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G.F. - 再始動編 -
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LINEのアプリに『この人は知り合い?』みたいなことを訊かれたから…いちおう友達登録しておいた。
YOSHIKAさんが友達とか僕が言うなんて、凄く烏滸がましいことだけど。
…ん?
YOSHIKAさんのLINE通知のおかげで、その前の深夜2時33分に詩織から送られていたLINEに、今頃になって気付いた。
【詩織 {もいやだあああ)】
【詩織 {はやくかえりたいぃ…)】
…え?どういうこと?
詩織に何かあった…?
とりあえず僕は《もう少しだから詩織、頑張れー》《帰り待ってるから》と返事を書いておいた。
詳しいことは、詩織がタレント養成スクールから帰って来てから訊こう。
午前7時24分。
僕は簡単に朝食を済ませ、洗顔も歯磨きも終わらせて、今から今日の出掛ける服を考えよう…ってときに咄嗟に…。
…YOSHIKAさんにLINEで電話。
…出ない。呼び出し音がずっと鳴っているのに、YOSHIKAさんは出てくれな…!
「もしもーし。おはよ。信吾くん」
『おはようございます。YOSHIKAさん』
「ごめんねー。朝のお風呂のあとで今、ドライヤーで髪を乾かしてたもんだからさ、電話の音が聞こえなかったの」
『はい。で、今日の僕の女装のことなんですが…』
「うん!来てくれるの!?女の子信吾くんで!?」
僕は『お約束どおり、女装して行きます。けど…』と併せて、YOSHIKAさんに一つ条件を提示した。
「…うん。いいよ。分かったわ」
『じゃあ…あとで。今日も宜しくお願いします』
「うん。じゃまたあとでねー」
今日着る服は、冬用のもこもこ厚め生地の、深いエメラルドグリーンの膝上丈ワンピース。
肩から脇元にかけてフリルが付いている。そしてワンピースの上から腰部に茶色の革製ベルト。
寒いから黒ストは穿く。靴はベルトと同色の6.5cmヒールのショートブーツ。
着替えのあとメイクも済んで、左耳にいつもの《あのピアス》を着けた…そのタイミングで玄関のチャイムが鳴った。
雄二さんが迎えに来てくれたんだ。
《池川金魚》の準備をほとんど終えた、午前8時9分。
僕は少し慌てて《金魚専用メイクボックス》を持ち上げ、玄関へと向かって玄関の扉をゆっくりと開ける。
『雄二さん、おはようございます…』
『おは…お?なんだ信吾…じゃないか。金魚だったか』
『…あ、はい』
雄二さんが、何とも言えない表情で僕に訊いた。
『今日は、その格好で撮影現場へ行くのか?』
『…はい。昨夜、雄二さんが帰ったあと…色々とありまして…』
雄二さんの車に乗り、船橋市から新宿まで、有料道路を利用しながら移動…約1時間。
そして今ようやくお店の前。時間は午前9時11分。
今日もここ…都内新宿区某所で撮影。撮影は午前10時からの予定。
その撮影場所とは、都内でも有名なオーセンティックバー。
とある商業ビルの地下1階にあるお店。
お店は午後7時から始まるらしくて、その《準備中》の午前にお店をお借りして撮影するんだとか。
『おはよーう』
『おはようございます!』
『中澤さん、おはようございます』
そのビルの階段をリズムよく駆け下り、お店に先に入ったのは雄二さん。
僕は雄二さんの後ろを遅れて追うように、続いてお店に入る。
お店の中は照明を点けているみたいだけど、でも少し暗かった。
お店は手前にカウンター。奥に3組座れる高級ソファーのテーブル席。
バーカウンターの背の高い棚には、お高そうな外国のお酒や日本のお酒がびっしりと綺麗に並んでいる。
『お…おはようございます』
『おはようございまーす!』
『おはようございます』
スタッフの皆さんも、僕に元気に挨拶してくれたものの…。
表情は全員『…ん?』って感じになってる…。
んまぁ…仕方ないよね。
『あの…中澤さん、その初めて見る女の子は…?』
『おぉー。やったね!信吾ちゃん!』
先に来て、お店の奥に座って待っていたYOSHIKAさん。
黒色のロングのダウンコートを着ている。
YOSHIKAさんはゆっくりと歩いてきて、僕の前に立った。
よく見てる…じーっと僕を…。
『へぇ…えっ、やだ待って!…信吾ちゃん!ばっちかわじゃないのぉ♪』
ダウンコートの上から僕を軽めにハグして、ブンブンと僕の体を強く揺すっているYOSHIKAさん…ちょっと痛い…。
『かーわーゆーいー♪』
『あの…YOSHIKAさん、可愛らしいこの子とお知り合いなんですか…?』
女性スタッフの一人が、YOSHIKAさんにそう訊いた。
YOSHIKAさんが友達とか僕が言うなんて、凄く烏滸がましいことだけど。
…ん?
