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「おかえりー。」
「ただいまー、ミオ何も無かった?」
「あるわけ無いじゃん、ロイロさんとエーデルさんが居るんだよ?」
「そう・・・。」
 エーデルと仲良くゴンドラの踏み台で座っている美桜を見ながら千春は答える。

「チハル王宮に戻るか?」
「うん、予定切り上げてケーキでも作るよ。」
「あー、あのクリームが付いたお菓子か。」
「うん、明日フィンレーの誕生日じゃん、誕生日ケーキ作ろうと思ってね。」
「わかった、フィンレーも喜ぶだろう。」
 ロイロがドラゴンに戻りゴンドラの上に乗る。

「ロイロオッケー!」
 ロイロは羽ばたき浮き上がる、そして王宮に向かって飛び立つ、数分で王宮に着き着陸すると馬車の管理人が来る。

「お帰りなさいませ、ロイロ様。」
「良い具合じゃった、掴む所をもう少し太くしても良いな。」
「ありがとうございます、早速改良しておきます。」
 ロイロはゴンドラの具合を確かめつつ話しをしている。

「エンハルト殿下お帰りなさいませ。」
「あぁ、何か有ったか?」
 執事がかけ寄りエンハルトに挨拶をすると、エンハルトは問いかける。

「はい、チハル王女殿下に教会の方がご挨拶にと、不在を申し上げておりました所でロイロ様が見えましたので。」
「どうする?チハル。」
「孤児院の件も有るし会うよ。」
「わかった、着替えてから行くと伝えておけ。」
「はい、了解しました。」
 執事は頭を下げるとすぐに城へ戻る。

「チハル、それでは一度部屋に戻りましょう。」
「うーぃ、ヨリ、皆んな連れてきて。」
「あぃょー。」
 皆は千春の部屋に戻り着替え寛ぐ。

「サフィー、仰々しくない?このドレス。」
「多分来てるのは教皇になったデクスター様でしょう、問題ありません、」
「そうですよ!見た目で威圧掛けるくらいで丁度良いですよ!」
 サフィーナとモリアンに着替えさせられ千春は今更じゃんと思いつつも着替えさせられる。

「はい、これでいいでしょう。」
「ぁーぃ。」
 サフィーナが満足そうに言い、千春は項垂れながら応接室に戻る。

「千春綺麗!」
「何それ!めっちゃ可愛い!」
「イイなー、ザ!王女様って感じ。」
「めんどくさいだけだよぉ~。」
 頼子、美桜、麗奈が千春を見ながら感想を言う。

「ではチハル様ご案内します。」
「あ、エーデルさんが案内してくれるの?」
「はい、護衛も兼ねてますので。」
「俺もついて行くぞ。」
 エンハルトも立ち千春の横に立つ。

「んじゃ行ってくんねー。」
「いてらー。」
「がんばー。」
「いってらー。」
 ドアを開けると執事が待っている、そして執事の後ろを3人はついて行き、来客用の応接室へ促される。

「聖女様お久しぶりで御座います、ご機嫌うるわしく。」
「こんにちは、お久しぶりです。」
 すっと立ち上がり挨拶をするデクスター、千春もニッコリと微笑んで挨拶をする。


「今日はどう言ったご用件で?」
「はい、この度私デクスターは教皇と言う立場を頂きました、これも聖女様とお会いでき、女神アイトネ様との繋がりを頂いたお陰でございます。」
 恭しく首を垂れるデクスター。

「アイトネと話しをしたんですよね?」
「はい!アイトネ様に言われた件が終わり報告を致しました所、御顕現されまして、御褒めいただきました。」
「それで、私に何を?」
「はい!この度王国を活動拠点として駐在させて頂きたく、聖女であるチハル様に許可をと思いまして。」
「そう言うのはお父様じゃ無いんですか?」
「はい、国王陛下にも許可を頂きたいと思っております、しかしながら、女神アイトネ様からも聖女チハル様に迷惑をかけるなと釘を刺されておりまして、まずは聖女様の許可を頂いてからと。」
 デクスターは何度も頭を下げながら千春に報告する。

