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G.F. - 夢追娘編 -
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僕は…スマホを静かにそっと机の上に置き…俯いた…。
『あいつ…何であんなに頑固なんだよ…!』
『…。』
『女優も子役も経験無ぇくせに…どっから来んだよ!あの自分の演技への自信とか…あぁァ!?』
『…。』
ヤバいヤバいヤバい…。
公貴くんは、座ったままズボンの左ポケットに左手を突っ込み、右腕は机の上に置いて…怒鳴り散らかしている。
『歳はアレかもしれねぇけどなぁ!…先輩だぞ!俺のほうが!役者ではなぁ!!』
『…。』
『歳の1つ差が何だってんだよ!!あぁ?なんも変わんねぇっつーんだよ!!』
『…。』
どっ、どうしよう…えぇと…あ、そうだ。
何か考え耽ってやり過ごそう…でも…。
そうだ…明日の免許の本試験のことでも考えよう…そうそう…あの…試験の過去問とか…その…。
《ヴーン…ヴーン…》
…!
またLINEの受信だ…送信相手は解ってる。
詩織からだよ?…絶対…。
僕は恐る恐る、少し顔を上げ…机の上のスマホを手に取り、ゆっくりと画面を見た…。
【{どうしたの金魚?返事来ないよ?)】
どうしよう…返さないと…。
詩織へのLINEの返信…。
けど…操作するのも…指をピクリと動かすことも…怖っ!
やっぱ無理無理無理!!
ごめん詩織!…返事返せない…この状況では…。
僕は、スマホを握った左手を小さく震わせながら…やっぱりそのまま机の上に置いた…。
そしてそのまま…またゆっくり下を向く…。
『クソっ!信吾はどこ行ったんだよ!こんなときによ!!』
…ひぃぃぃ…怖。
『信吾が居て見てれば詩織、まだいつも大人しく《演トレ》してたのによ…クソが…』
…た、助けて…この状況を…誰か…。
《ヴーン…ヴーン…》
また…詩織からのLINEだ…。
勇気を出して…またスマホを見る…。
【{行ったほうがいい?私そっち?)】
いやいやいやいや!!
だっ駄目駄目駄目駄目駄目!!
詩織!今来るとダメ!!絶対!!
「クソっ…クソが…」
…あ、あれ?
急に公貴くんが大人しく…なった…?
恐る恐る…僕はチラリと公貴くんを見た…。
公貴くんもポケットからiPhoneを出し、触り始めていた…。
とりあえず…良かった…。
このまま助かるかも…。
それにしても…うん。
もう一度スマホを見る。
詩織…本当に心配してくれてそう…ごめん。
何か書いて返さないと…じゃあ、なんて書こう。
書き方によって、詩織がここに来ることがないよう気をつけないとな…えぇと。
本当になんて書いて返そうかな…うーん。
少し安心し始めて、何気にまた公貴くんのほうをチラリと見ると…!!!
ひぃぃぃぃ!!!
こっち見てるー!!
『なぁ…おい。お前』
えぇーっ!?
しかも金魚に話しかけてきたぁぁー!!
『おい…なぁ』
ど…ど、どうしよう…!!
『おい…聞こえてんのか?って。つぅかお前!返事くらいしろ!!』
『はっ、はいっ!』
こんなに緊張してるのに、急でも女の子声に変えられる僕って…凄くない?
凄くないよ?こんなの普通だよ。普通普通。
…なんて、こんなふざけたことを考えてる余裕、無かったんだった…反省。
『ご…めんなさい…』
僕は慌ててスマホをまたまた机の上に置いて…震える手を下ろして…閉じた両腿の上に置いた両拳をぎゅっと握って…恐々と、公貴くんを見た…。
『お前…確か、俺と会ったこと…あるよな…?』
『あの…えっ…その…あの…』
そう…確かに。
少しだけ公貴くんと話したことがある…実は。
いつだったかな…?
11月の終わり頃?それとも、もう12月だったっけ?
