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10話 ガスト王子殿下の訪問 その2

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 ガスト第二王子殿下視点……。


 ルリアはなんだか面倒そうな表情をしているな……まあ、分からんでもないが。こいつは本当に腹の立つ女だ。私がせっかく他の女と楽しんでいたのに、水を差した存在だからな……。不敬罪に問うてやっても良いのだが、あいにく今日の用件はそんなことではない。


「これはガスト・モリアーヌ第二王子殿下……お久しぶりでございます」

「ほう……其方は、クライブ・マーガレット公爵ではないか。久しぶりだな、なぜこんなところに居るのだ?」

「それまあ、色々とありまして……」

「ん? まあ、どうでも良いがな……」


 クライブ・マーガレット公爵がなぜ、ルリアの部屋に居るのかは謎だな……知り合いだったのか? もう少し突っついてもいい気もするが、私もそこまで野暮ではないよ。ふははははははっ。

「まあ、クライブ殿がこの場に居るのは良いとしてだな」

「はい、ガスト様。ご用件はどういったものになりますでしょうか?」

「なんだ、そんなことも分からないのか?」

「は、はい……申し訳ありません……」


 まったく察しの悪い女だな、ルリアは。本当に私の婚約者だったのか、こいつは……? まあ、五月蠅いだけのカスだったのだし仕方ないか……はあ、これだから低級の貴族は困るのだ。

 仕方がない……用件を伝えてやるのも、上位者の務めだ。特別に教えてやるとするか。


「実はお前も知っている通り、私は色々な女と寝た経験があるのだが……」

「は、はあ……そうですよね……?」

「まあ、興奮し過ぎてまあ……そのなんだ、あれだったこともある」

「避妊をしていなかったことがある、ということですか?」

「あ、ああ……まあ、そういうことだ」


 ルリアめ……処女のはずなのに、案外ハッキリと言うのだな。この点に関しては意外だった。それとも、私のことなど既に眼中にないのか。いや、違うなこれは……私への愛情はしっかりと残っているが、婚約破棄になってしまった手前、素直にはなれない状況なのだろう。ふふふ、モテる男はやはり違うな。


「それで、ガスト様……一体、そのことが何を意味するのでしょうか? 今更、そのようなことを私におっしゃっても仕方がないと思うのですが……?」

「ああ、それは分かっている。私が言いたいのはその後だ。まあ、そういうこともあってな……まあ、つまり……予期せぬことに私の子供が各地で誕生しそうなのだ」

「はいっ……? それってつまり、数々の女性を妊娠させてしまった、ということでしょうか?」

「ま、まあ……そういうことだな……」


 本当にルリアはハッキリと言うな……くそ、調子が狂ってしまうぞ。まあ良い、とにかく今回の私の失態をヴェール家にも負ってもらうように話を進めれば良いのだ。まさか、第二王子殿下であり、元婚約者でもある私の言葉に逆らうはずはないからな。ははっ、女なんて単純なものだ。
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