68 / 166
G.F. - 再始動編 -
page.547
しおりを挟む
…結局、アンナファミリーのメンバーは僕の実家に上がって、母さんにお座敷部屋へと案内された。
僕はリビングで着替え。
振り袖の脱衣を手伝ってくれるのは、アンナさんとナオさん。
廊下では、詩織が順番待ちをしていた。
僕の家には、襖で仕切られて八畳の和室が2部屋あるんだけど、その襖を取り外してお座敷は広くなっていた。
そこに和室用の長机が2つ、連なるように並べて置いてある。
その長机の上には、おせち料理がたくさん載せられた大皿が2皿…。
『…い、いいんですか?』
秋良さんが母さんにそう訊いた。
『だって、どうせどこかのお店で、みんなでお昼するんだったんでしょ?』
『えぇ…まぁ』
『だったら。ウチでお昼すればいいじゃない。この家なら少しぐらい騒いでも、全然平気よ』
母さんがそう笑いながら言うと、今度は歩美さんが…。
『それで、このたくさんのおせち料理は…』
『私たちでーす』
『岩塚さん家のご近所のおばちゃんでーす』
僕の実家の近所の…小柳のおばちゃん、西川のおばちゃん、橋本のおばちゃんの3人が、母さんからの相談電話に応えて、来てくれたらしい。
近所って言っても、それぞれのお宅は100m以上離れてるんだけど。
それで食材や手付かずのおせち料理を家から持ち寄ってくれて、実家のキッチンで料理もしてくれて、慌てて準備したんだとか。
『じゃあ美穂ちゃん。ウチら帰るねー』
『和哉くんにも宜しく伝えといてね』
『信吾くん。私ら帰るからー。お年玉はお母さんに預けたから、貰ってねー』
戸の閉められたリビングに向かって、橋本のおばちゃんがそう言った。
僕は着替えを急ぎながら『おばちゃん、ありがとう!』って、大きな声で言った。
ちなみに…美穂は僕の母さんのこと。和哉は僕の父さん。
それと、僕が小さかった頃から…そして今も人見知りな性格の父さん。アンナさんや秋良さんが実家に来ると聞いて、中学当時の同級生の家へと、新年の挨拶ついでに出掛けたみたい。
そして、今日2度目の《みんなでワイワイ雑談タイム》。
僕と詩織の《振り袖の脱衣と着替え》はもう済んでいた。
それにしても本当に話が尽きない。このメンバーが揃うと、何時間でもずっと笑って、騒いで、お喋りしていられる。
あんなにたくさんあった大皿のおせち料理も、みんなで摘んで今はもうあと少ししか残っていない。
『よーし。ここで《暴露大会》やっか!』
『暴露大会?』
『あぁ』
秋良さんと大基さんが見合った。
『暴露って…なにを?』
『あの神社で、祈願の申込書になにを書いたか?だよ!』
『あぁ…そういうことか』
啓介さんも、それを聞いて納得したみたい…?
『けど秋良くん、祈願ってここで言っても大丈夫なの?』
詩織は少し心配するようにそう言った。
『あぁ?大丈夫だろうよ。んじゃあ、まずは俺から。俺は《P.S.J.グループ》の商売繁盛が願いだ』
『おい待てよ秋良。俺も同じことを書いたぞ!秋良!』
『おぉ!大基もか!…やっぱりかぁ!うわはははは』
秋良さんと大基さんは、互いの肩を叩き合って、肩を組んで『頑張ろうぜ!』『おぉ!今年は俺たち、やるぜ!』って喜んでた。
それと《P.S.J.グループ》というのは、秋良さんが個人運営する洋服デザイン事務所《Posi-Stylish/Japan》を省略したもので、そこに《グループ》が付け加えられているのは、大基さんが妹の美弥さんと一緒に個人経営するアクセサリー製作販売店《Gnoms.-グノームス-》が経営傘下に加わったから。
今年の春には、今度は他のブランド店からの依頼を受けて服をデザインするだけの事務所じゃなくて、オリジナルブランドとして服を売ることもできる個人洋服店《Posi-Stylish/早瀬ヶ池本店》という3階建のビルが登場する…って、もう今から僕もそれが楽しみ。
『遂に夢の第一歩ね。頑張ってね』
『…っていうアンナさんは?なんて祈願を…?』
『うふふふ。そうね…私からも《ちょっとした大発表》があるけど…先に詩織やナオから聞きたいわ』
秋良さんが、目をキラリと光らせながら皆の顔を見渡した。
『おぉ…!アンナさんの大発表ってのがスゲー気になるよなぁ!けど、まずはアンナさんからのリクエストからだな』
詩織は秋良さんから指名を受けて『ハァ…』と緊張したように小さく息を払った。
『私の祈願…願い?言うの?』
『あぁ。そうだよ言ってみろよ。詩織』
『う…うん』
詩織は、少し躊躇い気味に、ゆっくりと頷いた…。
僕はリビングで着替え。
振り袖の脱衣を手伝ってくれるのは、アンナさんとナオさん。
廊下では、詩織が順番待ちをしていた。
僕の家には、襖で仕切られて八畳の和室が2部屋あるんだけど、その襖を取り外してお座敷は広くなっていた。
そこに和室用の長机が2つ、連なるように並べて置いてある。
その長机の上には、おせち料理がたくさん載せられた大皿が2皿…。
『…い、いいんですか?』
秋良さんが母さんにそう訊いた。
『だって、どうせどこかのお店で、みんなでお昼するんだったんでしょ?』
