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8話 ガスト王子殿下の現状 その2
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私は本日、クライブ・マーガレット公爵と私室で会っていた。あの日から、何日か経過している。
シューミートには邪魔されてしまったので、彼とのキスはまだ出来ていないけれど、それはもういつでも可能な状態になっているのだ。なぜならば……私達は婚約を前提に付き合うことにしたのだから。正式に婚約関係にはまだなっていないけれど、それも時間の問題だった。
「クライブとこういう関係になれる日がくるとは、本当に思っていなかったわ。運命って不思議なものよね」
「本当だね、ルリア。僕としても信じられないよ。君がガスト王子殿下を選んだから、この初恋はそこで途絶えたと思っていた」
「考えていることは同じだったのね」
「そうだね。しかし、僕は君への想いを持ち続けて正解だったよ。まさか君が、ガスト王子殿下に婚約破棄をされるなんて思いもしなかったからさ」
「ええ……人生一寸先は闇、というものを感じたわ」
「そうだろうね……」
ガスト様の性格なども酷かったけれど、あの浮気三昧は本当にどうかしているとしか思えなかった。もっと、下の位の王子であればともかく、彼は第二王子に該当するだけに余計に酷く感じてしまう。
「一寸先は闇だったけど、クライブに連絡を取って再会できたことは光明だったわね。シューミートにも感謝しなくちゃ」
メイドのシューミートが私と彼を引き合わせてくれたと言っても過言ではないだろうし。最近は少し、それをネタにからかわれている気がするけれど。
「僕も君に告白出来て本当に良かったよ。ルリア、改めて僕の再度の告白に応じてくれてありがとう!」
「いえ、とんでもないことだわ。私の方こそ、まだ好きでいてくれてありがとう!」
お互いがお互いを愛し合っている……それがハッキリと分かる感謝の言葉となっていた。良い雰囲気だけれど……このまま彼に抱き着いて、キスするくらいなら許されるかしら? いえ……扉の向こうではシューミートが待機しているかもしれない。また、ケーキを持参しました、とか言って入って来るかも……。
私は意味の分からない警戒心に苛まれていた。まあいいわ。そっちはとりあえず置いておくとして……私はこの前に聞けなかった質問を試みる。気になっていたのよねずっと……。
「ねえ、クライブ。王家の方々についてなんだけれど……以前に話題に上がった時に、ガスト様以外もあんまり良くはない可能性を言っていなかった? あれって、どういう意味なの?」
「ああ、そのことか。まあ、そうだな……あまり他の人にペラペラとしゃべる内容ではないんだけど。ルリアはもう身内みたいなものだし構わないか」
「他言はしないから、よければ聞かせてくれない?」
「わかった、実は……」
と、クライブが王家について話し始めたまさにその時だった、私室の扉が開かれたのは。シューミートが入って来たのだ。彼女がノックもしないで入ってくるなんて……一体、何事だろう?
「ど、どうしたの? シューミート……?」
「申し訳ありません、ルリア様。クライブ様。ご報告したいことがございまして……」
「報告? 一体、どうしたの?」
シューミートは少し、焦っているようにも見られた。彼女が平常心でないなんて珍しい気がしてしまう。
「ガスト・モリアーヌ第二王子殿下が、この屋敷に本日来るようです……」
「ええっ!? ガスト様がっ!?」
「はい……」
私は意外過ぎる人物の名前に、驚きを取り越した声を上げてしまった。本当に人生は一寸先が分からない……まさか、屋敷にガスト様が来るなんてね。
シューミートには邪魔されてしまったので、彼とのキスはまだ出来ていないけれど、それはもういつでも可能な状態になっているのだ。なぜならば……私達は婚約を前提に付き合うことにしたのだから。正式に婚約関係にはまだなっていないけれど、それも時間の問題だった。
「クライブとこういう関係になれる日がくるとは、本当に思っていなかったわ。運命って不思議なものよね」
「本当だね、ルリア。僕としても信じられないよ。君がガスト王子殿下を選んだから、この初恋はそこで途絶えたと思っていた」
「考えていることは同じだったのね」
「そうだね。しかし、僕は君への想いを持ち続けて正解だったよ。まさか君が、ガスト王子殿下に婚約破棄をされるなんて思いもしなかったからさ」
「ええ……人生一寸先は闇、というものを感じたわ」
「そうだろうね……」
ガスト様の性格なども酷かったけれど、あの浮気三昧は本当にどうかしているとしか思えなかった。もっと、下の位の王子であればともかく、彼は第二王子に該当するだけに余計に酷く感じてしまう。
「一寸先は闇だったけど、クライブに連絡を取って再会できたことは光明だったわね。シューミートにも感謝しなくちゃ」
メイドのシューミートが私と彼を引き合わせてくれたと言っても過言ではないだろうし。最近は少し、それをネタにからかわれている気がするけれど。
「僕も君に告白出来て本当に良かったよ。ルリア、改めて僕の再度の告白に応じてくれてありがとう!」
「いえ、とんでもないことだわ。私の方こそ、まだ好きでいてくれてありがとう!」
お互いがお互いを愛し合っている……それがハッキリと分かる感謝の言葉となっていた。良い雰囲気だけれど……このまま彼に抱き着いて、キスするくらいなら許されるかしら? いえ……扉の向こうではシューミートが待機しているかもしれない。また、ケーキを持参しました、とか言って入って来るかも……。
私は意味の分からない警戒心に苛まれていた。まあいいわ。そっちはとりあえず置いておくとして……私はこの前に聞けなかった質問を試みる。気になっていたのよねずっと……。
「ねえ、クライブ。王家の方々についてなんだけれど……以前に話題に上がった時に、ガスト様以外もあんまり良くはない可能性を言っていなかった? あれって、どういう意味なの?」
「ああ、そのことか。まあ、そうだな……あまり他の人にペラペラとしゃべる内容ではないんだけど。ルリアはもう身内みたいなものだし構わないか」
「他言はしないから、よければ聞かせてくれない?」
「わかった、実は……」
と、クライブが王家について話し始めたまさにその時だった、私室の扉が開かれたのは。シューミートが入って来たのだ。彼女がノックもしないで入ってくるなんて……一体、何事だろう?
「ど、どうしたの? シューミート……?」
「申し訳ありません、ルリア様。クライブ様。ご報告したいことがございまして……」
「報告? 一体、どうしたの?」
シューミートは少し、焦っているようにも見られた。彼女が平常心でないなんて珍しい気がしてしまう。
「ガスト・モリアーヌ第二王子殿下が、この屋敷に本日来るようです……」
「ええっ!? ガスト様がっ!?」
「はい……」
私は意外過ぎる人物の名前に、驚きを取り越した声を上げてしまった。本当に人生は一寸先が分からない……まさか、屋敷にガスト様が来るなんてね。
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