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風呂が無いなら帰る!

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 デザートも食べ終わりみんなは部屋で寛いでいた。

「リリお風呂ってどこ?」
「お風呂?」
「うん、お風呂。」
「有りませんわよ。」
「・・・・え?」
「水浴びするなら近くに川が有りますわ。」
「冬とかどうしてんのさ。」
「湯を沸かして拭いてますわね。」
「まーじーかー!王都はお風呂文化あるからてっきりあると思ったのになぁ!」
「えー、お風呂ないのー?」
「無いんだってさ。」
 頼子が千春とリリの会話に入ってくる。

「どうするー?チハルー。」
「朝一帰って王都で入る!」
「ロイロ最速で帰ったらどれくらいで着く?」
「今から帰るか?」
「流石に遅く無い?」
「いや、ドライアドが帰り送ろうかと言っておったからの、移動も楽しみのうちだと断ったんじゃが。」
「・・・よし帰ろう。」
 千春は立ち上がり決断する。

「それじゃドライアドを呼ぶぞ。」
「それでは私は長老様へ挨拶して来ますね。」
 ロイロはドライアドを呼び、サフィーナとサリナが長老の所へ向かう。

「ロイロどうしました?」
「ドライアド、すまんが今から王都に帰る事になった、送ってもらえるか?」
「よろしいですわよ、王都南の森にフェアリーリングを作っておきましたから。」
 帰る準備をし、サフィーナ達が戻ると森のフェアリーリングに移動する。

「それでは飛びますわね。」
「よろしくお願いします。」
 千春がお願いすると同時に景色が変わる。

「もう着いたの?」
「マ?」
 麗奈と美桜がキョロキョロと見回す。

「はい、ロイロなら数分で城まで飛べる距離ですよ。」
「おっけー!ドライアドさんありがとう!」
「いえ、リリの事よろしくお願いしますね。」
「任せて!皆んなゴンドラ出すから乗り込めー!」
 皆がゴンドラに乗り込みロイロはドラゴンに変わりゴンドラを持ち上げる。

『行くぞー!』
「ロイロよろー!」
 ロイロはあまり高度を上げず王城へ向かう。

「お、もう見えた!」
「いいな、フェアリーリング、リリは使えるの?」
「使えますわ、でも大人数での移動は無理ですの、この人数なら問題無いですわー。」
「よし!」
「千春何がヨシなのよ。」
 喜ぶ千春に頼子が聞く。

「いつでも世界樹の実取りに行けそうだなって。」
「あー、そう言う事ね。」
 王城のいつもの場所に降りて皆がゴンドラから出る。

「結局日帰りだったね。」
「楽しかったからいんじゃね?」
 麗奈が言うと楽しそうに美桜が答える。

「よし!風呂行こ!」
「「「おー!」」」
 千春達は真っ先に自分の部屋へ向かうとエンハルトが走って来た。

「チハル!帰ったんだな。」
「ただいまハルト、どうしたの?」
「どうしたも何も、出かけるなら一声掛けてから出かけろ、心配するだろう。」
「心配するようなメンバーじゃないって。」
 千春は後ろに居るメンバーを見渡す。

「何でサリナがチハルの侍女用の服を着てるんだ?」
「あ、サリナうちの侍女にして良い?」
「は?」
「わ、た、し、の、じ、じょ、に、し、て、良い?♪」
「・・・・、取り敢えず聞きたい事が色々有るな、部屋で話しを聞こうか。」
 エンハルトは妖精のリリと軍隊蜂のアミを見た後部屋へ促す、そして千春の部屋へ移動しソファーに座る。

「で?何があって何して来たんだ?」
「んーと、暇だったからロイロの誘いで妖精の村行ってー、エルフさん達に歓迎されてー、世界樹見に行ってー、水汲んだり世界樹の実を食べてー。」
「ちょっと待て、世界樹だと?!」
「うん、その後森でフルーツ狩りしてー、そのフルーツでケーキとかパフェとかジャム作った、ロイロ達は森の魔獣狩りまくってたよ、あ、お土産に魔獣が腐るほどあるよ。」
「・・・・・。」
「あと、レナが軍隊蜂のアミちゃんに名前つけちゃってさ、契約しちゃったんだよね、そんでリリも一緒に来たいって言うから連れて来た。」
「・・・・軍隊蜂だと?」
「うん、おとなしいから大丈夫だよ、あ、女王蜂らしいよアミちゃん。」
 捲し立てる様に千春が言うとエンハルトは手で目を覆い天井を見上げる。

「あ、それと世界樹の種植えてみたいから良い場所無いかな?」
「・・・チハル。」
「なに?」
「世界樹、世界樹の実、妖精関係、軍隊蜂、どれも面倒事だ。」
「そうなの?」
「あぁ、超が付く程のな、あと種って言ったが世界樹を植えるのか?」
「世界樹は生えないらしいよ、私が植えたら違う木になるから大丈夫。」
「いや、大丈夫では無いんだよなぁ。」
「植える所無い?」
「いや、まぁ有るんだが・・・まぁ良い、いやよく無いな。」
 エンハルトは頭の整理が追いつかない様だ。

「取り敢えず私たちお風呂入りたくて帰って来たから、お風呂入ってからで良い?」
「そうだな、俺も考える時間が欲しい、入って来てくれ。」
 エンハルトがそう言った後、千春達は浴室に突撃する。

「ふろー!」
「おんせーん!」
「ヒャッハー!」
「やっぱ風呂でしょー!水浴びとか無理ー!」
「サフィー達も入れば?」
「いえ、私達は後で入りますので。」
 サフィーナとモリアンは笑顔で答える。

「あれ?サリナは?」
「ハルト殿下に捕まりました、事情を聞いてるんだと思いますよ、ハルトの直近ですからね。」
「あらー、怒られて無いかな。」
「それは無いでしょう、サリナを怒ったらチハルが怒るくらい私でも分かりますもの。」
「それじゃ大丈夫かな。」
 4人はお風呂を堪能し応接間に戻るとエンハルトとアリンハンドがソファーに座り蹲っていた。

「お、アリンいらっしゃい。」
「アリンさんただいま。」
 千春と頼子がアリンハンドに声をかけるがチラッと千春を見るとため息をついた。

「なんか失礼だなー!」
「自分の胸に手を当てて考えてくださいよぉぉ。」
「うん、・・・無いね。」
「そう言う事じゃ有りませんって!」
「アリン、チハルに言っても無駄だ、自覚してないからな。」
「えー、なんかひどく無い?」
「取り敢えずアリンとも話ししたが、俺達にどうこう出来る事はないと結論は出た。」
 呆れた様にエンハルトは千春に言う。

「おっけー、種は?」
「そこのバルコニーから出た所にでも植えたら良いだろ、どれくらいの木が生えるか知らんが大木でも問題ないくらいには広いだろ。」
 広く取られた部屋の窓から外を見るエンハルト。

「サリナは?」
「今引き継ぎに行かせた、明日からサフィーナの元でチハル専属にする。」
「ありがと!ハルト大好き!」
「くっ・・・・ズルいぞそれは。」
「へへっ♪」
「それとミオ。」
「ん?!なんです?ハルトさん。」
「エーデルが正式に了承した、母上からも許可が出ている、表立って付き合ってると言っても大丈夫だ。」
「マ?!やったぁ!」
 美桜が思わぬ報告にぴょんぴょん跳ねながら喜ぶ、そして取り敢えず用は済んだとエンハルト達は部屋を出る、アリンハンドとため息を吐きながらエンハルトの自室に行き酒を呑んだ、今日の出来事を忘れる様に。






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