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G.F. - 再始動編 -
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『ほらほらみんなー。それぐらいにしときなよー』
海音さんもそう言いながら『斯く言う私も好きなんだけどねー。詩織ちゃんのこと』って。詩織にウィンクして見せた。
『お疲れさま。頑張ったわね。あなた達』
歩き寄ってきてくれた早坂美雪さん。
メンバーが全員で揃って『はい!ありがとうございまーす』と返事。
『控え室まで聴こえてたわよ。それで次は私の出番だけど、私は2曲歌って帰るだけだから』
『はい!頑張ってください!』
『私たちも黒子姿でまた観に行きます!』
『行きます』
『最前列に突っ込みます』
あの怪しい黒いコート姿…あれ《黒子姿》って言うのかぁ。
手慣れたようにそう呼んでいるメンバーたち。
ルール違反の常習犯…か。
『あははは。あなた達、面白い子たちだからまた共演したいわね』
美雪さんは優しく、好意ある笑顔を見せてくれた。
『はい!ありがとうございます!』
『嬉しいです!』
『今度はテレビとかラジオとかで…あっ』
美雪さんが和服の胸元で、小さく拝むように両手をパチンと叩いた。
その指が白くて細くて凄く綺麗…あ、余談すみません。
『来年の春にラジオ出演に呼ばれてるの。そうね…あなた達を呼んでいいか訊いてみるわ』
『ほっ本当ですか!?』
『ありがとうございます!』
『今から何を話せばいいのか』
『早速ながら考えておきます』
…なんて話していたら、特設ステージ担当のスタッフさんが控え室に入ってきた。
『早坂美雪さん。出番です』
『あははは。じゃあ行ってくるわね』
美雪さんは小さく手を振って、控え室を出ていった。
和装を着こなし出ていくその姿も、もの凄く綺麗な美人姿とか…さすがは大御所の演歌歌手さん。
…午後からの2回目も、初めは沖縄演舞の人たち。次にバイオリン奏者のペア。そしてピプレに美雪さん。
順番はもちろん変わらず、特設ステージでの演出タイムは全て終わった。
2回目の詩織の自己紹介は、言葉が飛ぶこともなく1度目よりは出来てたし、笑顔も維持できてたしで良かった。
早坂美雪さんの所属事務所は《アイアンドアール・レコード株式会社》というところらしい…へぇ。
まだステージ出演が終わったばかりなのに、このまま東京都内の某高級ホテルへ移動して、今夜はゲストを交えながらのディナーショーらしい。
聞いてるだけで、なんだか忙しさが伝わってきて、僕らまで疲れそう…。
『今年の大晦日の紅白は、私も出て歌うから。観て応援してね』
『はい!もちろんです!』
『絶対観ます!』
『ブルーレイに録画して…観ます』
『大晦日は、明日佳と年越しを迎えます』
…明日佳ちゃんと心夏ちゃん…『リアルタイムでは観ません』って言ってるようなもんなんだけど…。
いいんだろうか…?
今日の出演スケジュールが全て終わり、一旦堀内芸能事務所へと全員で戻ってきて、私服に着替えて解散。
僕と詩織は更にそこから冴嶋プロダクションの事務所へ。
池田さんとも話をして…そこで僕と詩織も解散。
『…いいよね?』
『ん?なにが?』
『29日はご実家へ帰るのよ。冬休み』
…解散の前に、冴嶋プロダクションビルの前で、詩織に再確認された。
『うん。解ってるよ』
『でも28日までは、一緒にいられるんだからね』
『うん。解ってるって』
そう言って僕は笑った。
詩織は28日に、東京のお土産を買ってくるから、実家の母さんに渡してほしい…って言ってくれた。
『うん…ありがとう』
『じゃあ、行くね。気を付けて帰ってね』
『はーい。詩織、お疲れさま』
『うん。信吾もありがとう』
…さて。
僕は一旦家に帰ったらまた着替えて、いつものとおり夜は自動車学校ですよ…と。
あ!
そういえば…自動車学校に《休校届》出しておかないと。
東京メトロの電車に乗った僕…藤浦市と相変わらず、電車の窓から東京や千葉の街を眺める日々…。
…東京の女の子たちには、デビュー前から岡本詩織のことを知ってる子がいる。
そりゃ東京の女の子の全員ではないんだろうけど…。
それが今後の詩織の芸能活動にどう影響するのか…しないのか。
プラスとなるかマイナスとなるか…。
来年の春には、あの丹波彩乃も大学を卒業して、東京に来るんだ…。
期待あれば不安もある…。
アイドル?じゃなくて女優?詩織が将来の自分を思い描き、最終的に行き着くところは…?
池田さんが言ってた"3ヶ月“…。
じゃあ、3ヶ月後の詩織は…?
どうなってる…?
独りになるといつも考えてしまう…少し頭が痛くなる。
詩織を僕が守ってあげないと…支えてあげないと。
アンナさんとの約束だし。
それと…冴嶋プロダクションから期待されている《池川金魚のデビュー?》。
あー!!くそーっ!!
気持ちがドカンと重いし!なんだかモヤモヤするー!!
