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ドコなん?ココ(2)

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「チーン」

 晩御飯を温めなおし千春は晩御飯を食べ始める。

「はぁ・・・・なんなん?・・・・モグモグ」
(お風呂どうしょかなー、ご飯食べた後って言っちゃったし、なんなんか気になるし先に話してからにするかなぁ)
 取りあえず晩御飯を、と言って扉を閉め晩御飯の続きを食べているが扉を開けたまま食べようしたら向こうから丸見えであった為一度閉めた、閉めた後消えたかなーともう一度少し開いてみたが繋がったままであった為溜息をつきつつ、レンチンである。

(さっきのおっちゃん死んじゃったのかなー、生命力使いつくしたみたいな事いってたから逝っちゃったんだろうなぁ・・・やだなーすぐソコで人が死んだとか・・・夢に出るわ!)
 晩御飯を食べ終わり食器を洗い、水切りにおいて・・・ルーチンワークなので向こうの事を考えながらも手は動かしている、悶々と考えても訳が分からないのでクローゼットのドアをまた開ける。

(居るよねーw)
「あ、お食事終わりましたか?」
 にこやかな笑顔で話しかけてきたイケメンローブ、いやローレルだ。

「はい、食べ終わったので分かる事だけでも聞いておこうかなーと思いまして」
「そうですね、こちらも分かる所まではお話し出来ますので、あと此処ではアレなので別のお部屋でお話ししましょうか。」
 そう言われ異世界の部屋へ入る千春。

(あっ!)
 急いで後ろを振り向きクローゼットの扉の方へ手を入れる。

「はぁぁ良かったぁぁ」
「どうしました?」
「いや、こっちに入ったら戻れなくなるとかナイヨネ・・・と、確認です。」
「そういう可能性も在りましたか、いや、先ほど半身でしたね、此方も気付かず呼んでしまって申し訳ありません、とりあえず私の部屋でお話を。」
 そう言うと、先を進むローレル。

(うわぁ・・・王宮ってすっげー)
 思わずお上りさんのようにキョロキョロと見て回る、日本のお城は見学で中に入ったことは有るが、洋風のお城なんて外見を写真で見たくらいの千春は田舎者のお上りさんのようになっていた。

「ココに王様とか王子様とか住んでるんですよね?」
 千春は当たり前の様な事を質問してみる。

「はい、王宮と言っても宮殿の方にお住まいで、こちらは警備等の者が待機している場所ですね、そんなに遠くはないですが王族の方は一部を除いてこちら側には来られる事はほぼ無いですよ」
(なんか・・一部を除いてって強調してたけど誰か来てんだろうなー。)
「はぁ、そうなんですねー。」
「こちらへどうぞ。」
 他よりも少し立派な扉の前で立ち止まりそう言うとドアを開けた。

「うぁぁ・・・あ?」
 机と本棚がありテーブルとソファー、豪華では無い、思ったよりもシンプルで落ち着きがあるが、質素な部屋であった。

「そちらにお座りください。」
 にっこりしながら手を向けるローレル。

「あ、有難うございます。」
 三人掛けくらいのソファーへ座る、ちょっと固いが作りが良いのか座り心地は良い。

「では改めて自己紹介を、王宮師団長のアリンハンド・ローレルと申します。」
「えー藤井千春です、あー藤井が苗字です、千春って呼んで頂ければいいので。」
「家名が有るんですね、貴族の方でしたか。」
「え?いえ、こちらの世界?ではみんな苗字ありますよ、平民です平民!」
「そうでしたか・・・さて、どこから話しましょうか、とりあえずはザクエル・・扉を召喚した男ですが、魔法師団の一員で第二副師団長と言う肩書なのです。」
 ローレルは一息吐く、そして話を続けた。

「どうも国家転覆レベルでの事を仕出かすつもりだったようですね、先ほど待っている間に色々と調べる時間がありましたので、持ち物や本や手帳等を確認させました、流石に細かい事までは把握出来ていませんが、あの召喚自体が異世界、しかも魔界か地獄に扉をと言う事だったようです。」
「魔界とか地獄とかあるんですか?」
 びっくりして聞き直す千春、そんな世界に繋げられては安心出来るはずもない。