(アイトネー、見てるー?)
((なーにー?あら、デクスターちゃんじゃない。))
(見てなかったのか。)
((いつも見てるわけじゃ無いわ、どうしたの?))
(デクスターさん王国で活動したいんだって、問題ないよね。)
((無いわよ、この子凄く心入れ替えて熱心に信仰してるもの。))
(ありがと、それじゃ許可出しとくよ、あ、後でケーキ作るから夜呼ぶね。)
((やった!楽しみにしてるわね♪))
 千春はアイトネと話しが終わりデクスターに言う。

「はい、今アイトネと話ししましたけど、問題無いので、あとはお父様とお話して貰えますか?」
「え?今話されたので?」
「はい。」
「ありがとうございます!」
「あ、あとダンジョンがある村?にも孤児院作る予定なんですけど、商業ギルドのギルマスさんと話ししてもらって良いですか?」
「はい!喜んで!」
 何処かの居酒屋店員の様な返事で返すデクスター。

「聖女様。」
「はい?」
「あと、1つお願いがございます。」
「何です?」
「聖女様のお作りになる、けーき、ぷりん、と言われる物のレシピをお教え頂きたく思いまして。」
「え?別に良いですけど、なんで?」
「はい!この度神託を持つ巫女が女神アイトネ様より選ばれまして、お供えに添える様にとの御神託を頂きました。」
「・・・はい、・・・王宮料理長に作り方聞いて下さい、いくらでも教えますんで。」
「有難う御座います!」
 今日1番の土下座レベルで頭を下げるデクスター。

「では、孤児院の方お任せしますね。」
「ははぁぁ!お任せ下さい!」
 千春と護衛で来ていたエンハルトとエーデルは部屋を出る。


「アイトネ様そんな事神託したのか?」
「あ!そうだよ!」
(アイトネー!)
((はぁい。))
(何してるのよ。)
((チハルに催促出来ないから、信者に神託はセーフだし?))
(管理者ルールってやつ?)
((そう、私がお願いすると対価をあげないといけないの。))
(あー、だから私がお菓子あげると毎回対価って言うのね。)
((そうなのよ、信者に言って貰う分はギリセーフ!))
(もー、今度から私に聞こえるように独り言呟いて、そしたら私はそんな気分でアイトネ呼ぶから、セーフっぽいでしょ?)
((はーい。))
 何となくしょんぼりな返事を聞いた千春はため息を吐く。

「どうした?」
「んー、今アイトネに聞いたら、まぁ神様的なルールで催促出来ないから神託したんだってさ。」
「そんなルールがあるんだな。」
「神様も大変だよね、お菓子くらい食べたいって言えれば良いのにね。」
 2人は可哀想だと言いながらも笑いながら部屋に戻る。

「たっだいまー!」
「おかえり!千春!」
「え?どうしたの?!その格好!」
 部屋に戻ると、頼子、美桜、麗奈の3人がドレスに着替えていた。

「チハルお帰りなさい、チハルの専属仕立て屋が来ましたので、3人のドレスも見積もってた所なんです。」
「わー!かわいー!」
「どう?チハル!」
「うん、レナめっちゃ綺麗。」
「エーデルさんどうですか?」
 美桜はエーデルの前でクルッと回る。

「とても美しいですね、ミオさんの良さが引き立てられます。」
「あ、ありがとう御座います。」
「甘い。」
「甘いね。」
「甘すぎる。」
 美桜とエーデルを見ていた3人は口から砂糖を吐く様に呟く。

「で?採寸してたの?」
「うん、本当は千春のドレスを持ってきたらしいよ。」
「へぇ・・・・初耳だよ。」
「チハル、このドレス高そうだけど、王国が買ってくれてるの?」
「いんや、確かお母様の商会でシャンプーとコンディショナー売ったお金のマージンじゃ無かったかな?」
 頼子と麗奈が千春に聞くと、千春はそう答えサフィーナを見る。

「はい、設備や改築もそこから出てますね、足りない時はチハルの口座から出すとの事でしたが、今の所出してはいません。」
「マジで?千春セレブじゃん。」
「シャンプーとコンディショナーかー、やっぱ何か考えないとだねー。」
「なになに?儲けネタ探すの?」
 入れ替わりで採寸をしながら4人はアレやこれやと儲けそうなネタ探しを話しするのであった。




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