掛ける女性が現れた。

「あら、アイちゃんこっち来てたの?」
『ウカちゃん!そうなの!ヨリ達のママに誘われてフラペチーノ奢ってもらったの~♪』
 宇迦之御魂神ことウカちゃんは軽く挨拶をすると、ママさんズにも声を掛ける。

「うちのコンがお世話になってます。」
「・・・えっと・・・?」
「狐ちゃんが居たでしょ?」
「あ!うちのミオに付いてた狐!?」
「そ、私の使い、しばらく一緒にさせてあげてね。」
 そう言うと同じ席に座るウカちゃん。

「あの、神様・・ですよね?」
 元巫女の智美は若干引き気味に確認する。

「えぇ、日本じゃ宇迦之御魂神とか呼ばれてるわ。」
「えぇぇ・・・・お稲荷様じゃないですかぁ。」
「え?お稲荷様って狐の?」
 千春達と同じように狐が神様と思った美咲と麗子は智美に問いかける。

「狐は御使い様、神様はウカノミタマノカミって言うのよ。」
『ウカちゃんは何してるの?』
 ふいに現れたウカちゃんにアイトネが聞く。

「コーヒーを飲みに来たのよ。」
「まぁコーヒー店だもんね。」
「そりゃそうだ。」
「神様もコーヒー飲むのねぇ。」
「あなた達もウカとかウカノで良いわよ、長いのよあの名前、それで?何してたの?」
「来週もあっちの世界に遊びに行く為の計画を練ってました。」
 智美がウカちゃんに旦那事情を話し、うまく向こうへ行く算段を付けようと苦悩中だと話をする。

「ん~・・・そうねぇ、私も使いを向こうに連れて行ってもらってる訳だし、ちょっと協力しちゃおうかしら。」
『何かあるのかしら~?』
「大したものでは無いわよ。」
 そう言うと何もない空間を軽く掴むと手を開く。

「勾玉ですね。」
「綺麗~。」
「これは?」
 三人は勾玉を見ながらウカちゃんに聞く。

「これを持って念じながら話をすると疑わずその言葉を信じるわ。」
「ヤバいやつだ。」
「犯罪待ったなしのアイテムだ。」
「ダメな奴じゃないですか!?」
 詐欺師が喜びそうなアイテムをウカちゃんはママさんズに渡す。

「そんなに強力な物じゃないわよ、疑ってる相手には余り効かないし、あーそうなんだ、って思いやすくなる程度よ。」
「十分過ぎますけどね。」
「貸していただけるんですか?」
「えぇ、あなた達が生きている間はあなた達が好きなように使っていいわ、持ち主が消えたらその勾玉も消滅するから。」
 何でも無いと言うようにウカちゃんは言う。

「よし!これで来週も異世界に行ける!」
「ちょっと後ろめたいけどね!」
「有難うございますウカ様。」
 智美と美咲はニコニコしながら、そして麗子はウカちゃんにお礼を言う。

「あ!そうだ、アイちゃんコレ渡しておくわ。」
 そう言って出したのはスマホだ。

『やった!本当に準備してくれたのね~♪』
「えぇ、一応私のスマホの番号入れておいたから、前教えたように使ってね。」
『わかったわ~♪』
「え、神様がスマホ?」
「契約は誰がしたの?」
「ウカ様名義じゃない?」
「あ、あなた達LIMEの登録してたわよね、私のも入れておいて、何かあったらLIMEしてね。」
『私も~!トモミ!私も~!』
 日本人として普通に生活圏を確保している宇迦之御魂神ことウカちゃんはママさんズ、そしてアイトネとアドレス交換をした。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転生王女は現代知識で無双する

紫苑
ファンタジー
普通に働き、生活していた28歳。 突然異世界に転生してしまった。 定番になった異世界転生のお話。 仲良し家族に愛されながら転生を隠しもせず前世で培ったアニメチート魔法や知識で色んな事に首を突っ込んでいく王女レイチェル。 見た目は子供、頭脳は大人。 現代日本ってあらゆる事が自由で、教育水準は高いし平和だったんだと実感しながら頑張って生きていくそんなお話です。 魔法、亜人、奴隷、農業、畜産業など色んな話が出てきます。 伏線回収は後の方になるので最初はわからない事が多いと思いますが、ぜひ最後まで読んでくださると嬉しいです。 読んでくれる皆さまに心から感謝です。

幸子ばあさんの異世界ご飯

雨夜りょう
ファンタジー
「幸子さん、異世界に行ってはくれませんか」 伏見幸子、享年88歳。家族に見守られ天寿を全うしたはずだったのに、目の前の男は突然異世界に行けというではないか。 食文化を発展させてほしいと懇願され、幸子は異世界に行くことを決意する。

死に戻り公爵令嬢が嫁ぎ先の辺境で思い残したこと

Yapa
ファンタジー
ルーネ・ゼファニヤは公爵家の三女だが体が弱く、貧乏くじを押し付けられるように元戦奴で英雄の新米辺境伯ムソン・ペリシテに嫁ぐことに。 寒い地域であることが弱い体にたたり早逝してしまうが、ルーネは初夜に死に戻る。 もしもやり直せるなら、ルーネはしたいことがあったのだった。

僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?

闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。 しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。 幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。 お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。 しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。 『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』 さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。 〈念の為〉 稚拙→ちせつ 愚父→ぐふ ⚠︎注意⚠︎ 不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。

妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?

木山楽斗
恋愛
公爵家の妾の子であるクラリアは、とある舞踏会にて二人の令嬢に詰められていた。 彼女達は、公爵家の汚点ともいえるクラリアのことを蔑み馬鹿にしていたのである。 公爵家の一員を侮辱するなど、本来であれば許されることではない。 しかし彼女達は、妾の子のことでムキになることはないと高を括っていた。 だが公爵家は彼女達に対して厳正なる抗議をしてきた。 二人が公爵家を侮辱したとして、糾弾したのである。 彼女達は何もわかっていなかったのだ。例え妾の子であろうとも、公爵家の一員であるクラリアを侮辱してただで済む訳がないということを。 ※HOTランキング1位、小説、恋愛24hポイントランキング1位(2024/10/04) 皆さまの応援のおかげです。誠にありがとうございます。

転生したら死にそうな孤児だった

佐々木鴻
ファンタジー
過去に四度生まれ変わり、そして五度目の人生に目覚めた少女はある日、生まれたばかりで捨てられたの赤子と出会う。 保護しますか? の選択肢に【はい】と【YES】しかない少女はその子を引き取り妹として育て始める。 やがて美しく育ったその子は、少女と強い因縁があった。 悲劇はありません。難しい人間関係や柵はめんどく(ゲフンゲフン)ありません。 世界は、意外と優しいのです。

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

魔境に捨てられたけどめげずに生きていきます

ツバキ
ファンタジー
貴族の子供として産まれた主人公、五歳の時の魔力属性検査で魔力属性が無属性だと判明したそれを知った父親は主人公を魔境へ捨ててしまう どんどん更新していきます。 ちょっと、恨み描写などがあるので、R15にしました。

処理中です...