…待て。落ち着け…落ち着いてくれ…信吾。
今ここで未来のことを考えても、今はどうにもならないんだから…。
海音さんもそう言いながら『斯く言う私も好きなんだけどねー。詩織ちゃんのこと』って。詩織にウィンクして見せた。
『お疲れさま。頑張ったわね。あなた達』
歩き寄ってきてくれた早坂美雪さん。
メンバーが全員で揃って『はい!ありがとうございまーす』と返事。
『控え室まで聴こえてたわよ。それで次は私の出番だけど、私は2曲歌って帰るだけだから』
『はい!頑張ってください!』
『私たちも黒子姿でまた観に行きます!』
『行きます』
『最前列に突っ込みます』
あの怪しい黒いコート姿…あれ《黒子姿》って言うのかぁ。
手慣れたようにそう呼んでいるメンバーたち。
ルール違反の常習犯…か。
『あははは。あなた達、面白い子たちだからまた共演したいわね』
美雪さんは優しく、好意ある笑顔を見せてくれた。
『はい!ありがとうございます!』
『嬉しいです!』
『今度はテレビとかラジオとかで…あっ』
美雪さんが和服の胸元で、小さく拝むように両手をパチンと叩いた。
その指が白くて細くて凄く綺麗…あ、余談すみません。
『来年の春にラジオ出演に呼ばれてるの。そうね…あなた達を呼んでいいか訊いてみるわ』
『ほっ本当ですか!?』
『ありがとうございます!』
『今から何を話せばいいのか』
『早速ながら考えておきます』
…なんて話していたら、特設ステージ担当のスタッフさんが控え室に入ってきた。
『早坂美雪さん。出番です』
『あははは。じゃあ行ってくるわね』
美雪さんは小さく手を振って、控え室を出ていった。
和装を着こなし出ていくその姿も、もの凄く綺麗な美人姿とか…さすがは大御所の演歌歌手さん。
…午後からの2回目も、初めは沖縄演舞の人たち。次にバイオリン奏者のペア。そしてピプレに美雪さん。
順番はもちろん変わらず、特設ステージでの演出タイムは全て終わった。
2回目の詩織の自己紹介は、言葉が飛ぶこともなく1度目よりは出来てたし、笑顔も維持できてたしで良かった。
早坂美雪さんの所属事務所は《アイアンドアール・レコード株式会社》というところらしい…へぇ。
まだステージ出演が終わったばかりなのに、このまま東京都内の某高級ホテルへ移動して、今夜はゲストを交えながらのディナーショーらしい。
聞いてるだけで、なんだか忙しさが伝わってきて、僕らまで疲れそう…。
『今年の大晦日の紅白は、私も出て歌うから。観て応援してね』
『はい!もちろんです!』
『絶対観ます!』
『ブルーレイに録画して…観ます』
『大晦日は、明日佳と年越しを迎えます』
…明日佳ちゃんと心夏ちゃん…『リアルタイムでは観ません』って言ってるようなもんなんだけど…。
いいんだろうか…?
今日の出演スケジュールが全て終わり、一旦堀内芸能事務所へと全員で戻ってきて、私服に着替えて解散。
僕と詩織は更にそこから冴嶋プロダクションの事務所へ。
池田さんとも話をして…そこで僕と詩織も解散。
『…いいよね?』
『ん?なにが?』
『29日はご実家へ帰るのよ。冬休み』
…解散の前に、冴嶋プロダクションビルの前で、詩織に再確認された。
『うん。解ってるよ』
『でも28日までは、一緒にいられるんだからね』
『うん。解ってるって』
そう言って僕は笑った。
詩織は28日に、東京のお土産を買ってくるから、実家の母さんに渡してほしい…って言ってくれた。
『うん…ありがとう』
『じゃあ、行くね。気を付けて帰ってね』
『はーい。詩織、お疲れさま』
『うん。信吾もありがとう』
…さて。
僕は一旦家に帰ったらまた着替えて、いつものとおり夜は自動車学校ですよ…と。
あ!
そういえば…自動車学校に《休校届》出しておかないと。
東京メトロの電車に乗った僕…藤浦市と相変わらず、電車の窓から東京や千葉の街を眺める日々…。
…東京の女の子たちには、デビュー前から岡本詩織のことを知ってる子がいる。
そりゃ東京の女の子の全員ではないんだろうけど…。
それが今後の詩織の芸能活動にどう影響するのか…しないのか。
プラスとなるかマイナスとなるか…。
来年の春には、あの丹波彩乃も大学を卒業して、東京に来るんだ…。
期待あれば不安もある…。
アイドル?じゃなくて女優?詩織が将来の自分を思い描き、最終的に行き着くところは…?
池田さんが言ってた"3ヶ月“…。
じゃあ、3ヶ月後の詩織は…?
どうなってる…?
独りになるといつも考えてしまう…少し頭が痛くなる。
詩織を僕が守ってあげないと…支えてあげないと。
アンナさんとの約束だし。
それと…冴嶋プロダクションから期待されている《池川金魚のデビュー?》。
あー!!くそーっ!!
気持ちがドカンと重いし!なんだかモヤモヤするー!!
…待て。落ち着け…落ち着いてくれ…信吾。
今ここで未来のことを考えても、今はどうにもならないんだから…。
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