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8話 悔しさ その1
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「し、信じられません! なんですかそれ!? ゼラスト第一王子殿下と婚約なんて!」
「喚かないでよ、カリファ……ゼラスト様の前で失礼だと思わないの?」
「だからこれが落ち着いていられるわけないでしょ! おかしいわよ、そんなの!」
私はカリファに注意をするけれど、彼女は全く従う素振りを見せなかった。ここまで五月蠅いと本当にイライラしてしまうわ……。ゼラスト様にも失礼過ぎるし、ラニッツ様も早く止めて欲しい。あなたの婚約者でしょ?
「カリファ……王子殿下の御前なのだし、少し落ち着くんだ。アメリアも言っているではないか」
「ラニッツ様は驚かないのですか!? 私だけ除け者にされたのですよ! 姉さまがゼラスト王子殿下と婚約した事なんて、全く知らなかったわ! どうしてもっと早く教えてくれなかったのよ!」
「どうしてあなたに話さないといけないの。関係ないでしょ?」
「なんですって……!?」
カリファは明らかに不機嫌な顔つきになった。煽りに弱いとかそういうレベルではない。私は事実を言っているだけなんだから。カリファに伝える義務なんて最初から存在していないし……。
「それにあなたはラニッツ様の屋敷に居ることも多いし、婚約破棄の件もあったんだから、簡単に言える状況ではなかったわ」
「それでも! 私は姉さまの可愛い妹なんだし、知る権利があったはずよ!? なんで話してくれないのよ!」
「いや、それは……」
私はあきれ果ててしまった。
可愛い妹なんてどの口が言っているのかしら。それに、本当に可愛い妹なら人の婚約者を奪ったりしないわよ。もしかすると彼女はゼラスト様と婚約した私が羨ましいのかもしれない。主にラニッツ様よりも地位が高いという意味合いで……。
「ゼラスト様……どうしましょうか?」
「そうだな……カリファ嬢。アメリアの言っていることは全て事実でしかない。カリファ嬢に私のことを話すかどうかも含めて、アメリアの自由意思によるものだろう? 何をそんなに喚いているのだ?」
「そ、それは……」
「正直に言って耳が痛くなるから、黙って貰えないか?」
「ぜ、ゼラスト王子殿下……」
カリファは一気に静かになった。やはり、ゼラスト様の言葉には弱いみたいだ。さっきまでの勢いは完全に沈黙していた。しかし……ここまであからさまだと逆に、笑えて来るわね。これは、ゼラスト様がカリファに誘惑されないように注視しておかないと。
まあ、ゼラスト様がそんなことに引っ掛かるとは思えないけれどね。
「喚かないでよ、カリファ……ゼラスト様の前で失礼だと思わないの?」
「だからこれが落ち着いていられるわけないでしょ! おかしいわよ、そんなの!」
私はカリファに注意をするけれど、彼女は全く従う素振りを見せなかった。ここまで五月蠅いと本当にイライラしてしまうわ……。ゼラスト様にも失礼過ぎるし、ラニッツ様も早く止めて欲しい。あなたの婚約者でしょ?
「カリファ……王子殿下の御前なのだし、少し落ち着くんだ。アメリアも言っているではないか」
「ラニッツ様は驚かないのですか!? 私だけ除け者にされたのですよ! 姉さまがゼラスト王子殿下と婚約した事なんて、全く知らなかったわ! どうしてもっと早く教えてくれなかったのよ!」
「どうしてあなたに話さないといけないの。関係ないでしょ?」
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「それでも! 私は姉さまの可愛い妹なんだし、知る権利があったはずよ!? なんで話してくれないのよ!」
「いや、それは……」
私はあきれ果ててしまった。
可愛い妹なんてどの口が言っているのかしら。それに、本当に可愛い妹なら人の婚約者を奪ったりしないわよ。もしかすると彼女はゼラスト様と婚約した私が羨ましいのかもしれない。主にラニッツ様よりも地位が高いという意味合いで……。
「ゼラスト様……どうしましょうか?」
「そうだな……カリファ嬢。アメリアの言っていることは全て事実でしかない。カリファ嬢に私のことを話すかどうかも含めて、アメリアの自由意思によるものだろう? 何をそんなに喚いているのだ?」
「そ、それは……」
「正直に言って耳が痛くなるから、黙って貰えないか?」
「ぜ、ゼラスト王子殿下……」
カリファは一気に静かになった。やはり、ゼラスト様の言葉には弱いみたいだ。さっきまでの勢いは完全に沈黙していた。しかし……ここまであからさまだと逆に、笑えて来るわね。これは、ゼラスト様がカリファに誘惑されないように注視しておかないと。
まあ、ゼラスト様がそんなことに引っ掛かるとは思えないけれどね。
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