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G.F. - 大逆転編 -
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力の籠った視線をお互いに交わす、《Cue&Real》のリーダーの荒井美里さんと…自分たち《Peace prayer》のリーダーの浅倉海音さん。
感情的に声を荒げた荒井さんに対し、海音さんは少し慌てながらも話し方は落ち着いて、荒井さんに注意するように言い返した。
『ちょっと、止めてよ…大声出さないで。騒いだら運営の人が来ちゃうって!』
《T.S.S.D/Top Secret Sparkle Dolls》のサブリーダーの片山桃香さんも、海音さんに続いて荒井さんを優しく言い宥める。
『ね、ねぇ美里ちゃん。それはこの子の言うとおりじゃない?大声出すのは止めたら…?』
『はぁ?桃香…私のほうが悪いって言いたいの…?』
『…そうじゃないけど…けど…』
突然の事態に、詩織も海音さんの左隣へと急ぎ、騒動の渦中へと駆け入った。
『まっ、待って!海音ちゃんが手を放すから…だからもう大声は出さないで』
詩織は海音さんと見合って、海音さんの左手にそっと触れ…そしてあの大きな目で、詩織は荒井さんをじっと見た…。
『…ふぅん…そぅ。んまぁ…じゃあわかった。もう大声出さないでいてあげる。だから手を放して離れて…私から離れて!』
『!』
言われたように、海音さんは慌てて両手を放し…一歩下がって、荒井さんと片山さんから離れた…。
詩織も海音さんに続いて一歩下がる。
『手を放してあげたんだから…それ以上、この控え室に入って来ないでよね…』
『はぁ?なんで私があなた達みたいな、二流アイドルグループの指図を聞かなきゃならないの?』
『指図じゃない!今のは私たちからのお願いなの!だからお願い。そこから一歩も入って来ないで!』
『ここは私たちの控え室なの。入らないでって言う権利くらいあるでしょ!』
また海音さんは、荒井さんや片山さんと激しい視線をバチバチと交わらせている…。
詩織も負けじと言い返し、二人をじっと見ている…。
…そんな急に始まった挨拶騒動のなか…僕は海音さんや詩織と《Kira♠︎m》のアイドルグループの子たちとの言い合いから視線を外し、やや冷静に《ピプレ》の他のメンバーの子たちの様子を見守るように注視してた…。
明日佳ちゃんと心夏ちゃんは互いに寄り添って、手を握り合い…この騒動に少し怯えてるのが見て解った。
というか…誰が見たって解るぐらい、2人の表情は怖くて強張ってる…こういう騒ぎの場面はとても苦手のよう。
優羽ちゃんと千景ちゃんは並んで立ち、詩織の言葉を守って背後に雫ちゃんを隠している。
明日佳ちゃん達ほどではないけれど…表情は固く、緊張している様子…。
今も落ち着いて、状況把握を続けていた僕は…あることを思い返していた…。
…夕紀さんの話だと…騒動のきっかけとなったあの夜には…《Kira♠︎m》の荒井美里さんと…片山桃花さんと…その他に、グループ所属の子たちが数人…それと、もう一人の重要人物がいたはずなんだ…。
それで相手は10人ぐらい居たんだって…。
なのに…その重要人物の一人が、今ここに来ていないんだ…。
ここに来てない、その一人というのは…あのグループのリーダーの子。
HoneyMaidsの藤川舞莉さん…。
それが…僕の頭の片隅に引っ掛かってて…さっきから何故か凄く気になってる、というか…。
なんだろう…変な息苦しいような気分…。
そんな理由なき朧げな胸騒ぎに、僕が思い耽っていると…。
そういう悪い勘って、嫌なんだけど…意外と当たるもの…。
『まーだやってんの?えへへっ。桃花ちゃんと里美ちゃん』
廊下から聞こえたその声に、片山さんと荒川さんは、ふと振り向いた。
その声に僕もハッ!と我に返り、離れたこの位置から廊下を眺めるように見た…。
やっぱり…。
藤川舞莉さんが来た…。
…というか、廊下のほうでは…。
既にこの騒動に気付いた《Kira♠︎m》所属のアイドルの子たちや、《Kira♠︎m》所属ではない他の事務所所属のアイドルの子たちも何人か、この控え室の前に集まって、こちらの騒動の様子を見ているのが解った…というか、そんな廊下の雰囲気や様子をふと感じた…というか…。
廊下は廊下で、ちょっとした騒ぎになってた…。
『…で、見たの?その《幻の7人目》とかって子?』
控え室を塞ぐように並んで立つ、荒井さんと片山さんの間を割って入るかのように、藤川さんが上体を押し込んで入ってきた。
『うーん…それが…』
『本当は連れてきてないんじゃないの?って感じ…』
荒井さんと片山さんが、少し冴えない表情で、そう藤川さんに言って返した。
『うぅん。ここに居るみたいよ。しかも、めーっちゃくちゃ可愛いとかって』
『えっ?本当!?ここに居るの!?』
『可愛いの!?ってかそれ、どこからの情報!?』
『!』
《Kira♠︎m》アイドルの3人を控え室から追い出そうと、海音さんが慌てて引き戸のドアを閉めようとした。
『いいから!もうそっちの控え室に帰って!』
『止めて…勝手にドア閉めんなぁぁ!!』
『だったら今すぐ、うちらにご丁寧にご挨拶しなさいよって!』
『私今ね、検問バイトのお兄さん達から聞いてきたの。私アタマ良くなぁい?あはははー』
…えっ。
検問の…あのお兄さん達が…くそっ。
控え室のドアを無理やり閉めようとした海音さんと…それを阻止した《Kira♠︎m》の3人。
結局…控え室のドアを閉め切ることはできなかった…。
『ちょっと、海音ちゃん?…うちらのことナメてる?ねぇ…ナメてんの?って…』
今度は藤川さんが、疑うように目を細めて海音さんを睨みつける…。
『控え室までご挨拶にも来ない?…それについて謝りもしない?…そのうえ、話も終わってないのに閉め出そうとする?…ねぇ。なぁ…』
『…。』
すぐには言い返せなかった海音さんから視線を避けて…藤川さんは覗き込むように、この控え室を覗き込んだ。
『ねぇ見て。ほら…あれ、あのマスクの子が怪しくない?あれじゃない?お兄さん達が言ってた《新人マネージャー?》とかって…』
…!!
