13 / 14
13話 アイシャとチェスター その2
しおりを挟む
「チェスター様、アイシャ……この間は本当にごめんなさい。私、どうかしていました」
「ローザ?」
明るく挨拶をしたと思ったら、急にこの前のことを謝りはじめるローザ。
「ごめんなさい……」
わざとらしくはないけれど、私から見ると怪しい。チェスター様はどう思っているのかしら?
「あの、チェスター様? 如何いたしましょうか」
「うん、そうですね。私が言えたことではありませんので。やはり、アイシャ様の想いが重要ではないでしょうか」
「なるほど……」
やはりそうよね。チェスター様は当事者だけれど、私達の事態には無関係だもの。私の判断を尊重してくれる様子のようだ。そうね、私は……。
「前のパーティーのことを謝りたいのなら、グランと一緒に来るべきじゃないかしら?」
「え……それはそうだけれど、何とか先に謝罪だけでもしようかと思って……!」
「ふ~ん」
なんだかローザの態度がおかしい。気のせいかチェスター様の様子を窺っているようにも見えるし……。まあ、何を企んでいようと、私が言えることは限られてるわね。
「この前のパーティーの件を謝罪したいなら、グランと一緒に来て」
「そ、そんな……私は……」
「そうでなければ認めないし。それに、あなたがグランと婚約して、私を裏切ったことはどのみち許さないわよ」
妙な噂も流されたのだし、許せるわけはなかった。二人同時に来たら許すというのは、あくまでもこの前のパーティーの件に関してだ。
「ということらしい、ローザ嬢。分かったら出直してきてくれないか? 私達は今、楽しい食事の最中なんだ。それを邪魔しないでもらいたい」
「そんな……チェスター様まで……」
「…………」
やはり私と言うより、チェスター様を気に掛けているようだ。何となく読めて来た……ローザはチェスター様に対する心証を回復させようとしているのね。私に対する心証ではなくて。
「チェスター様の言う通りよ、ローザ。出直してきてちょうだい。帰らないのなら、私達が出て行くわ」
「アイシャ……わかったわよ……」
ローザはそう言うと、肩を落としながらレストランから出て行った。なにを企んでいたのかは明確ではないけれど、私とチェスター様を引き離そうとしたとか? グランと私を引き離した過去もあるし、それが目的なのかしらね。
どのみち、考え無しの行動過ぎるけれど……その後、チェスター様はローザのことなんて気にする様子を見せていなかったし。彼女の計画? は失敗に終わったようね。
「ローザ?」
明るく挨拶をしたと思ったら、急にこの前のことを謝りはじめるローザ。
「ごめんなさい……」
わざとらしくはないけれど、私から見ると怪しい。チェスター様はどう思っているのかしら?
「あの、チェスター様? 如何いたしましょうか」
「うん、そうですね。私が言えたことではありませんので。やはり、アイシャ様の想いが重要ではないでしょうか」
「なるほど……」
やはりそうよね。チェスター様は当事者だけれど、私達の事態には無関係だもの。私の判断を尊重してくれる様子のようだ。そうね、私は……。
「前のパーティーのことを謝りたいのなら、グランと一緒に来るべきじゃないかしら?」
「え……それはそうだけれど、何とか先に謝罪だけでもしようかと思って……!」
「ふ~ん」
なんだかローザの態度がおかしい。気のせいかチェスター様の様子を窺っているようにも見えるし……。まあ、何を企んでいようと、私が言えることは限られてるわね。
「この前のパーティーの件を謝罪したいなら、グランと一緒に来て」
「そ、そんな……私は……」
「そうでなければ認めないし。それに、あなたがグランと婚約して、私を裏切ったことはどのみち許さないわよ」
妙な噂も流されたのだし、許せるわけはなかった。二人同時に来たら許すというのは、あくまでもこの前のパーティーの件に関してだ。
「ということらしい、ローザ嬢。分かったら出直してきてくれないか? 私達は今、楽しい食事の最中なんだ。それを邪魔しないでもらいたい」
「そんな……チェスター様まで……」
「…………」
やはり私と言うより、チェスター様を気に掛けているようだ。何となく読めて来た……ローザはチェスター様に対する心証を回復させようとしているのね。私に対する心証ではなくて。
「チェスター様の言う通りよ、ローザ。出直してきてちょうだい。帰らないのなら、私達が出て行くわ」
「アイシャ……わかったわよ……」
ローザはそう言うと、肩を落としながらレストランから出て行った。なにを企んでいたのかは明確ではないけれど、私とチェスター様を引き離そうとしたとか? グランと私を引き離した過去もあるし、それが目的なのかしらね。
どのみち、考え無しの行動過ぎるけれど……その後、チェスター様はローザのことなんて気にする様子を見せていなかったし。彼女の計画? は失敗に終わったようね。
12
お気に入りに追加
1,934
あなたにおすすめの小説
ダンスパーティーで婚約者から断罪された挙句に婚約破棄された私に、奇跡が起きた。
ねお
恋愛
ブランス侯爵家で開催されたダンスパーティー。
そこで、クリスティーナ・ヤーロイ伯爵令嬢は、婚約者であるグスタフ・ブランス侯爵令息によって、貴族子女の出揃っている前で、身に覚えのない罪を、公開で断罪されてしまう。
「そんなこと、私はしておりません!」
そう口にしようとするも、まったく相手にされないどころか、悪の化身のごとく非難を浴びて、婚約破棄まで言い渡されてしまう。
そして、グスタフの横には小さく可憐な令嬢が歩いてきて・・・。グスタフは、その令嬢との結婚を高らかに宣言する。
そんな、クリスティーナにとって絶望しかない状況の中、一人の貴公子が、その舞台に歩み出てくるのであった。
逆行令嬢は聖女を辞退します
仲室日月奈
恋愛
――ああ、神様。もしも生まれ変わるなら、人並みの幸せを。
死ぬ間際に転生後の望みを心の中でつぶやき、倒れた後。目を開けると、三年前の自室にいました。しかも、今日は神殿から一行がやってきて「聖女としてお出迎え」する日ですって?
