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「侯爵家の家宝の壺を壊したのだから、もちろんそれだけで終わるとは思っていないだろうな?」
「ど、どういうことですか?」
「犯罪者として告発させてもらおう。しばらくは牢獄行きになるだろうな。ノアール伯爵家としても大ダメージ……貴族としての地位が落ちることになるかもしれんな。ははは、まあ、自業自得だが」
「そ、そんな……!」
婚約破棄、壺の代金の請求……それだけでなく、犯罪者として告発までされるの!? そんなことになったら、私は裁判に掛けられることになって……。
「待ってください! ニック様! 牢獄に入るって、そんなことになったら……私は!」
「本当に残念だよ、エリザ。だが、これがお前の犯した罪なんだ。大人しく受け入れろ」
「だからそれは間違いです! 私は本当に壺なんて知りません!」
「今さら何を言っているんだ? あまり往生際が悪いとこちらも実力行使をせざるを得ないぞ?」
「実力行使……?」
なんだか不穏な空気が流れている。実力行使って何をするつもりなんだろうか? ここは私の部屋だし、助けを呼べば、すぐに誰か来るけれど。でも、ニック様も一人ではなく使用人達と一緒に来ている。こんなところで争いになったら、それこそ私が壺を壊した犯人にされかねない。どうしたらいいんだろうか……。
「エリザ・ノアール伯爵令嬢、それでは連行して……」
「少々、お待ちいただけるかな? ニック・ゼアード侯爵令息」
「ん? 誰だ?」
その時、私の部屋に入って来た人間がいた。その人物は私の幼馴染のエルグ・サイフォス侯爵令息だった。たまに私の屋敷に来ていることは知っていたけれど、まさかこのタイミングで現れるなんて……。
「ニック殿。人の屋敷内で直接連行とは随分と派手な演出ですね。そこまでする必要があるのですか?」
「あなたは確か、エルグ殿。こんなところで何をしているのですか? もしかして、先ほどの話を聞いていたのですか?」
「失礼ながら、聞いていました。勝手に聞いてしまったことに関してはお詫びいたします」
「いや、話を聞いていたのなら丁度良いですね。私がエリザを連行する理由は分かっているということでしょう?」
「まあ、そうなりますね。ただし、いくら家宝の壺を壊されたからと言って、いきなりエリザを犯人扱いはどうかと思いますが。話を聞いている限りでは、まったく彼女の否定を信じていないようですし」
部屋に入って来たエルグはどうやら私の味方をしてくれているみたいね。これは少しだけ光明が見えて来たかもしれないわ。
「ど、どういうことですか?」
「犯罪者として告発させてもらおう。しばらくは牢獄行きになるだろうな。ノアール伯爵家としても大ダメージ……貴族としての地位が落ちることになるかもしれんな。ははは、まあ、自業自得だが」
「そ、そんな……!」
婚約破棄、壺の代金の請求……それだけでなく、犯罪者として告発までされるの!? そんなことになったら、私は裁判に掛けられることになって……。
「待ってください! ニック様! 牢獄に入るって、そんなことになったら……私は!」
「本当に残念だよ、エリザ。だが、これがお前の犯した罪なんだ。大人しく受け入れろ」
「だからそれは間違いです! 私は本当に壺なんて知りません!」
「今さら何を言っているんだ? あまり往生際が悪いとこちらも実力行使をせざるを得ないぞ?」
「実力行使……?」
なんだか不穏な空気が流れている。実力行使って何をするつもりなんだろうか? ここは私の部屋だし、助けを呼べば、すぐに誰か来るけれど。でも、ニック様も一人ではなく使用人達と一緒に来ている。こんなところで争いになったら、それこそ私が壺を壊した犯人にされかねない。どうしたらいいんだろうか……。
「エリザ・ノアール伯爵令嬢、それでは連行して……」
「少々、お待ちいただけるかな? ニック・ゼアード侯爵令息」
「ん? 誰だ?」
その時、私の部屋に入って来た人間がいた。その人物は私の幼馴染のエルグ・サイフォス侯爵令息だった。たまに私の屋敷に来ていることは知っていたけれど、まさかこのタイミングで現れるなんて……。
「ニック殿。人の屋敷内で直接連行とは随分と派手な演出ですね。そこまでする必要があるのですか?」
「あなたは確か、エルグ殿。こんなところで何をしているのですか? もしかして、先ほどの話を聞いていたのですか?」
「失礼ながら、聞いていました。勝手に聞いてしまったことに関してはお詫びいたします」
「いや、話を聞いていたのなら丁度良いですね。私がエリザを連行する理由は分かっているということでしょう?」
「まあ、そうなりますね。ただし、いくら家宝の壺を壊されたからと言って、いきなりエリザを犯人扱いはどうかと思いますが。話を聞いている限りでは、まったく彼女の否定を信じていないようですし」
部屋に入って来たエルグはどうやら私の味方をしてくれているみたいね。これは少しだけ光明が見えて来たかもしれないわ。
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