王子殿下に強引に婚約破棄されました。その理由がすごい。

13話

「ホルム王子が来てくれた……これは追い風かもしれないわ」

「第一王子殿下のホルム王子か。かなり良いタイミングで来てくれたものだね。事前にアイコンタクトで呼んでいたんじゃないのかい？」

「どうやってアイコンタクトをするのよ。この場にいないのに……」


　ホルム王子は私やフィリップの幼馴染の一人である。そういう意味ではレントも幼馴染になるんだけれど、彼の場合はあんまり仲は良くなかった。ホルム王子とは親しくしていたのだ。


「ホルム王子は俺達のことを信じてくれるかな？」

「そりゃあ、信じてくれるとは思うわ。少なくともレントよりは信じてくれるでしょう？　それに……」

「この騒がしさはただ事じゃないね。俺達が話していても何も言われないし」

「そのくらいレントも焦っているってことなのよ。もちろん、他の連中もね」


　周囲を見渡すだけでもホルム王子が来た余波は見て取れた。そのくらい私達に会わせると危険だとうことだ。早く来ないかな……ホルム王子。第一王子殿下にして次期国王陛下の筆頭人物だからね。こんな理不尽な拘束を認めるはずなんてあるわけないわ。


「あ、兄上……本当に大丈夫ですから！　私一人でなんとか掌握してみせます」

「ええい、黙れと言っているだろう。大丈夫かどうかは私が判断する！」


　そうこうしている間にホルム王子の声まで聞こえて来た……離れているかと思いきや、想像以上に近くに居たようね。これは解放されるのはすぐになるかもしれないわ。