『えぇ…まぁ』
『だったら。ウチでお昼すればいいじゃない。この家なら少しぐらい騒いでも、全然平気よ』
母さんがそう笑いながら言うと、今度は歩美さんが…。
『それで、このたくさんのおせち料理は…』
『私たちでーす』
『岩塚さん家のご近所のおばちゃんでーす』
僕の実家の近所の…小柳のおばちゃん、西川のおばちゃん、橋本のおばちゃんの3人が、母さんからの相談電話に応えて、来てくれたらしい。
近所って言っても、それぞれのお宅は100m以上離れてるんだけど。
それで食材や手付かずのおせち料理を家から持ち寄ってくれて、実家のキッチンで料理もしてくれて、慌てて準備したんだとか。
『じゃあ美穂ちゃん。ウチら帰るねー』
『和哉くんにも宜しく伝えといてね』
『信吾くん。私ら帰るからー。お年玉はお母さんに預けたから、貰ってねー』
戸の閉められたリビングに向かって、橋本のおばちゃんがそう言った。
僕は着替えを急ぎながら『おばちゃん、ありがとう!』って、大きな声で言った。
ちなみに…美穂は僕の母さんのこと。和哉は僕の父さん。
それと、僕が小さかった頃から…そして今も人見知りな性格の父さん。アンナさんや秋良さんが実家に来ると聞いて、中学当時の同級生の家へと、新年の挨拶ついでに出掛けたみたい。
そして、今日2度目の《みんなでワイワイ雑談タイム》。
僕と詩織の《振り袖の脱衣と着替え》はもう済んでいた。
それにしても本当に話が尽きない。このメンバーが揃うと、何時間でもずっと笑って、騒いで、お喋りしていられる。
あんなにたくさんあった大皿のおせち料理も、みんなで摘んで今はもうあと少ししか残っていない。
『よーし。ここで《暴露大会》やっか!』
『暴露大会?』
『あぁ』
秋良さんと大基さんが見合った。
『暴露って…なにを?』
『あの神社で、祈願の申込書になにを書いたか?だよ!』
『あぁ…そういうことか』
啓介さんも、それを聞いて納得したみたい…?
『けど秋良くん、祈願ってここで言っても大丈夫なの?』
詩織は少し心配するようにそう言った。
『あぁ?大丈夫だろうよ。んじゃあ、まずは俺から。俺は《P.S.J.グループ》の商売繁盛が願いだ』
『おい待てよ秋良。俺も同じことを書いたぞ!秋良!』
『おぉ!大基もか!…やっぱりかぁ!うわはははは』
秋良さんと大基さんは、互いの肩を叩き合って、肩を組んで『頑張ろうぜ!』『おぉ!今年は俺たち、やるぜ!』って喜んでた。
それと《P.S.J.グループ》というのは、秋良さんが個人運営する洋服デザイン事務所《Posi-Stylish/Japan》を省略したもので、そこに《グループ》が付け加えられているのは、大基さんが妹の美弥さんと一緒に個人経営するアクセサリー製作販売店《Gnoms.-グノームス-》が経営傘下に加わったから。
今年の春には、今度は他のブランド店からの依頼を受けて服をデザインするだけの事務所じゃなくて、オリジナルブランドとして服を売ることもできる個人洋服店《Posi-Stylish/早瀬ヶ池本店》という3階建のビルが登場する…って、もう今から僕もそれが楽しみ。
『遂に夢の第一歩ね。頑張ってね』
『…っていうアンナさんは?なんて祈願を…?』
『うふふふ。そうね…私からも《ちょっとした大発表》があるけど…先に詩織やナオから聞きたいわ』
秋良さんが、目をキラリと光らせながら皆の顔を見渡した。
『おぉ…!アンナさんの大発表ってのがスゲー気になるよなぁ!けど、まずはアンナさんからのリクエストからだな』
詩織は秋良さんから指名を受けて『ハァ…』と緊張したように小さく息を払った。
『私の祈願…願い?言うの?』
『あぁ。そうだよ言ってみろよ。詩織』
『う…うん』
詩織は、少し躊躇い気味に、ゆっくりと頷いた…。
1
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。
でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。
けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。
同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。
そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?
京都かくりよあやかし書房
西門 檀
キャラ文芸
迷い込んだ世界は、かつて現世の世界にあったという。
時が止まった明治の世界。
そこには、あやかしたちの営みが栄えていた。
人間の世界からこちらへと来てしまった、春しおりはあやかし書房でお世話になる。
イケメン店主と双子のおきつね書店員、ふしぎな町で出会うあやかしたちとのハートフルなお話。
※2025年1月1日より本編start! だいたい毎日更新の予定です。
体育座りでスカートを汚してしまったあの日々
yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる