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海鮮ばーべきゅー!

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「見てたんでしょ!」
『えぇ、おめでとうかしら?私のキスはカウントしないわよ~♪』
「もー!それで?何で降りて来たの?」
『呼ばれたから?』
「呼んでないから。」
『またまた~、お菓子もあるんでしょ?』
「あるよ、お父さんの携帯も使えるようにしてくれたし。」
『ほらー、食べましょ!』
「え?この砂浜で?暑くてクリーム溶けちゃうよ?」
『えー、ここ一帯冬にしましょうか。』
「やめて!お菓子の為に季節変えないで!」
 無茶な事を言い出すアイトネを止める。

「夜まで待てないの?アイトネ。」
『待てるけどー。』
「けど?」
『今食べたーい。』
「もー、まぁ遊び疲れたし、お昼食べてからでいい?」
『良いわよ!お昼は何食べるの?』
「海鮮バーベキュー!」
 千春はサフィーナが準備しているバーベキューコンロを指差す。

「チハル火もいい具合に準備出来たけど焼くの?」
「うん、焼いていこー!」
 エビ焼きにサザエの様な巻き貝、ハマグリの様な二枚貝にアワビを並べて行く。

「味付けは?」
「醤油とお酒とみりんかな。」
 サザエに醤油を垂らして焼いていく。

「んー、良い匂い。」
「チハルおねえちゃん!」
「ユラおかえり、ルプもありがとうね。」
「楽しかったぞ。」
 ユラの面倒を見て走り回っていたルプにお礼を言いながら料理をする。

「千春!アワビは!?」
「焼く?刺身?」
「両方!」
「おっけー、とりあえず下拵えね、洗って滑りとって。」
「はーい!私やりまーす!」
「んじゃモリーお願いね、怪我しないようにね。」
「はーい。」
 アワビやエビ、貝を次々に焼いて皆んなに出していく。

「はい、どんどん焼くからおたべー。」
「いただきまーす!」
『お菓子も良いけどコレも美味しいわねぇ。』
「アイトネはいつもお菓子だもんね、普段何食べてるの?」
『果物とかお供えされた物食べてるけど?』
「あったかい料理とかは?」
『食べないわねぇ。』
「えー、お菓子だけじゃ無くて料理の時も呼ぶよ。」
『あら、嬉しいわー。』
 アイトネは上手に切り分けながらロブスターを食べている。

「チハルも食べたら?」
 サフィーナがアワビとエビを乗せた皿を渡してくる。

「うん、ありがと。」
 エンハルトの横に座ってナイフでアワビを切っていく。

「アワビうまぁ。」
「美味しいよね、こんな贅沢な食べ方して良いのかな。」
 頼子が千春の前で同じようにアワビを食べている。

「美味しそうだな。」
「ハルトは食べた事無いの?」
「無いな、どんな味なんだ?」
「これはバターと醤油で焼いたの、はい、あーん。」
 切り分けたアワビをフォークに刺しエンハルトの口元に持っていく、ハルトは照れながらパクッと食べる。

「どう?」
「・・・うまい。」
「でっしょー!」
「あまぁぁぁぁい!!痛ぁぁ!!」
「何が甘かったの?モリー。」
 頭を押さえたモリアンに千春が聞く。

「そりはチハルたんが甘々なのでふ・・・」
「なんだ、味付け失敗したかと思ったよ。」
「どれも美味しいでふ・・・」
 うずくまったままモリアンは呟く。

「かぁー!美味い!」
「わっちアワビは初めてなんよ。」
「このエビは食いごたえあるな。」
 人外3人は海鮮を齧り付きながら絶賛している、ルプは殻ごと食べている、ロイロは酒を飲んでいた。

「ロイロそのお酒どっから出したのよ。」
「ビェリーに持たせてたからの!海鮮に日本酒は合うのー、美味い!」
「もー、程々にしてよね?」
 周りを見渡す千春は皆が笑顔で食べている姿を見て微笑む。

『チハル、デザートは?』
「そうだね、アイスにするかー。」
 タープで日陰を作っているとは言えこの世界では真夏で暑い、千春はアイテムボックスから棒アイスを出しアイトネに渡す。

「今はコレね、夜はちゃんとしたデザート出すから。」
『ありがとう~♪。』
 皆も欲しがるので全員に配り自分も食べる。

「ガシガシ君美味しいよね、暑い時って。」
「ヨリ何味?」
「コーラ、千春は?」
「ラムネ。」
 砂浜に座り2人は海を見ながらアイスを食べる。

「異世界ってもっと殺伐として危険な世界想像してたけど、何だろね、この安心感。」
「平和だよねー。」
「本当にね。」
「まぁ今いる人達が凄いからねぇ、騎士クラスの執事2人に魔道師団長、聖獣2人、ビェリーも聖獣?それに女神でしょ、敵無しじゃん。」
「話じゃサフィーさんもでしょ?」
「うん、強いらしいよ、モリーは知らないけど。」
 海から視線を皆に変え、2人は見る。

「何2人で黄昏れてるんだ?」
「ハルト、平和だねぇって話してた。」
「チハルに聞いたニホンに比べたらまだまだ問題は多いがな。」
「戦争とか争い事は無いの?」
「無いぞ、この数百年は国同士がぶつかる事も無い、空から見たらわかるだろ、この未開発の土地の広さ、他の国でも同じ事だ、自国でやる事なんて幾らでも有る。」
「そりゃそっかぁ、魔物もいるしね。」
 デザートも食べ終わりアイトネは夜にまた呼ぶ約束をして帰る、執事とサフィーナたちか片付けに入り、千春達はまた海で遊ぶ。

「あ"~づがれだ~。」
「遊び尽くした感パないよ千春ぅ~。」
「チハル、ヨリ、そんな所で寝ないで、海水を落としますからここに立って下さい。」
「はぁぁい。」
 2人はサフィーナの水魔法で洗い流され、生活魔法で綺麗にしてもらう。

「便利だにゃー。」
「便利だにぇー。」
「ほら、乾かしましたから、着替えて来て下さい。」
 サフィーナはそう言うとユラを洗いにいく。
 着替え終え、周りを見ると片付けも終わって帰るだけだった。

「どうだった?チハル、ここの海は。」
「最高!でも疲れた!」
「ヨリさん冷たいお茶です。」
「ありがとうアリンさん。」
 ユラの着替えも終わり馬車に乗り込むと千春、頼子、ユラは寝てしまう。

「どんだけ遊び疲れたんだか。」
「よく動けますよね、特にユラちゃん。」
 エンハルトとアリンハンドは寝ている3人を見ながら馬車に揺られる。

「チハル、着いたぞ。」
「はぁぁい。」
 3人を起こし部屋に戻ると皆ソファーへ崩れ落ちる。

「うっ!」
「どうしたの?ヨリ。」
「ヤバい、日焼け止め塗ったのに背中ヤバい。」
「あー、私も少しヒリヒリするね。」
「チハルおねえちゃんユラもー。」
 よく見れば肌が赤くなっている。

「ヒール」

千春は2人にヒールを掛け、自分にも掛けると赤くなっていた肌が元に戻る。

「すご~、千春回復出来たんだっけ。」
「うん、日焼け治すのは初めてだけどね、サフィー達は大丈夫?」
「少し焼けましたね。」
 千春はサフィーナとモリアンにもヒールを掛けまた座る。

「ハルト達は・・・あんま変わんないね。」
「俺は普段から外で鍛えてるからな。」
「アリンは?」
「日陰に居ましたから。」
 日焼けも治り夕食に呼ばれる、昨日と同じくエンハルト、千春、ユラは伯爵と食べご馳走になった。

