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17話 グレス王子殿下とのデート その1
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「待たせてしまったかな?」
「いえ、グレス王子殿下。私も先ほど来たばかりです」
私達はその日、以前から約束していたデートを行う為に待ち合わせをしていた。待ち合わせ場所は貴族街の森林公園にある一本杉だ。周辺は豪華な家々が並ぶ中、この森林公園だけは自然が豊富で気持ちが良い。デートには最適な場所であると言える。
「それでは早速……どこかへ行こうか?」
「はい、そうですね……よろしければ、この森林公園を少し歩きませんか?」
「ああ、構わないとも」
グレス王子殿下は快く承諾してくれる。私達は森林公園を散歩することにした。王子殿下とのデートが実現するなんて……一介の伯爵令嬢が相手の場合は異例と言えるだろう。周囲の貴族達も不可解にこちらを見ている。
やっぱり、グレス王子殿下は目立つわよね……その周囲には護衛の姿もあることだし。
「本日はジーン王女殿下は来られていないのですか?」
私は恥ずかしさから解放されたくて、素っ頓狂な質問をしてしまった。ジーン王女殿下が来ているわけがないのに……。
「ジーン? 今日は来ていないよ。流石に来ていたら驚くだろう?」
「そうですね……驚きます」
ジーン王女殿下はなんだかんだ言って、グレス王子殿下に懐いている。ブラコン気質を持ち合わせているはずだけれど、それ以上に私とグレス王子殿下の関係を応援してくれているようだった。だから、グレス王子殿下を心配して見に来たりはしていないと分かって安心した。
「いえ、ジーン王女殿下のことですから……何か良からぬ思いを抱いて、私達の後をつけていないか心配になりまして……」
「ははは、ジーンならやりかねないな」
グレス王子殿下は大袈裟に笑って見せている。わざとらしく、周囲を見渡しながら。しかし、その表情はジーン王女殿下が居ないことを分かっているようだった。
「本日に限ってはそれはないよ。私からも釘を刺しておいたし、何よりも彼女はミレーヌや私のことを信用してくれているからね」
「なるほど、凄く説得力があります……」
ジーン王女殿下はかなりのツンデレだけれど、基本的にはとても優しい。私のことも信用してくれているわけか。
なんだか、嬉しくなってしまった。
「それに……今日は色々と大切な日になりそうだからね。ジーンだってそれは分かっているさ」
「えっ……? グレス王子殿下?」
グレス王子殿下は真剣な表情になっていた。特にその後に続く言葉はなく、私達はそのまま森林公園を歩き続けることになったけれど。
私には何のことだか、分からなかった。
「いえ、グレス王子殿下。私も先ほど来たばかりです」
私達はその日、以前から約束していたデートを行う為に待ち合わせをしていた。待ち合わせ場所は貴族街の森林公園にある一本杉だ。周辺は豪華な家々が並ぶ中、この森林公園だけは自然が豊富で気持ちが良い。デートには最適な場所であると言える。
「それでは早速……どこかへ行こうか?」
「はい、そうですね……よろしければ、この森林公園を少し歩きませんか?」
「ああ、構わないとも」
グレス王子殿下は快く承諾してくれる。私達は森林公園を散歩することにした。王子殿下とのデートが実現するなんて……一介の伯爵令嬢が相手の場合は異例と言えるだろう。周囲の貴族達も不可解にこちらを見ている。
やっぱり、グレス王子殿下は目立つわよね……その周囲には護衛の姿もあることだし。
「本日はジーン王女殿下は来られていないのですか?」
私は恥ずかしさから解放されたくて、素っ頓狂な質問をしてしまった。ジーン王女殿下が来ているわけがないのに……。
「ジーン? 今日は来ていないよ。流石に来ていたら驚くだろう?」
「そうですね……驚きます」
ジーン王女殿下はなんだかんだ言って、グレス王子殿下に懐いている。ブラコン気質を持ち合わせているはずだけれど、それ以上に私とグレス王子殿下の関係を応援してくれているようだった。だから、グレス王子殿下を心配して見に来たりはしていないと分かって安心した。
「いえ、ジーン王女殿下のことですから……何か良からぬ思いを抱いて、私達の後をつけていないか心配になりまして……」
「ははは、ジーンならやりかねないな」
グレス王子殿下は大袈裟に笑って見せている。わざとらしく、周囲を見渡しながら。しかし、その表情はジーン王女殿下が居ないことを分かっているようだった。
「本日に限ってはそれはないよ。私からも釘を刺しておいたし、何よりも彼女はミレーヌや私のことを信用してくれているからね」
「なるほど、凄く説得力があります……」
ジーン王女殿下はかなりのツンデレだけれど、基本的にはとても優しい。私のことも信用してくれているわけか。
なんだか、嬉しくなってしまった。
「それに……今日は色々と大切な日になりそうだからね。ジーンだってそれは分かっているさ」
「えっ……? グレス王子殿下?」
グレス王子殿下は真剣な表情になっていた。特にその後に続く言葉はなく、私達はそのまま森林公園を歩き続けることになったけれど。
私には何のことだか、分からなかった。
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