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G.F. - 再始動編 -
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僕は…いや僕らは、樋口絵里佳を乗せて駐車場から走り去る、鈴ちゃんの車を見送った。
金魚をジロリと見る樋口の顔…ちょっと怒ってたようにも見えた…。
う、うん。もう少し樋口と小まめに連絡取り合っても良さそうかな…。
《樋口が次の瀬ヶ池の1番の女の子になる計画》とか《"カラフル"管理者としての報告》とか、今後も色々と聞きたいこととかあるし…。
『んま、そういうことで…まだ少しだけ時間、いいよな?』
秋良さんが歩美さんと僕に、そう訊いてきた。
『…いい?』
歩美さんも僕を見る…僕は『あ、はい。大丈夫です』って、秋良さんと歩美さんに返答した。
『じゃあ金魚。この近くで休憩できる店とか…お前知ってるか?』
僕はふと思い出す…確か、僕の母校である緑川北高の近くに…。
『あ、あります。カフェスィーツ店とかじゃないですけど、ちょっとお洒落な喫茶店とか』
『ほぉ…あるか。よし』
『みんなー、今日はここでお別れねー。私たちの初詣に、付き合ってくれてありがとーう!またねー!』
詩織が、僕らを囲む瀬ヶ池の女の子たちに手を振る。
そして詩織はここへ来たときとは違い、今度は啓介さんの車に乗り込んだ。
今も動画撮影を続けている瀬ヶ池の女の子たち。手を振った詩織にみんなが手を振って返していた。
『じゃあ、行こう金魚ちゃん。お洒落な喫茶店までの案内、宜しくね』
『はい。えっと…まずは駐車場を出ます』
僕の乗り込んだ歩美さんの車が、先導するため一番に走り出した。
『あははは。まぁそうだよね』
…??
何がそうなの?
なぜか…歩美さんは笑ってた。
歩美さんの車に続き、秋良さんの車…アンナさんの車…啓介さんの車…大基さんの車の順で、岸鉾神社の駐車場を出ていく。
アンナファミリーの不思議なところは、場所なんて関係なくメンバー全員が集まれさえすれば、騒がしくずっとお喋りして、笑い合って、夢みたいに楽しい時間を過ごせること。
そして…あっというまに時間が過ぎていくこと…。
僕の母校の近くのお洒落な喫茶店に入って、それぞれ好きな飲み物と、このお店の唯一のスィーツ《ホットケーキ》を注文して…お店には、ちょっと騒がし過ぎてご迷惑だったかもしれないけど…そんなこんなで、みんなで楽しく過ごしていたら…。
『あー。もう11時かぁ』
…午前10時57分。
秋良さんがまた、みんなの顔を見た。
『喫茶店を出たら、ここで解散か…?』
詩織や春華さんや歩美さん、啓介さんや大基さんも…なんか急に寂しそうな表情をしてた。
あんなに楽しかった雰囲気が、急に冷めたようにも感じた…。
『詩織は、いつから今年の仕事初めだったかしら…?』
アンナさんが詩織にそう訊いた。
『うん。私も信吾も…3日から。だから明日にはまた、東京のマンションに戻らなきゃ…』
詩織が、いよいよ更に寂し気な顔をした。
『今度…いつ、またアンナファミリー全員で集まれるか…分からないね…』
『あぁ…』
遂に、秋良さんまで寂しそうな顔に…。
そしてしばらく全員が静かになってしまった…と思っていたら…。
『なぁ…信吾…』
『あ、はい…』
秋良さんは僕に、少し堅苦しく笑って見せた。
『お前を見送るの、歩美ちゃんだけじゃ…寂しいだろ?』
僕は少し躊躇しながらも…正直にウンと小さく頷いた。
『なぁ、俺もお前ん家まで見送っていいか?』
…えっ?
