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しおりを挟む「本当にどうしたら良いのかしら……」
私はウェイドレス家によって宛がわれている部屋に移動していた。なんとかアリアハル様とは婚約破棄をしたいけれど……あの様子では婚約破棄に応じてくれるとは思えない。このままでは婚約関係が進み、いずれは結婚という事態に……それだけは何としても避けなければならない。婚約生活ですらこれだけ危ういのに、結婚生活になったらもっと荒れてしまうのは目に見えているからだ。
でも、どうしたら良いのかしら……。
「エトナ様……アリアハル様には断られたのですね」
「ええ、ハリングさん。そうなります」
ウェイドレス家の執事であるハリングさんは数少ない私の味方だった。内心ではアリアハル様に非があることを分かっているけれど、雇われている身なので大きくは出れないと言っている。それだけでも嬉しいことだった。
「お父様に相談した方が良いかしら……」
「左様でございますね。イラド・アウローペ伯爵でございましたら、必ず味方になってくれるでしょう」
「それはそうだと思うけれど……」
イラド・アウローペは私のお父様になる。相談をすれば必ず味方にはなってくれるはず……でも、私のプライドがそれを許さなかった。迷惑を掛けたくないというのも大きいけれど。
「でも、伯爵家と侯爵家の権力差はこの王国内では大きいわ。いくらお父様に相談したところで……何も変わらないんじゃないかしら」
「それは……」
ハリング様もその可能性を否定できないのか黙ってしまっていた。お父様でも駄目なら、もうどうすることも出来ないのではないか……そんな気さえしてしまう。
「駄目ね……変なことばかり考えてしまうわ。確か、次のパーティにはアリアハル様は出ないのよね?」
「左様でございますね。アリアハル様には別件の用事がございますので」
「そう……なら私が出席しようかしら。気分転換になるかもしれないし」
「なるほど、そういうことでございますね。それでは、私も護衛としてご同行いたします」
「ありがとうございます、ハリングさん」
あまりアリアハル様のことばかりを考えていても気がめいってしまうわ。少しでも気分転換になるようなことをしなくしゃ……。
すぐに思いつくのは今度のパーティに出席するというものだった。ハリングさんも付いて来てくれるなら安心だしね。アリアハル様だって特に咎めたりはしないはずだ。
できれば気分転換以外にも何かの光明が見えればいいんだけれど……私はそんな淡い期待も持っていた。
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