藤川さんが、僕を指差した。
他の《Kira♠︎m》の2人も僕を見る…!
えっ…え…ぁ…。
僕は、急なこの展開にピクリとも動けず…ただその場に立ち尽くしていた…。
『なんかさぁ、めちゃくちゃ可愛い子が《新人マネージャー》とかって言って、上手に潜り込んで来てる?とかって…』
『新人マネージャーは本物の本当だっての!今はグルマネとスタバに出掛けてるだけ!!』
『あの子はただの私のメイク担当!あなた達、見て解らないの!?ってか、もう帰って!!』
今度は海音さんが声を上げて、3人を控え室からもう一度押し出そうとしていた。
そして、詩織も海音さんと一緒になって、この3人を追い返そうと頑張っていた。
『だから私に触んなって!!この…』
『私らに帰れ!って何その言い方!!だっだら早く挨拶しなって!』
『うちらをナメるのもいい加減にしなって!!』
『騒ぎですかァ!?グループ間のトラブル!?…ちょ、何かあったんですか!!』
『騒ぎをやめなさい!やめてください!!』
遂に、運営のスタッフさんの男性1人、女性2人が騒ぎを聞きつけ、この控え室へとやってきてしまった。
それと廊下も、もう野次馬スタッフとか他のアイドルとか…色んな人がごちゃごちゃに集まって、大騒ぎになってた…。
感情的に声を荒げた荒井さんに対し、海音さんは少し慌てながらも話し方は落ち着いて、荒井さんに注意するように言い返した。
『ちょっと、止めてよ…大声出さないで。騒いだら運営の人が来ちゃうって!』
《T.S.S.D/Top Secret Sparkle Dolls》のサブリーダーの片山桃香さんも、海音さんに続いて荒井さんを優しく言い宥める。
『ね、ねぇ美里ちゃん。それはこの子の言うとおりじゃない?大声出すのは止めたら…?』
『はぁ?桃香…私のほうが悪いって言いたいの…?』
『…そうじゃないけど…けど…』
突然の事態に、詩織も海音さんの左隣へと急ぎ、騒動の渦中へと駆け入った。
『まっ、待って!海音ちゃんが手を放すから…だからもう大声は出さないで』
詩織は海音さんと見合って、海音さんの左手にそっと触れ…そしてあの大きな目で、詩織は荒井さんをじっと見た…。
『…ふぅん…そぅ。んまぁ…じゃあわかった。もう大声出さないでいてあげる。だから手を放して離れて…私から離れて!』
『!』
言われたように、海音さんは慌てて両手を放し…一歩下がって、荒井さんと片山さんから離れた…。
詩織も海音さんに続いて一歩下がる。
『手を放してあげたんだから…それ以上、この控え室に入って来ないでよね…』
『はぁ?なんで私があなた達みたいな、二流アイドルグループの指図を聞かなきゃならないの?』
『指図じゃない!今のは私たちからのお願いなの!だからお願い。そこから一歩も入って来ないで!』
『ここは私たちの控え室なの。入らないでって言う権利くらいあるでしょ!』
また海音さんは、荒井さんや片山さんと激しい視線をバチバチと交わらせている…。
詩織も負けじと言い返し、二人をじっと見ている…。
…そんな急に始まった挨拶騒動のなか…僕は海音さんや詩織と《Kira♠︎m》のアイドルグループの子たちとの言い合いから視線を外し、やや冷静に《ピプレ》の他のメンバーの子たちの様子を見守るように注視してた…。
明日佳ちゃんと心夏ちゃんは互いに寄り添って、手を握り合い…この騒動に少し怯えてるのが見て解った。
というか…誰が見たって解るぐらい、2人の表情は怖くて強張ってる…こういう騒ぎの場面はとても苦手のよう。
優羽ちゃんと千景ちゃんは並んで立ち、詩織の言葉を守って背後に雫ちゃんを隠している。
明日佳ちゃん達ほどではないけれど…表情は固く、緊張している様子…。
今も落ち着いて、状況把握を続けていた僕は…あることを思い返していた…。
…夕紀さんの話だと…騒動のきっかけとなったあの夜には…《Kira♠︎m》の荒井美里さんと…片山桃花さんと…その他に、グループ所属の子たちが数人…それと、もう一人の重要人物がいたはずなんだ…。
それで相手は10人ぐらい居たんだって…。
なのに…その重要人物の一人が、今ここに来ていないんだ…。
