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14話 真実を話す その2

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「これからお話しすることは、本来であれば許されることではないと思います」

「ふむ、どういう内容だ?」

「はい、ラゴウ様と姉のマリアは辺境伯の地位の高さを知らず、片田舎の領主でしかないと連呼しておりました」


 付けるべき敬称を怠ってはいるけれど、とにかく私はザルバック国王陛下に真実を伝えることを優先していた。私のその言葉に、ザルバック国王陛下もリリアーヌ王妃様もしかめた表情で頭を抱えていた。信じられない、という気持ちが頂点に来ているのかもしれない……。


「ラゴウ、サンタローズ辺境伯の地位の高さを知らなかったというのは本当なのか?」

「そ、それは……!」


 ラゴウ様の慌てぶりは今までの中でも最大になっていた。それもそのはず、彼は一度、ザイルバック国王陛下に「辺境伯の地位の高さを知っていた」と進言しているのだから。周囲の貴族達も何事かと、私達を見ている。中には「辺境伯の地位を知らない?」「伯爵様が?」「そんなバカなこと……」

 などという言葉も聞こえて来るほどだった。


「ラゴウ、テレーズ嬢が地位の低い地方領主でしかないといった発言を連呼していた、というのが事実だとすれば、お前の言った意図せずに出した言葉という信憑性は皆無になるな」

「は、はい……国王陛下……それは……」

「加えて、お前が辺境伯の地位を正しく理解していたのなら、そんな軽視するような発言を連呼するわけがない。下手をすれば、カイン・サンタローズ辺境伯に罰せられていたかもしれないからだ」

「うぐっ……!」

「……!!」

 ラゴウ様もマリア姉さまも正論過ぎて、何も言い返せない状態だ。例え指摘している相手が、国王陛下でなかったとしても、何も言い返せないだろう。

 カイン様は西の国境線を守る重要任務を司っている為に、施設魔法兵団を含めて、持っている軍事力は強大だ。その火力をチラつかせるだけでも、相当な脅威になると思う。


「なにせ、カインの持っている兵力……軍事力は強大だからな。ラゴウ・クルシス伯爵の領地など、片手間に滅ぼせるだろう」

「そ、それほどまでとは……」

「陛下、ご冗談はお止めください。私はそのようなことに、自らの兵力を使ったりは致しません」

「分かっているとも。つまりはそれほど信頼できる相手でなければ、国境線の守護は務まらないのだ。わかったか?」

 ラゴウ様とマリア姉さまの焦った様子とは裏腹に、国王陛下とカイン様は非常に穏やかに話していた。内容は物騒なことだけれど。


「申し訳ございませんでした……返す言葉もございません……」

「同じく、私も大切な事柄を失念しておりました……!」


 ラゴウ様とマリア姉さまの完全敗北ってところかしらね。二人にもカイン様の地位の高さが嫌と言うほど伝わったかと思う。でも……これだけでは、もちろん終わらない。


「さて、お前達二人は私とリリアーヌに嘘を吐いたことになる。それに関しての弁解を聞こうではないか」


 ある意味で、一番の地獄の幕開けかもしれない……ラゴウ様と姉さまは最も無礼を働いてはいけないお方を怒らせてしまったのだから。でもまあ、責任はしっかり取らないといけないわよね。
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