「ハルト、今日はアイトネ呼んでスイーツパーティーだけど、一緒に食べる?」
「まぁ少しくらいなら食べるが、まだ食べれるのか?」
「少しならね、ユラはー、もうおねむだねぇ。」
 疲れたのとお腹いっぱいで眠そうにしているユラをエンハルトが抱きかかえる。

「あれだけ遊べばこうなるだろ。」
「1番走り回ってたもんねー。」
 部屋に着くと既にアイトネが座って待っていた。

「アイトネまだ呼んで無い。」
『でも呼ぶでしょ?』
「呼ぶけどさ、それじゃデザート置いていくから、私はお風呂に行くよ?」
「チハル洗浄魔法掛けたから着替えるだけで良いのでは?」
「サフィー違うのよ、お風呂に入って1日の疲れを取るの。」
「千春私も行くよ。」
「それじゃお酒も出しとくから、程々にね。」
 ケーキやシュークリーム、お酒を並べ千春と頼子はお風呂に行く、お風呂場まではメイドが案内をしてくれた。

「はぁー、やっぱりお風呂は入らないとねー。」
「わかるー、日本人だなーって思う瞬間よね。」
「そう言えばアリン居なかったけど。」
「うん、アリンさん今部下の人に色々指示してまとめてるらしいよ、あ、それと明日の出発を昼くらいにして欲しいってさ。」
「別に良いけどなんで?」
「一緒に王都帰るんだって。」
「へー、ふーん、へぇぇぇ?」
「もー、はいはいはい!嬉しいですよー!」
「正直ですにゃー。」
「あー、でもやっぱり心配だなー、親になんて言おう。」
「思った通り言ったらいいんじゃ無い?多分考えても答え出ないし。」
「そだねぇー・・・」
 2人はお風呂から上がり部屋に戻ると酔っ払いがいっぱい居た。

『チハル~お酒美味しいわ~。』
「おぉ、女神が酔ってる、って神様も酔うの?」
『酔えるわよ~、耐性を限界まで下げればね~。』
「下げれるんだねソレ、ヨリもデザート食べる?」
「食べる!」
「私は軽くにしとこー。」
 テーブルに座りプリンと果物たっぷりゼリーを出し食べる。

『チハル~私それ食べてな~い。』
 アイトネが寄ってくる。

「只のゼリーとプリンだよ、ケーキとか食べたでしょ?」
『それも食べたいな~、チハルとヨリに祝福あげるから~。』
「またキスするつもり?!」
『違うわよ~?ちゃんと効果のある祝福よ~?』
「どんな効果あるの?」
『チハル達には何も無いわ~、チハル達に何かしようとする人達にデバフが掛かるだけ~。』
「デバフ?何それ?」
『んっと~、チハル達に敵意を持ったら厄災が降りかかるだけよ~?』
「やめてー!ダメなやつじゃん!私達の運が上がるとかじゃダメなの?!」
『人の運気を上げるのはダメなの~、でも下げるのは条件が付けばオッケー♪』
 ニコニコしながらアイトネは説明する。

「もー、祝福いらないから、はい、おとなしくプリン食べてて。」
 プリンを渡すと酔っ払い女神はソファーに座り美味しそうに食べる。

「駄女神になってしまった。」
「威厳をどっか置いてきちゃってるね。」
 千春と頼子は駄女神を見ながらゼリーを食べた。

「それじゃ私は寝るからねー!」
「私も寝るよー。」
「おやすみなのじゃー!」
「チハルさんおやすみなさぁい!」
 皆に挨拶をし、頼子と2人で寝室に行くとルプがユラの枕になって横になっている。

「ルプいつもありがとうね。」
「好きでやってるから気にするな。」
 千春と頼子もルプにもたれ掛かり寝そべる。

「おやすみヨリ、ルプ。」
「おやすみー千春ー。」
「あぁ。」
 そして2人はあっという間に寝息を立てた。




 

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