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19話
しおりを挟む公式会談のような雰囲気で私達は相対していた……ボイド様とシエナ様の二人。それからリュークと名乗る執事も同席している。
「さて、なにから話そうか。ボイド殿、なにか言いたいことはあるかな?」
「言いたいこと……? そんなのは簡単に出てきますよ。なぜ、シエナに付き纏うのですか? 私とミリーの関係は終わったも同然です。ルシエド様がミリーを愛しているのなら、二人だけの世界に入れば問題ないでしょう」
「……言いたいことはそれだけか?」
「それだけとはなんだ! 失礼な! この際だから敬称は省かせてもらうぞ、ルシエド!」
ボイド様は相当に激昂していた。本来なら格上のはずのルシエド相手に呼び捨てになっているのだから。
シエナ様は勝ち誇ったように私を見ているし……何を企んでいるんだろうか。
「ルシエド……と来たか。まあ、敬称は省いてもらって構わないよ。そもそも、侯爵であるあなたに敬称を付けられてもむず痒いからな」
「ふ、ふん……とにかく、今後は私達に関わらないでもらおうか。それから……今までの虐めによる精神的な苦痛に対して罰を受けてもらいたい」
「えっ……?」
おっと、ここに来て要求が加速したように感じた。単純に自分達に関わるな、というだけではなく、罰を受けることまで要求する気のようだ。
私達が受ける罰……考えられるのは慰謝料支払い?
「それは慰謝料の支払いと言う意味か?」
「それだけではない。裁判所にも話を通して裁判官が決める罰もうけてもらうぞ! 私はお前達を許す気はない! シエナをここまで追い込んで! ただで済むと思うな!」
ボイド様の激昂具合は並大抵のものではなかった。それこそ、私達を殺したいくらいに思っているのかもしれないわね……。
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