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31話

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(シエナ視点)

「こんなの嫌です! あり得ない……!」

「何を言っているのですか? あなたは修道院行きが決定したのですよ。静かにしなさい」

「で、でも……」


 私は確かに裁判で修道院行きになってしまった。今、私の監視をするという女性から話を聞いていたのだけれど……。この国での修道院とはどういうものなのかを……。

「一切の贅沢ができないなんて……そんな」

「そんなところは修道院に於いて大したことではありません。戒律に則り生活を行うのは当然のこと……その内容は祈りと労働です。そもそも、あなたは貴族ではなくなっているのですから、贅沢なんて最初からできませんよ」

「私は……」


 そんな最底辺の者達が行うであろう仕事だ。果たして私は耐えることができるの? いえ、絶対に無理よ……! ボイド兄さまと違って5年間などという決まりもないのだから……。

「私は何年、修道院にいればいいの? いつ屋敷に戻れるの!?」

「あなたに課せられた刑期は無期相当ですよ。つまり期間の定めがないということ。元々、貴族の称号は剥奪されたのですから、屋敷に戻って来ることはありません」

「そ、そんな……!」

「それがあなたの犯した罪の罰だということです。本来ならば死刑になってもおかしくなかったはずですが……あの二人に感謝するのですね」


 監視をすると言った女性は淡々と話していた。あの二人というのはルシエドとミリーのことだろうか……あの二人の嘆願があったから私は修道院送り程度で済んだと。でも、期間の定めはないわけで……。


「いやよ……こんなの……」

「嫌と言っても現実は変わりませんよ。まあ、まだ最低限の生活は保証されているだけ、マシだと思ってください」

「ふざけないで! 私はこの間まで好き勝手貴族街を謳歌できていたのに……こんなのあり得ないわ……!」


 最新の服や小物を好きなだけ見て回ることができた。好きな食べ物も簡単に取り寄せ出来ていたのに……! どうしてこんなことに!

 ルシエドとミリーのせいだわ! あいつらが変に嗅ぎ回らなければこんなことには! それに土壇場で裏切った執事のリューク! あの男は功績を評価されて無罪になったらしいじゃない!

 そもそも、私はそんなに悪いことなんてしていない。兄さまに悪い虫が付いていたから払っただけ。誰も傷付けてないし殺していないのに、どうして修道院送りなの!


「いやよ、いやよぉぉぉぉぉぉぉぉ! 助けて~~~兄さま~~~~!」

「やれやれ……本当に子供ですね。こんなことで果たして修道院でやっていけるのか……心配になります」


 私の声は誰にも届かなかった……助けて、誰か……本当に……。
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