日曜日が引っ越しで、その次の日…月曜日だったことだけは覚えてる。
『11月27日の月曜日、時間は朝9時頃。そこの事務室の前で…だろ?』
あ…ふーん。なるほどね。
公貴くん、日時と状況まで覚えてました…凄いね。めっちゃ怖いぃ…。
『俺、お前に《噂の新人ってのはお前か?》って、訊いたよな?違うか?』
そこまで正確に言い当てられると…もう素直になるしかなかった…。
『あの…はい。私…でしたね…』
僕は、あまりのヤバい状況に少し混乱したのか…公貴くんに可愛い笑顔で返事してしまい…。
その現実にショックして…僕はまた落ち込むように俯いて、視線を机上に落とした…あぁ。
『そうか。やっぱな…ってか、信吾どこ行ったんだ?あいつマジで!』
…。
残念ながら《僕の女装姿(金魚)と公貴くんは、実は会ったことがある!》ことはバレてしまった!…けど。
守らなければならない秘密はもう1つ。
《今目の前にいる娘こそ、実は君が探している信吾だ!》ってことだけは…絶対バレないように…。
これだけは守り切らないと…!
いや…絶対にこの秘密…守り通す…!!
そう決心し、心に誓って公貴くんを…そーっと見ると…。
公貴くんは…大人しく静かになって、また自分のiPhoneを触っていた。
ふぅ…助かった…か。
《ヴーン…ヴーン…》
《ヴーン…ヴーン…》
今度は2回きた。
ごめんごめん…。
LINEの返事、何かしてあげなきゃ。
えぇと?…今度は詩織、2連続って…何って書いて送ってき…?
……は?
【{お前…信吾だろ!だよなぁ?お得意の女装した)】
【{もうバレてんだよ。大人しく観念して自白しろ!)】
えっ、はぁっ!?
嘘っ!?バレ…た…!?
…えぇぇ!?
ヤバい…本気でヤバい!!!
心臓の音が…両方の鼓膜に届くぐらい…バクバクドキドキしてきた…。
目が…視線が…スマホに釘付けに…。
金縛りのように…動けない…。
かっ体が…重い…。
汗?…画面に一粒…ぽたり。
僕は…全身を小刻みに震わせながら…ゆっくり…ゆっくり…と…。
…公貴くん…のほうを…見…た…。
『あーぁ。信吾、ほんと何処行ったんだろうなーぁ…なぁ…』
…!!
冷めたようなジト目で…僕をじーっと見てる…公貴くん…!
『もうバレてんのに、まーだ黙ってやり過ごそうってしてんのかなーぁ。あいつは…』
うわぁ…も、もう無理…。
観念するしかなかった…。
僕はまた何度目か下を向き…震える小声で…。
「あの…なんで…判っちゃっ」
『お前の左耳を見れば判んだよ!』
『!!』
『わーっはっはっはっはー!』
公貴くんは、自分のiPhoneをポケットへ戻しながら、高らかと大笑いしだした…。
『お前、忘れてないよな?』
…えっ?
忘れてない…よな??
『YOSHIKAが俺の姉貴だってことをな!』
…あっ。
『わーっはっはっはっはー!』
『…。』
僕の《秘密が絶対バレないよう守り通す!》の決心は…ものの5分で打ち破られた…あぁ。
そのあと…公貴くんは話してくれたんだ。
YOSHIKAさんから聞いたんだって。
『信吾くんが女の子になるとき必ず、左耳に金魚のぶら下がったピアスをしてんの』ってことと…『信吾くんの女の子姿の名前は《池川金魚》ちゃんって言うの。絶対に《信吾くん》なんて呼んじゃダメ!』ってことを…。
それと、どちらから話が出たのか…僕のLINEのIDも。
『…ってことで。なぁ金魚』
「…は…はぃ…」
公貴くんはウンウンと頷きながら、ニヤリと笑った。
『お前にひとつ《聞いてほしい話》と、あと《頼みたいこと》があるんだ』
『…聞いてほしい話と、頼みたいこと?』
『あぁ。聞いてくれないか?』
…って、どんなこと…?