『なぁ、いいか?春華』
秋良さんは僕を見たまま、春華さんにそう訊いた。
『うん。私は別に。秋良くんがいいなら』
『秋良くん…』
アンナさんも、心配そうに秋良さんに声を掛けた。
『だってよ、ここで信吾らと《じゃあ、またいつか!》って…なんか寂しいじゃんか…なぁ』
ファミリーの全員で、わいわいと楽しく過ごせてた分…みんなが別れの寂しさを凄く強く感じてた。
『じゃあ…私も一緒に…いい?啓介くん』
詩織がそう言うと…。
『私もどんなところなのか、見てみたいわ。信吾くんのご実家のあるところ』
…ナオさんも続いてそう言った。
『じゃあ、ナオがそう言うなら私も行くことになるわね』
『なんだよ。じゃあ俺も行こうかな!』
アンナさんも、大基さんも…。
それで結局…。
『よっしゃあ!じゃあ全員で…信吾を実家まで見送るかぁ!』
『やっぱりアンナファミリーは、そうこなくっちゃあ!あははは』
『信吾のお母さんに会えるよね。去年の夏振りなんだけどー♪』
…急に、また盛り上がって騒がしさを取り戻したアンナファミリーのみんな。
やっぱり僕は、このアンナファミリーが…うん。
口にするのは恥ずかしいけど…僕はみんなが本当に大好き。
『良かったわね。金魚』
アンナさんが微笑んで、僕にそう優しく声を掛けてくれた。
『はい。嬉しいです…』
金魚をジロリと見る樋口の顔…ちょっと怒ってたようにも見えた…。
う、うん。もう少し樋口と小まめに連絡取り合っても良さそうかな…。
《樋口が次の瀬ヶ池の1番の女の子になる計画》とか《"カラフル"管理者としての報告》とか、今後も色々と聞きたいこととかあるし…。
『んま、そういうことで…まだ少しだけ時間、いいよな?』
秋良さんが歩美さんと僕に、そう訊いてきた。
『…いい?』
歩美さんも僕を見る…僕は『あ、はい。大丈夫です』って、秋良さんと歩美さんに返答した。
『じゃあ金魚。この近くで休憩できる店とか…お前知ってるか?』
僕はふと思い出す…確か、僕の母校である緑川北高の近くに…。
『あ、あります。カフェスィーツ店とかじゃないですけど、ちょっとお洒落な喫茶店とか』
『ほぉ…あるか。よし』
『みんなー、今日はここでお別れねー。私たちの初詣に、付き合ってくれてありがとーう!またねー!』
詩織が、僕らを囲む瀬ヶ池の女の子たちに手を振る。
そして詩織はここへ来たときとは違い、今度は啓介さんの車に乗り込んだ。
今も動画撮影を続けている瀬ヶ池の女の子たち。手を振った詩織にみんなが手を振って返していた。
『じゃあ、行こう金魚ちゃん。お洒落な喫茶店までの案内、宜しくね』
『はい。えっと…まずは駐車場を出ます』
僕の乗り込んだ歩美さんの車が、先導するため一番に走り出した。
『あははは。まぁそうだよね』
…??
何がそうなの?
なぜか…歩美さんは笑ってた。
歩美さんの車に続き、秋良さんの車…アンナさんの車…啓介さんの車…大基さんの車の順で、岸鉾神社の駐車場を出ていく。
アンナファミリーの不思議なところは、場所なんて関係なくメンバー全員が集まれさえすれば、騒がしくずっとお喋りして、笑い合って、夢みたいに楽しい時間を過ごせること。
そして…あっというまに時間が過ぎていくこと…。
僕の母校の近くのお洒落な喫茶店に入って、それぞれ好きな飲み物と、このお店の唯一のスィーツ《ホットケーキ》を注文して…お店には、ちょっと騒がし過ぎてご迷惑だったかもしれないけど…そんなこんなで、みんなで楽しく過ごしていたら…。
『あー。もう11時かぁ』
…午前10時57分。
秋良さんがまた、みんなの顔を見た。
『喫茶店を出たら、ここで解散か…?』
詩織や春華さんや歩美さん、啓介さんや大基さんも…なんか急に寂しそうな表情をしてた。
あんなに楽しかった雰囲気が、急に冷めたようにも感じた…。
『詩織は、いつから今年の仕事初めだったかしら…?』
アンナさんが詩織にそう訊いた。
『うん。私も信吾も…3日から。だから明日にはまた、東京のマンションに戻らなきゃ…』
詩織が、いよいよ更に寂し気な顔をした。
『今度…いつ、またアンナファミリー全員で集まれるか…分からないね…』
『あぁ…』
遂に、秋良さんまで寂しそうな顔に…。
そしてしばらく全員が静かになってしまった…と思っていたら…。
『なぁ…信吾…』
『あ、はい…』
秋良さんは僕に、少し堅苦しく笑って見せた。
『お前を見送るの、歩美ちゃんだけじゃ…寂しいだろ?』
僕は少し躊躇しながらも…正直にウンと小さく頷いた。
『なぁ、俺もお前ん家まで見送っていいか?』
…えっ?
『なぁ、いいか?春華』
秋良さんは僕を見たまま、春華さんにそう訊いた。
『うん。私は別に。秋良くんがいいなら』
『秋良くん…』
アンナさんも、心配そうに秋良さんに声を掛けた。
『だってよ、ここで信吾らと《じゃあ、またいつか!》って…なんか寂しいじゃんか…なぁ』
ファミリーの全員で、わいわいと楽しく過ごせてた分…みんなが別れの寂しさを凄く強く感じてた。
『じゃあ…私も一緒に…いい?啓介くん』
詩織がそう言うと…。
『私もどんなところなのか、見てみたいわ。信吾くんのご実家のあるところ』
…ナオさんも続いてそう言った。
『じゃあ、ナオがそう言うなら私も行くことになるわね』
『なんだよ。じゃあ俺も行こうかな!』
アンナさんも、大基さんも…。
それで結局…。
『よっしゃあ!じゃあ全員で…信吾を実家まで見送るかぁ!』
『やっぱりアンナファミリーは、そうこなくっちゃあ!あははは』
『信吾のお母さんに会えるよね。去年の夏振りなんだけどー♪』
…急に、また盛り上がって騒がしさを取り戻したアンナファミリーのみんな。
やっぱり僕は、このアンナファミリーが…うん。
口にするのは恥ずかしいけど…僕はみんなが本当に大好き。
『良かったわね。金魚』
アンナさんが微笑んで、僕にそう優しく声を掛けてくれた。
『はい。嬉しいです…』
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