「いえ、繋げるつもりだっただけで、実際にあるかどうかなんて分かりません、御伽噺のレベルですからね、でもチハルさんの世界・・・異世界になりますが、そんな世界に繋げられるのであれば可能なのかもしれませんね。」

(ほえええええ)

「そして、先ほども少しお話しましたが、あの召喚した扉ですね、魔法で打ち消すか魔力が消えるまで放置と言う事になるのですが、魔法で打ち消せないように魔法陣に仕込みまでは見つけまして・・・無理して消しますと付近一帯吹き飛びそうなんですよ・・・。」
「えぇぇ・・・ヤバないですかそれ。」
「えぇ、ヤバ?そうですねとても危険です、仕込みを消しつつ魔法陣を消す、というやり方も無い事は無いのですが・・・すこーし時間が掛かりそうで。」
「どれくらいなんです?」
「魔力が消えてしまうくらいは・・・。」
「少しちゃうやん!!!!」
 思わず突っ込みを入れてしまうくらい、どうしょうもないという事は分かった千春。

「まぁいいよ、こちら側からは入れないっぽいし、扉閉めてたら問題ないんですよね?」
「はい、閉まってる時に何人か扉を触らせてみましたが触れませんでした、此方からの移動や接触は無理ですから問題は無いかと思いますね、ただ魔法陣を破壊した時の衝撃はどうなるかは・・なので魔法陣を消す方向はほぼ無しという事で。」
「分かりました・・・・・で、一つ疑問があるんですけど・・・。」
「なんですか?」
「クローゼットの中身何処行ったんです?」
「・・・ああ~~~~・・・多分・・・多分ですけれども、扉自体に魔法が掛かっているので裏っ側といいますか、扉を反さず側面から開ければ取り出せるかと・・・。」
「それって・・・クローゼットの横に穴開けろと?」
「・・・はい。」

(無理やん・・・よかったぁ制服椅子にひっかけといて。)

「わかりました、しばらくクローゼットの中身は諦めときます、開けれそうだったら横からアタックしてみます。」
「申し訳ありません、此方の者がこんな事態を起こしてしまい、王宮の方にも連絡が入れて在りますので、後日そちらでのお話も出来たらと思っております、ご都合の方とか、そういった事は・・・。」
「えーっと平日は学校なので土日祝日ならオッケーですよ。」
「ドニチシュクジツ?とは休息日的な物ですか?」
「そうですそうです、今日は木曜日なので明日学校行ったら次休みになりますね。」
「二日後という事ですね、あ、そちらの時間とか大月の間隔はどういった感じなんでしょうか・・・。」
 そして地球の1年が12か月で、365日、1日24時間、此方の世界は1年12か月、1か月が30日の12か月、こちらでいう年末年始で+5日と365日で変わらず時間も24時間。
 現在夜の2鐘がなり夜の9時過ぎと言う事、ほぼ日本の時刻と変わらない、扉の召喚時にそういった指定が有ったのかは分からないが同じという事は予定を組むのにも助かると千春は考える。
 しかし日本は今秋も終わり冬になろうかと言うのに、こちらはもうすぐ夏だという、そしてしばらく話をしてふと千春が欠伸をしつつ叫んだ。

「うわああ!今何時!?お風呂も入ってないし宿題してない!!!!ちょっと今日は帰るので!明日また話しましょう!そうしましょう!そうしてください!!!!」
「あっ!すみません!では明日!今日召喚された時間帯あたりでお待ちしてよろしいですか!?」
「それでお願いします!」
 話始めて2時間ほど地球と異世界の違いを話していた、そう日付が変わる時間であった。


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「やっべえ宿題は明日よりちゃんに写させてもらってお風呂速攻入って・・・やべー寝れるかなー!こんな事あって寝れるきがしなああああい!!!!」
 日本に戻った千春は1人で騒ぐ、そして明日の支度を始めた。




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