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20話 婚約
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「ミレーヌ……」
「は、はい! グレス王子殿下……」
私はその日、グレス王子殿下の私室に呼び出されていた。なぜか、ジーン王女殿下も待機していたけれど。グレス王子殿下から大切な話があったと聞いたから、急いで向かったのだ。
「私と婚約をして欲しい」
「グレス王子殿下……はい、喜んで」
私はグレス王子殿下のその言葉に、迷うことなく答えた。お互いの気持ちは以前のデートなどでもハッキリしていたし、王族や貴族同士の婚約というものは、一般人のそれよりも敷居は低い。
元々は一般人に比べて政略結婚の可能性が圧倒的に高いのだから。好きになった、この人と一緒に過ごしたいと思った時点で婚約に進んだって問題ないのだ。その相手が昔から良く知っているグレス王子殿下であれば、これ程嬉しいものはないだろう。
バクラ様とは違い、私を本当の意味で大切にしてくれるだろうしね。
「ミレーヌとグレス兄さまが婚約……これが成立すれば、私はミレーヌの義妹になるのね。なんだか不思議な気分だわ」
「ああ、そういえばそうなりますね……私も不思議な気分です」
「ふふふ、でもそんなに悪い気はしないわ」
「私もですジーン王女殿下」
私達は自然に笑い合っていた。あのバクラ様との一件以来、彼女との仲がより親密になった気がする。もしかしたら、グレス王子殿下が居なければ、私はもしかしたら、ジーン王女殿下と……いえ、何でもないわ。
「ねえ、ミレーヌ。よければ今夜、私と一緒にお風呂に入ってその後は……」
「ええっ!?」
私は驚きの余り、凄い声を出してしまった。今の言葉は……確かにジーン王女殿下が言ったのよね?
「おいおい、勝手なことをいうんじゃない。それから、ジーン。そういう冗談はミレーヌにはまだ早いようだぞ」
「じょ、冗談……?」
真っ赤になっている私を見ながら、ジーン王女殿下はクスクスと笑っていた。は、嵌められた……。
「駄目でしてよ、グレス兄さま。せっかく、ミレーヌが慌てふためくところを観察しようかと考えていましたのに」
「ははは、それは悪いことをしたな。私としても見たかった」
「やめてくださいよ、二人とも! 心臓に悪いです……!」
私は笑い合っている二人に怒った。二人はそれすらも予想通りだったみたいだけれど。まだまだ、私はジーン王女殿下達に遊ばれる運命なのね。
楽しいけれど、いつか必ず見返してやるんだから!!
「まあ、でもこれでグレスお兄様との婚約が決まったわけではないのよ? まだまだ、お父様たちからの承認も必要なのだし……大変なのはこれからね」
「そうですね……」
「我が王家は色々と複雑な事情もあるからね。兄妹同士の仲は決して悪くはないから、しがらみ等で心配する必要はないと思うけどね」
「はい……」
このまま順調にいけば、私は王家に嫁げる。なんだか実感の湧かないことではあるけれど、現実味を帯びて来たわね。決して楽な道とはいかないだろうけれど……。
「ミレーヌ、心配事があれば私にいつでも連絡しなさい」
「はい、ジーン王女殿下」
近い内に義妹になる存在のジーン王女殿下やグレス王子殿下……彼らが居れば、私はきっと楽しくやっていけるという確信を持っていた。
私とグレス王子殿下の関係性はまだまだこれからだけれど、必ず実らせてみせるわ。協力してくれたジーン王女殿下の為にもね。
おしまい
「は、はい! グレス王子殿下……」
私はその日、グレス王子殿下の私室に呼び出されていた。なぜか、ジーン王女殿下も待機していたけれど。グレス王子殿下から大切な話があったと聞いたから、急いで向かったのだ。
「私と婚約をして欲しい」
「グレス王子殿下……はい、喜んで」
私はグレス王子殿下のその言葉に、迷うことなく答えた。お互いの気持ちは以前のデートなどでもハッキリしていたし、王族や貴族同士の婚約というものは、一般人のそれよりも敷居は低い。
元々は一般人に比べて政略結婚の可能性が圧倒的に高いのだから。好きになった、この人と一緒に過ごしたいと思った時点で婚約に進んだって問題ないのだ。その相手が昔から良く知っているグレス王子殿下であれば、これ程嬉しいものはないだろう。
バクラ様とは違い、私を本当の意味で大切にしてくれるだろうしね。
「ミレーヌとグレス兄さまが婚約……これが成立すれば、私はミレーヌの義妹になるのね。なんだか不思議な気分だわ」
「ああ、そういえばそうなりますね……私も不思議な気分です」
「ふふふ、でもそんなに悪い気はしないわ」
「私もですジーン王女殿下」
私達は自然に笑い合っていた。あのバクラ様との一件以来、彼女との仲がより親密になった気がする。もしかしたら、グレス王子殿下が居なければ、私はもしかしたら、ジーン王女殿下と……いえ、何でもないわ。
「ねえ、ミレーヌ。よければ今夜、私と一緒にお風呂に入ってその後は……」
「ええっ!?」
私は驚きの余り、凄い声を出してしまった。今の言葉は……確かにジーン王女殿下が言ったのよね?
「おいおい、勝手なことをいうんじゃない。それから、ジーン。そういう冗談はミレーヌにはまだ早いようだぞ」
「じょ、冗談……?」
真っ赤になっている私を見ながら、ジーン王女殿下はクスクスと笑っていた。は、嵌められた……。
「駄目でしてよ、グレス兄さま。せっかく、ミレーヌが慌てふためくところを観察しようかと考えていましたのに」
「ははは、それは悪いことをしたな。私としても見たかった」
「やめてくださいよ、二人とも! 心臓に悪いです……!」
私は笑い合っている二人に怒った。二人はそれすらも予想通りだったみたいだけれど。まだまだ、私はジーン王女殿下達に遊ばれる運命なのね。
楽しいけれど、いつか必ず見返してやるんだから!!
「まあ、でもこれでグレスお兄様との婚約が決まったわけではないのよ? まだまだ、お父様たちからの承認も必要なのだし……大変なのはこれからね」
「そうですね……」
「我が王家は色々と複雑な事情もあるからね。兄妹同士の仲は決して悪くはないから、しがらみ等で心配する必要はないと思うけどね」
「はい……」
このまま順調にいけば、私は王家に嫁げる。なんだか実感の湧かないことではあるけれど、現実味を帯びて来たわね。決して楽な道とはいかないだろうけれど……。
「ミレーヌ、心配事があれば私にいつでも連絡しなさい」
「はい、ジーン王女殿下」
近い内に義妹になる存在のジーン王女殿下やグレス王子殿下……彼らが居れば、私はきっと楽しくやっていけるという確信を持っていた。
私とグレス王子殿下の関係性はまだまだこれからだけれど、必ず実らせてみせるわ。協力してくれたジーン王女殿下の為にもね。
おしまい
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最後まで見ていただいてありがとうございました!
おっしゃる通り、次はジーン王女殿下の番ですね!
このまま問題無くハッピーエンドになるといいなぁ😄ワクワク
ありがとうございます!
ご期待くださいませ!
ミレーヌの性格いい感じですね♪
ミレーヌの性格を気に入っていただき嬉しいです