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3話

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 アリアハル様から衝撃の婚約破棄拒否を受けてから数日後、私はハリングさんを初めとした3人の護衛と一緒にとあるパーティに出席した。事前にアリアハル様に許可を得たけれど、特に問題ないとのことだった。


「賑わっていますね」

「そうですね、エトナ様。本日の催し物はあのエリンデ侯爵のご子息誕生を祝ってのものですから。出席している貴族の方々が多いのでしょう」


 エリンデ侯爵のご子息誕生イベントを祝っての催し物……そう考えると大きなパーティーになるわね。アリアハル様は別件で出られないけれど、私だけでも出席しておいて良かったわ。私達はまだ夫婦ではないけれど、一応の面子を保つ意味でもね。


「しかし、ハリングさん。肝心のエリンデ侯爵の姿が見当たりませんね」

「そうですね……そういえば……」

 挨拶を交わした方が良いと思って周囲を見渡してみるけれど、ザック・エリンデ侯爵の姿が見えない。これでは挨拶に行くことができないわね。他の貴族や令嬢達は各々ダンスを踊ったり、食事をしたりと楽しんでいるようだった。私のように婚約破棄の一件を抱えて悩んでいる人はこのパーティーにはいないだろう。

 羨ましいわね……本当に。


「なんだか、気分転換に来たのは良いけれど……少し場違いだったかしら」


 曇り顔で出席する場所ではないのは確かだ。アリアハル様との一件を抱えている限り、元気に参加! とはいかないしね……はあ。


「ご気分が悪いようでしたら、隅の方でお休みになられますか? エトナ様」

「そうですね……少し休んでもよろしいでしょうか」

「はい、畏まりました。それではお連れ致します」


 私は先導してくれるハリングさんに感謝していた。気分が優れないので少し休むけれど、流石にすぐに帰るわけにはいかない。アリアハル様からも自分の名前を出すように言われているし。正直な話をするとそんな願いは聞きたくはないのだけれど。


「それにしても、伯爵家や侯爵家の方々も多くいらっしゃっているのね」

「そうですね。エリンデ侯爵自体が有名な家系のお方ですから、当然と言えましょう」

「ええ、そうでしたね」


 もしかすると、公爵クラスの方も来ているかもしれない。それどころか……。


「ああ、すまないが……そちらに居るのはエトナ・アウローペ伯爵令嬢じゃないかな?」

「えっ? あ、貴方様は……!」


 休んでいた私に掛けられる男性の声……私はその人物を見て驚いてしまった。なぜ、私に声を? という思いだからだ。

「シャーク・マンティス第二王子殿下……」


 マンティス王国の第二王子殿下がそこには立っていたのだから……。
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