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私とボイド様の出会いはいつくらいだっただろうか? 私が10歳の時には知り合っていた気がするからもう8年も前の話なのね。ボイド様は当時3歳年上でお兄さんのような関係だった。
私の初恋の相手……というわけではなかったけれど、信頼できる人だった。私に対しても優しく接してくれたし、彼は妹のシエナ様も大切にされていた。ちなみにシエナ様は私と同じ歳だ。彼らはボイド・フューリ―、シエナ・フューリ―として、侯爵家に生まれた方々だった。
私はミリー・アンダルテ。伯爵令嬢であり、ボイド様の婚約者だ。私には他に幼馴染のルシエドがいたけれど、彼もボイド様との婚約を祝福してくれた。
それから1年が経過し、現状は非常にマズいことになっている。なぜなら……。
「シエナから話は聞いているぞ、ミリー。お前はどうやら、シエナを虐めていたそうだな?」
「えっ? そんなことしていませんが……どういうことですか?」
いきなりボイド様から言われた言葉だった。私がシエナ様を虐めている? 意味が分からない。あの方はボイド様を信頼しているから、私に対して冷たく当たる。そういうのを乗り越える為に、私は彼女に優しく接していたのに……。
「嘘を吐いても無駄だ! シエナがそう言っているし、他の使用人からの目撃証言もある。なんてことをしてくれたんだ!」
「ですから私はシエナ様を虐めたりしていません! 何かの間違いじゃないんですか?」
「この期におよんでシラを切ろうと言うのか? 信じられない。まさか、お前がそんな人間だったなんてな」
「ボイド様……ですから、私は……虐めてなんて」
「うるさい! じゃあなにか? 妹が嘘を吐いていると言いたいのか!」
「いえ、そういうわけでは……」
私にも何がなんだか分からない。でも、シエナ様は私とボイド様の婚約には反対だったはず。その関係で私を追放しようと考えているのかもしれないわね。ボイド様もシエナ様のことになると周りが見えなくなるし……それにしてもこれは。非常にマズいかもしれない……。
「まあいい。お前なんかとはもう一緒に居たいとは思わない。婚約破棄だ」
「えっ? 婚約破棄? そんな……」
「当たり前だろう! 大切な妹から少しでも離さないといけないからな! 失望したよ、ミリー……最低だ」
「ボイド様……」
まさかの婚約破棄宣言だった。その後も私はなんとか話を聞いてもらおうと必死で説得したけれど、全くの無意味であった。私はボイド様の屋敷から追放されたのだ。
信じられない……まさかボイド様にこんな仕打ちを受けるなんて。
私の初恋の相手……というわけではなかったけれど、信頼できる人だった。私に対しても優しく接してくれたし、彼は妹のシエナ様も大切にされていた。ちなみにシエナ様は私と同じ歳だ。彼らはボイド・フューリ―、シエナ・フューリ―として、侯爵家に生まれた方々だった。
私はミリー・アンダルテ。伯爵令嬢であり、ボイド様の婚約者だ。私には他に幼馴染のルシエドがいたけれど、彼もボイド様との婚約を祝福してくれた。
それから1年が経過し、現状は非常にマズいことになっている。なぜなら……。
「シエナから話は聞いているぞ、ミリー。お前はどうやら、シエナを虐めていたそうだな?」
「えっ? そんなことしていませんが……どういうことですか?」
いきなりボイド様から言われた言葉だった。私がシエナ様を虐めている? 意味が分からない。あの方はボイド様を信頼しているから、私に対して冷たく当たる。そういうのを乗り越える為に、私は彼女に優しく接していたのに……。
「嘘を吐いても無駄だ! シエナがそう言っているし、他の使用人からの目撃証言もある。なんてことをしてくれたんだ!」
「ですから私はシエナ様を虐めたりしていません! 何かの間違いじゃないんですか?」
「この期におよんでシラを切ろうと言うのか? 信じられない。まさか、お前がそんな人間だったなんてな」
「ボイド様……ですから、私は……虐めてなんて」
「うるさい! じゃあなにか? 妹が嘘を吐いていると言いたいのか!」
「いえ、そういうわけでは……」
私にも何がなんだか分からない。でも、シエナ様は私とボイド様の婚約には反対だったはず。その関係で私を追放しようと考えているのかもしれないわね。ボイド様もシエナ様のことになると周りが見えなくなるし……それにしてもこれは。非常にマズいかもしれない……。
「まあいい。お前なんかとはもう一緒に居たいとは思わない。婚約破棄だ」
「えっ? 婚約破棄? そんな……」
「当たり前だろう! 大切な妹から少しでも離さないといけないからな! 失望したよ、ミリー……最低だ」
「ボイド様……」
まさかの婚約破棄宣言だった。その後も私はなんとか話を聞いてもらおうと必死で説得したけれど、全くの無意味であった。私はボイド様の屋敷から追放されたのだ。
信じられない……まさかボイド様にこんな仕打ちを受けるなんて。
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