『あいつ…何であんなに頑固なんだよ…!』
『…。』
『女優も子役も経験無ぇくせに…どっから来んだよ!あの自分の演技への自信とか…あぁァ!?』
『…。』
ヤバいヤバいヤバい…。
公貴くんは、座ったままズボンの左ポケットに左手を突っ込み、右腕は机の上に置いて…怒鳴り散らかしている。
『歳はアレかもしれねぇけどなぁ!…先輩だぞ!俺のほうが!役者ではなぁ!!』
『…。』
『歳の1つ差が何だってんだよ!!あぁ?なんも変わんねぇっつーんだよ!!』
『…。』
どっ、どうしよう…えぇと…あ、そうだ。
何か考え耽ってやり過ごそう…でも…。
そうだ…明日の免許の本試験のことでも考えよう…そうそう…あの…試験の過去問とか…その…。
《ヴーン…ヴーン…》
…!
またLINEの受信だ…送信相手は解ってる。
詩織からだよ?…絶対…。
僕は恐る恐る、少し顔を上げ…机の上のスマホを手に取り、ゆっくりと画面を見た…。
【{どうしたの金魚?返事来ないよ?)】
どうしよう…返さないと…。
詩織へのLINEの返信…。
けど…操作するのも…指をピクリと動かすことも…怖っ!
やっぱ無理無理無理!!
ごめん詩織!…返事返せない…この状況では…。
僕は、スマホを握った左手を小さく震わせながら…やっぱりそのまま机の上に置いた…。
そしてそのまま…またゆっくり下を向く…。
『クソっ!信吾はどこ行ったんだよ!こんなときによ!!』
…ひぃぃぃ…怖。
『信吾が居て見てれば詩織、まだいつも大人しく《演トレ》してたのによ…クソが…』
…た、助けて…この状況を…誰か…。
《ヴーン…ヴーン…》
また…詩織からのLINEだ…。
勇気を出して…またスマホを見る…。
【{行ったほうがいい?私そっち?)】
いやいやいやいや!!
だっ駄目駄目駄目駄目駄目!!
詩織!今来るとダメ!!絶対!!
「クソっ…クソが…」
…あ、あれ?
急に公貴くんが大人しく…なった…?
恐る恐る…僕はチラリと公貴くんを見た…。
公貴くんもポケットからiPhoneを出し、触り始めていた…。
とりあえず…良かった…。
このまま助かるかも…。
それにしても…うん。
もう一度スマホを見る。
詩織…本当に心配してくれてそう…ごめん。
何か書いて返さないと…じゃあ、なんて書こう。
書き方によって、詩織がここに来ることがないよう気をつけないとな…えぇと。
本当になんて書いて返そうかな…うーん。
少し安心し始めて、何気にまた公貴くんのほうをチラリと見ると…!!!
ひぃぃぃぃ!!!
こっち見てるー!!
『なぁ…おい。お前』
えぇーっ!?
しかも金魚に話しかけてきたぁぁー!!
『おい…なぁ』
ど…ど、どうしよう…!!
『おい…聞こえてんのか?って。つぅかお前!返事くらいしろ!!』
『はっ、はいっ!』
こんなに緊張してるのに、急でも女の子声に変えられる僕って…凄くない?
凄くないよ?こんなの普通だよ。普通普通。
…なんて、こんなふざけたことを考えてる余裕、無かったんだった…反省。
『ご…めんなさい…』
僕は慌ててスマホをまたまた机の上に置いて…震える手を下ろして…閉じた両腿の上に置いた両拳をぎゅっと握って…恐々と、公貴くんを見た…。
『お前…確か、俺と会ったこと…あるよな…?』
『あの…えっ…その…あの…』
そう…確かに。
少しだけ公貴くんと話したことがある…実は。
いつだったかな…?
11月の終わり頃?それとも、もう12月だったっけ?