ここに来てない、その一人というのは…あのグループのリーダーの子。
HoneyMaidsの藤川舞莉さん…。
それが…僕の頭の片隅に引っ掛かってて…さっきから何故か凄く気になってる、というか…。
なんだろう…変な息苦しいような気分…。
そんな理由なき朧げな胸騒ぎに、僕が思い耽っていると…。
そういう悪い勘って、嫌なんだけど…意外と当たるもの…。
『まーだやってんの?えへへっ。桃花ちゃんと里美ちゃん』
廊下から聞こえたその声に、片山さんと荒川さんは、ふと振り向いた。
その声に僕もハッ!と我に返り、離れたこの位置から廊下を眺めるように見た…。
やっぱり…。
藤川舞莉さんが来た…。
…というか、廊下のほうでは…。
既にこの騒動に気付いた《Kira♠︎m》所属のアイドルの子たちや、《Kira♠︎m》所属ではない他の事務所所属のアイドルの子たちも何人か、この控え室の前に集まって、こちらの騒動の様子を見ているのが解った…というか、そんな廊下の雰囲気や様子をふと感じた…というか…。
廊下は廊下で、ちょっとした騒ぎになってた…。
『…で、見たの?その《幻の7人目》とかって子?』
控え室を塞ぐように並んで立つ、荒井さんと片山さんの間を割って入るかのように、藤川さんが上体を押し込んで入ってきた。
『うーん…それが…』
『本当は連れてきてないんじゃないの?って感じ…』
荒井さんと片山さんが、少し冴えない表情で、そう藤川さんに言って返した。
『うぅん。ここに居るみたいよ。しかも、めーっちゃくちゃ可愛いとかって』
『えっ?本当!?ここに居るの!?』
『可愛いの!?ってかそれ、どこからの情報!?』
『!』
《Kira♠︎m》アイドルの3人を控え室から追い出そうと、海音さんが慌てて引き戸のドアを閉めようとした。
『いいから!もうそっちの控え室に帰って!』
『止めて…勝手にドア閉めんなぁぁ!!』
『だったら今すぐ、うちらにご丁寧にご挨拶しなさいよって!』
『私今ね、検問バイトのお兄さん達から聞いてきたの。私アタマ良くなぁい?あはははー』
…えっ。
検問の…あのお兄さん達が…くそっ。
控え室のドアを無理やり閉めようとした海音さんと…それを阻止した《Kira♠︎m》の3人。
結局…控え室のドアを閉め切ることはできなかった…。
『ちょっと、海音ちゃん?…うちらのことナメてる?ねぇ…ナメてんの?って…』
今度は藤川さんが、疑うように目を細めて海音さんを睨みつける…。
『控え室までご挨拶にも来ない?…それについて謝りもしない?…そのうえ、話も終わってないのに閉め出そうとする?…ねぇ。なぁ…』
『…。』
すぐには言い返せなかった海音さんから視線を避けて…藤川さんは覗き込むように、この控え室を覗き込んだ。
『ねぇ見て。ほら…あれ、あのマスクの子が怪しくない?あれじゃない?お兄さん達が言ってた《新人マネージャー?》とかって…』
…!!
藤川さんが、僕を指差した。
他の《Kira♠︎m》の2人も僕を見る…!
えっ…え…ぁ…。
僕は、急なこの展開にピクリとも動けず…ただその場に立ち尽くしていた…。
『なんかさぁ、めちゃくちゃ可愛い子が《新人マネージャー》とかって言って、上手に潜り込んで来てる?とかって…』
『新人マネージャーは本物の本当だっての!今はグルマネとスタバに出掛けてるだけ!!』
『あの子はただの私のメイク担当!あなた達、見て解らないの!?ってか、もう帰って!!』
今度は海音さんが声を上げて、3人を控え室からもう一度押し出そうとしていた。
そして、詩織も海音さんと一緒になって、この3人を追い返そうと頑張っていた。
『だから私に触んなって!!この…』
『私らに帰れ!って何その言い方!!だっだら早く挨拶しなって!』
『うちらをナメるのもいい加減にしなって!!』
『騒ぎですかァ!?グループ間のトラブル!?…ちょ、何かあったんですか!!』
『騒ぎをやめなさい!やめてください!!』
遂に、運営のスタッフさんの男性1人、女性2人が騒ぎを聞きつけ、この控え室へとやってきてしまった。
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