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G.F. - 再始動編 -

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…午前7時25分。
僕と歩美さんは実家の玄関先で、僕の父さんと母さんに見送られていた。

深夜から早朝に掛けて降っていた小雪も、今は止んでいた。
まだ少し暗い空…積もった雪も、全然大したことなさそうだった。

玄関の明かりに照らされて、僕らへと向かって伸びる父さんと母さんの影。


『信吾くんのお母さん。朝ご飯、とても美味しかったです。ありがとうございました…』


歩美さんは、母さんにお礼を言って、今日何度目かのお辞儀をした。



『どういたしまして。信ちゃんの帰りも、また宜しくね』

『はい!それと…お父さんも、ありがとうございました…』


今度は父さんにも、深々とお辞儀をした歩美さん。


『高速道では、あまり飛ばさず安全運転でな』

『はい。お気遣いありがとうございます』


歩美さんは笑顔で振り返ると、僕を見た。


『じゃあ…そろそろ行こっか。信吾くん』

『はい。遅くなるから』


僕と歩美さんは、歩美さんの車へと歩いてゆく。
歩美さんは運転席側へ。僕は助手席側へ。


「ほら…お父さん!最後にもう一度言ってあげて!」

「えっ?お、おう…分かった」


…?


『信吾、歩美ちゃん』

『…はい?』


父さんの声…それで歩美さんはもう一度振り返った。
それで僕も、歩美さんに続いて振り返る。


『二人とも可愛いぞ。それに本当に、本当の姉妹みたいだ』


歩美さんは満面の笑顔で、大きな声で返した。


『ありがとうございます!お父さん!』


歩美さんは運転席に座りかけたけど、ハッと気付いたのかそれをやめて…車の前方から回って、僕が助手席に座るのを手助けしに来てくれた。

そして今一度、改めてまた運転席に座る。



僕の実家から真山市の隣の緑川市の岸鉾神社までは、下道で約50分。だから僕らは本当だったら、実家を午前7時前に出るはずだった。
だけど、父さんと母さんのおかげで…。


『突然初めて来た私に、信吾くんのお母さんもお父さんも、私に優しくしてくれて…嬉しかった』

『父さんは普段は…だけど、母さんはいつも、あんな楽天的な感じです』

『あはは。そうなんだ。帰ってきたらお父さんにも、お年玉のお礼をちゃんと言わなきゃ…』




…ダイニングルームで座っていた、まるで瓜二つな顔の振り袖姿の僕と歩美さんを見て、戸惑いの表情を見せていた父さん。
僕も父さんのそんな様子を見て、僕の笑顔からも血の気が引いていくのを感じていた…のに母さんは、そんなことなんかお構いなしって感じで…。


『いきなりだけど、お父さんにクイズです。この二人のどーっちが信ちゃんですか?はい。答えて』


父さんは更に困惑して、一度は『ちょっと…顔を洗ってくる…』って洗面所へ向かったけど、戻ってきたら、母さんからまた同じ質問。


『おかえり。はいじゃあ答えて。間違えたら二人にお年玉の罰ゲームよ』


父さんの人差し指は…ふらふらと迷いながら『信吾は…こっちか?』って。
すると母さん…。


『ブー。そっちは歩美ちゃんでした。あはは』


父さんの頭の中では《信吾の友達が、母さんに振り袖を着付けてもらいに来る》っていう誤解の記憶があったから、歩美さんを選んだのかもしれない。

結局父さんは、僕と歩美さんに5,000円ずつ、お年玉をあげることに…。
だけど不思議なんだけど父さん…あのとき、緊張が解けたように心地よく笑ってたんだ。罰ゲームでお年玉を出すことになったのに。

歩美さんは『そんなの悪いです…このお金は貰えません』っていうのに対して母さんの『いいから。遠慮なくもらって!』の遠慮合戦。
お年玉は貰えないと、一歩も引かない歩美さんに母さんは…。


『…だったら。私たちからの高速代金だと思って。信ちゃんを車で送ってもらえるんだし』


『それで、その代わりにもう少し、この家でゆっくりしていって』って。『歩美ちゃんとはもう少し、お話してみたいし』って母さんが。
岸鉾神社までの下道、1時間くらいを想定して計画していた歩美さん。もう朝ご飯のために何処かの飲食店に入る予定も更に無くなったし、余裕のできたその時間で、母さんはまた歩美さんと、今度は父さんも混ぜて、さっきの話の続きを始めていた。

美波県藤浦市…加えてあの《女の子の誰もがお洒落になれる街》である早瀬ヶ池で、僕の女装姿の女の子《池川金魚》が有名であること…歩美さんは初めは東京で働いていたこと…仕事中に何度も《あの有名な金魚!?》って誤解されてたときのこと…そして僕と詩織と鈴ちゃんが、お店に閉じ込められた歩美さんを助けたときのこと…衣装縫製のデザイン業に憧れていた話…その夢が叶った話…。











































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