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G.F. - 再始動編 -

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…結局、アンナファミリーのメンバーは僕の実家に上がって、母さんにお座敷部屋へと案内された。

僕はリビングで着替え。
振り袖の脱衣を手伝ってくれるのは、アンナさんとナオさん。
廊下では、詩織が順番待ちをしていた。




僕の家には、襖で仕切られて八畳の和室が2部屋あるんだけど、その襖を取り外してお座敷は広くなっていた。
そこに和室用の長机が2つ、連なるように並べて置いてある。

その長机の上には、おせち料理がたくさん載せられた大皿が2皿…。


『…い、いいんですか?』


秋良さんが母さんにそう訊いた。


『だって、どうせどこかのお店で、みんなでお昼するんだったんでしょ?』

『えぇ…まぁ』

『だったら。ウチでお昼すればいいじゃない。この家なら少しぐらい騒いでも、全然平気よ』


母さんがそう笑いながら言うと、今度は歩美さんが…。


『それで、このたくさんのおせち料理は…』

『私たちでーす』
『岩塚さん家のご近所のおばちゃんでーす』


僕の実家の近所の…小柳のおばちゃん、西川のおばちゃん、橋本のおばちゃんの3人が、母さんからの相談電話に応えて、来てくれたらしい。
近所って言っても、それぞれのお宅は100m以上離れてるんだけど。

それで食材や手付かずのおせち料理を家から持ち寄ってくれて、実家のキッチンで料理もしてくれて、慌てて準備したんだとか。


『じゃあ美穂ちゃん。ウチら帰るねー』
『和哉くんにも宜しく伝えといてね』
『信吾くん。私ら帰るからー。お年玉はお母さんに預けたから、貰ってねー』

戸の閉められたリビングに向かって、橋本のおばちゃんがそう言った。
僕は着替えを急ぎながら『おばちゃん、ありがとう!』って、大きな声で言った。

ちなみに…美穂は僕の母さんのこと。和哉は僕の父さん。

それと、僕が小さかった頃から…そして今も人見知りな性格の父さん。アンナさんや秋良さんが実家に来ると聞いて、中学当時の同級生の家へと、新年の挨拶ついでに出掛けたみたい。







そして、今日2度目の《みんなでワイワイ雑談タイム》。
僕と詩織の《振り袖の脱衣と着替え》はもう済んでいた。

それにしても本当に話が尽きない。このメンバーが揃うと、何時間でもずっと笑って、騒いで、お喋りしていられる。
あんなにたくさんあった大皿のおせち料理も、みんなで摘んで今はもうあと少ししか残っていない。


『よーし。ここで《暴露大会》やっか!』

『暴露大会?』

『あぁ』


秋良さんと大基さんが見合った。


『暴露って…なにを?』

『あの神社で、祈願の申込書になにを書いたか?だよ!』

『あぁ…そういうことか』


啓介さんも、それを聞いて納得したみたい…?


『けど秋良くん、祈願ってここで言っても大丈夫なの?』


詩織は少し心配するようにそう言った。


『あぁ?大丈夫だろうよ。んじゃあ、まずは俺から。俺は《P.S.J.グループ》の商売繁盛が願いだ』

『おい待てよ秋良。俺も同じことを書いたぞ!秋良!』

『おぉ!大基もか!…やっぱりかぁ!うわはははは』


秋良さんと大基さんは、互いの肩を叩き合って、肩を組んで『頑張ろうぜ!』『おぉ!今年は俺たち、やるぜ!』って喜んでた。



それと《P.S.J.グループ》というのは、秋良さんが個人運営する洋服デザイン事務所《Posi-Stylish/Japan》を省略したもので、そこに《グループ》が付け加えられているのは、大基さんが妹の美弥さんと一緒に個人経営するアクセサリー製作販売店《Gnoms.-グノームス-》が経営傘下に加わったから。

今年の春には、今度は他のブランド店からの依頼を受けて服をデザインするだけの事務所じゃなくて、オリジナルブランドとして服を売ることもできる個人洋服店《Posi-Stylish/早瀬ヶ池本店》という3階建のビルが登場する…って、もう今から僕もそれが楽しみ。


『遂に夢の第一歩ね。頑張ってね』

『…っていうアンナさんは?なんて祈願を…?』

『うふふふ。そうね…私からも《ちょっとした大発表》があるけど…先に詩織やナオから聞きたいわ』


秋良さんが、目をキラリと光らせながら皆の顔を見渡した。


『おぉ…!アンナさんの大発表ってのがスゲー気になるよなぁ!けど、まずはアンナさんからのリクエストからだな』


詩織は秋良さんから指名を受けて『ハァ…』と緊張したように小さく息を払った。


『私の祈願…願い?言うの?』

『あぁ。そうだよ言ってみろよ。詩織』

『う…うん』


詩織は、少し躊躇ためらい気味に、ゆっくりと頷いた…。

























  
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