YOSHIKAさんのLINE通知のおかげで、その前の深夜2時33分に詩織から送られていたLINEに、今頃になって気付いた。
【詩織 {もいやだあああ)】
【詩織 {はやくかえりたいぃ…)】
…え?どういうこと?
詩織に何かあった…?
とりあえず僕は《もう少しだから詩織、頑張れー》《帰り待ってるから》と返事を書いておいた。
詳しいことは、詩織がタレント養成スクールから帰って来てから訊こう。
午前7時24分。
僕は簡単に朝食を済ませ、洗顔も歯磨きも終わらせて、今から今日の出掛ける服を考えよう…ってときに咄嗟に…。
…YOSHIKAさんにLINEで電話。
…出ない。呼び出し音がずっと鳴っているのに、YOSHIKAさんは出てくれな…!
「もしもーし。おはよ。信吾くん」
『おはようございます。YOSHIKAさん』
「ごめんねー。朝のお風呂のあとで今、ドライヤーで髪を乾かしてたもんだからさ、電話の音が聞こえなかったの」
『はい。で、今日の僕の女装のことなんですが…』
「うん!来てくれるの!?女の子信吾くんで!?」
僕は『お約束どおり、女装して行きます。けど…』と併せて、YOSHIKAさんに一つ条件を提示した。
「…うん。いいよ。分かったわ」
『じゃあ…あとで。今日も宜しくお願いします』
「うん。じゃまたあとでねー」
今日着る服は、冬用のもこもこ厚め生地の、深いエメラルドグリーンの膝上丈ワンピース。
肩から脇元にかけてフリルが付いている。そしてワンピースの上から腰部に茶色の革製ベルト。
寒いから黒ストは穿く。靴はベルトと同色の6.5cmヒールのショートブーツ。
着替えのあとメイクも済んで、左耳にいつもの《あのピアス》を着けた…そのタイミングで玄関のチャイムが鳴った。
雄二さんが迎えに来てくれたんだ。
《池川金魚》の準備をほとんど終えた、午前8時9分。
僕は少し慌てて《金魚専用メイクボックス》を持ち上げ、玄関へと向かって玄関の扉をゆっくりと開ける。
『雄二さん、おはようございます…』
『おは…お?なんだ信吾…じゃないか。金魚だったか』
『…あ、はい』
雄二さんが、何とも言えない表情で僕に訊いた。
『今日は、その格好で撮影現場へ行くのか?』
『…はい。昨夜、雄二さんが帰ったあと…色々とありまして…』
雄二さんの車に乗り、船橋市から新宿まで、有料道路を利用しながら移動…約1時間。
そして今ようやくお店の前。時間は午前9時11分。
今日もここ…都内新宿区某所で撮影。撮影は午前10時からの予定。
その撮影場所とは、都内でも有名なオーセンティックバー。
とある商業ビルの地下1階にあるお店。
お店は午後7時から始まるらしくて、その《準備中》の午前にお店をお借りして撮影するんだとか。
『おはよーう』
『おはようございます!』
『中澤さん、おはようございます』
そのビルの階段をリズムよく駆け下り、お店に先に入ったのは雄二さん。
僕は雄二さんの後ろを遅れて追うように、続いてお店に入る。
お店の中は照明を点けているみたいだけど、でも少し暗かった。
お店は手前にカウンター。奥に3組座れる高級ソファーのテーブル席。
バーカウンターの背の高い棚には、お高そうな外国のお酒や日本のお酒がびっしりと綺麗に並んでいる。
『お…おはようございます』
『おはようございまーす!』
『おはようございます』
スタッフの皆さんも、僕に元気に挨拶してくれたものの…。
表情は全員『…ん?』って感じになってる…。
んまぁ…仕方ないよね。
『あの…中澤さん、その初めて見る女の子は…?』
『おぉー。やったね!信吾ちゃん!』
先に来て、お店の奥に座って待っていたYOSHIKAさん。
黒色のロングのダウンコートを着ている。
YOSHIKAさんはゆっくりと歩いてきて、僕の前に立った。
よく見てる…じーっと僕を…。
『へぇ…えっ、やだ待って!…信吾ちゃん!ばっちかわじゃないのぉ♪』
ダウンコートの上から僕を軽めにハグして、ブンブンと僕の体を強く揺すっているYOSHIKAさん…ちょっと痛い…。
『かーわーゆーいー♪』
『あの…YOSHIKAさん、可愛らしいこの子とお知り合いなんですか…?』
女性スタッフの一人が、YOSHIKAさんにそう訊いた。
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