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15話 謝罪

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「息子のガストがとんでもない依頼をしたようで……本当に申し訳なかった!」

「い、いえ……そんなことは……お顔を上げてください……陛下」


 ヴェール家に前代未聞の事態は起こっていた。なんとシュタイン・モリアーヌ国王陛下が謝罪に訪れたのだ。お父様である、ラグド・ヴェールも驚きを隠せていない。


「いや、そのように言っていただけるのは本当にありがたいことだが……済まなかった!」

「シュタイン国王陛下、そのような謝罪はあまり意味を成さないかと思われます」

「其方はクライブ・マーガレット公爵だったな? どういう意味だ?」


 シュタイン国王陛下からの質問に、クライブは静かに答える……。


「国王陛下……失礼ながら、ルリアはガスト王子殿下のことを忘れようとしています。現在のところ、ガスト王子殿下が子供を孕んだことによる被害は、ヴェール家には出ておりません」

「そ、そうなのか……!?」

「はい、シュタイン国王陛下……直接的な被害は出ていないです」

「それは良かった……何よりだよ」

「いえ、勿体ないお言葉でございます……国王陛下」


 匿うように言われたのは事実だけれど、それによる被害報告は現在のところ出ていない。悪いうわさが流れているといったこともないようだった。その点は非常に安心である。

「ルリア、君は国王陛下に謝罪されることを望んでいるか?」

「それは……」


 クライブは私が謝罪を望んでいないことを分かっていた。確かにそれは合っている……一刻も早く、ガスト様との関係を絶ちたいと考えているからだ。


「シュタイン国王陛下、わざわざ、謝罪に来て下さったことは非常に嬉しいです。ですが……私はガスト様とのことは、出来るだけ忘れたいと思っておりまして……」

「なるほど、そういうことだったか。確かに其方の身に起こったことを考えれば当然のことか。配慮が足りないようで申し訳なかった」

「いえ……そのようなことはありません……」


 モリアーヌ王国の最高権力者である、シュタイン・モリアーヌ……そのお方が目の前で、私に謝罪をしている。その時点で既に何かがおかしかった。逆に言えば、そのくらいの事態が起こったことを意味しているのだ。それが、ガスト様の孕みまくり事件……彼は現在、部屋に軟禁状態らしい。


「国王陛下、1つお伺いしても宜しいでしょうか?」

「なにかな? ルリア嬢」

「ガスト様は今後、どのような処罰を受けるのでしょうか……? 部屋に軟禁状態とは伺っていますが」

「そうだな、それは議会次第だろうが……」


 やはり議会の審議には掛けられる案件なのね。まあ、当たり前か……犯罪者、というわけじゃなくても、見方によっては、国家反逆罪に近いことをやらかしたのだから。

 どのみち、只では済まないのは確実ね。
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