日曜日が引っ越しで、その次の日…月曜日だったことだけは覚えてる。
『11月27日の月曜日、時間は朝9時頃。そこの事務室の前で…だろ?』
あ…ふーん。なるほどね。
公貴くん、日時と状況まで覚えてました…凄いね。めっちゃ怖いぃ…。
『俺、お前に《噂の新人ってのはお前か?》って、訊いたよな?違うか?』
そこまで正確に言い当てられると…もう素直になるしかなかった…。
『あの…はい。私…でしたね…』
僕は、あまりのヤバい状況に少し混乱したのか…公貴くんに可愛い笑顔で返事してしまい…。
その現実にショックして…僕はまた落ち込むように俯いて、視線を机上に落とした…あぁ。
『そうか。やっぱな…ってか、信吾どこ行ったんだ?あいつマジで!』
…。
残念ながら《僕の女装姿(金魚)と公貴くんは、実は会ったことがある!》ことはバレてしまった!…けど。
守らなければならない秘密はもう1つ。
《今目の前にいる娘こそ、実は君が探している信吾だ!》ってことだけは…絶対バレないように…。
これだけは守り切らないと…!
いや…絶対にこの秘密…守り通す…!!
そう決心し、心に誓って公貴くんを…そーっと見ると…。
公貴くんは…大人しく静かになって、また自分のiPhoneを触っていた。
ふぅ…助かった…か。
《ヴーン…ヴーン…》
《ヴーン…ヴーン…》
今度は2回きた。
ごめんごめん…。
LINEの返事、何かしてあげなきゃ。
えぇと?…今度は詩織、2連続って…何って書いて送ってき…?
……は?
【{お前…信吾だろ!だよなぁ?お得意の女装した)】
【{もうバレてんだよ。大人しく観念して自白しろ!)】
えっ、はぁっ!?
嘘っ!?バレ…た…!?
…えぇぇ!?
ヤバい…本気でヤバい!!!
心臓の音が…両方の鼓膜に届くぐらい…バクバクドキドキしてきた…。
目が…視線が…スマホに釘付けに…。
金縛りのように…動けない…。
かっ体が…重い…。
汗?…画面に一粒…ぽたり。
僕は…全身を小刻みに震わせながら…ゆっくり…ゆっくり…と…。
…公貴くん…のほうを…見…た…。
『あーぁ。信吾、ほんと何処行ったんだろうなーぁ…なぁ…』
…!!
冷めたようなジト目で…僕をじーっと見てる…公貴くん…!
『もうバレてんのに、まーだ黙ってやり過ごそうってしてんのかなーぁ。あいつは…』
うわぁ…も、もう無理…。
観念するしかなかった…。
僕はまた何度目か下を向き…震える小声で…。
「あの…なんで…判っちゃっ」
『お前の左耳を見れば判んだよ!』
『!!』
『わーっはっはっはっはー!』
公貴くんは、自分のiPhoneをポケットへ戻しながら、高らかと大笑いしだした…。
『お前、忘れてないよな?』
…えっ?
忘れてない…よな??
『YOSHIKAが俺の姉貴だってことをな!』
…あっ。
『わーっはっはっはっはー!』
『…。』
僕の《秘密が絶対バレないよう守り通す!》の決心は…ものの5分で打ち破られた…あぁ。
そのあと…公貴くんは話してくれたんだ。
YOSHIKAさんから聞いたんだって。
『信吾くんが女の子になるとき必ず、左耳に金魚のぶら下がったピアスをしてんの』ってことと…『信吾くんの女の子姿の名前は《池川金魚》ちゃんって言うの。絶対に《信吾くん》なんて呼んじゃダメ!』ってことを…。
それと、どちらから話が出たのか…僕のLINEのIDも。
『…ってことで。なぁ金魚』
「…は…はぃ…」
公貴くんはウンウンと頷きながら、ニヤリと笑った。
『お前にひとつ《聞いてほしい話》と、あと《頼みたいこと》があるんだ』
『…聞いてほしい話と、頼みたいこと?』
『あぁ。聞いてくれないか?』
…って、どんなこと…?
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