聖女なんてお断りです!
婚約破棄されました。あとは知りません
天羽 尤
恋愛
聖ラクレット皇国は1000年の建国の時を迎えていた。
皇国はユーロ教という宗教を国教としており、ユーロ教は魔力含有量を特に秀でた者を巫女として、唯一神であるユーロの従者として大切に扱っていた。
聖ラクレット王国 第一子 クズレットは婚約発表の席でとんでもない事を告げたのだった。
「ラクレット王国 王太子 クズレットの名の下に 巫女:アコク レイン を国外追放とし、婚約を破棄する」
その時…
----------------------
初めての婚約破棄ざまぁものです。
---------------------------
お気に入り登録200突破ありがとうございます。
-------------------------------
【著作者:天羽尤】【無断転載禁止】【以下のサイトでのみ掲載を認めます。これ以外は無断転載です〔小説家になろう/カクヨム/アルファポリス/マグネット〕】
【完結】地味と連呼された侯爵令嬢は、華麗に王太子をざまぁする。
佐倉穂波
恋愛
夜会の最中、フレアは婚約者の王太子ダニエルに婚約破棄を言い渡された。さらに「地味」と連呼された上に、殺人未遂を犯したと断罪されてしまう。
しかし彼女は動じない。
何故なら彼女は──
*どうしようもない愚かな男を書きたい欲求に駆られて書いたお話です。
【 完 】転移魔法を強要させられた上に婚約破棄されました。だけど私の元に宮廷魔術師が現れたんです
菊池 快晴
恋愛
公爵令嬢レムリは、魔法が使えないことを理由に婚約破棄を言い渡される。
自分を虐げてきた義妹、エリアスの思惑によりレムリは、国民からは残虐な令嬢だと誤解され軽蔑されていた。
生きている価値を見失ったレムリは、人生を終わらせようと展望台から身を投げようとする。
しかし、そんなレムリの命を救ったのは他国の宮廷魔術師アズライトだった。
そんな彼から街の案内を頼まれ、病に困っている国民を助けるアズライトの姿を見ていくうちに真実の愛を知る――。
この話は、行き場を失った公爵令嬢が強欲な宮廷魔術師と出会い、ざまあして幸せになるお話です。
婚約破棄をされて魔導図書館の運営からも外されたのに今さら私が協力すると思っているんですか?絶対に協力なんてしませんよ!
しまうま弁当
恋愛
ユーゲルス公爵家の跡取りベルタスとの婚約していたメルティだったが、婚約者のベルタスから突然の婚約破棄を突き付けられたのだった。しかもベルタスと一緒に現れた同級生のミーシャに正妻の座に加えて魔導司書の座まで奪われてしまう。罵声を浴びせられ罪まで擦り付けられたメルティは婚約破棄を受け入れ公爵家を去る事にしたのでした。メルティがいなくなって大喜びしていたベルタスとミーシャであったが魔導図書館の設立をしなければならなくなり、それに伴いどんどん歯車が狂っていく。ベルタスとミーシャはメルティがいなくなったツケをドンドン支払わなければならなくなるのでした。
【完結】両親が亡くなったら、婚約破棄されて追放されました。他国に亡命します。
西東友一
恋愛
両親が亡くなった途端、私の家の資産を奪った挙句、婚約破棄をしたエドワード王子。
路頭に迷う中、以前から懇意にしていた隣国のリチャード王子に拾われた私。
実はリチャード王子は私のことが好きだったらしく―――
※※
皆様に助けられ、応援され、読んでいただき、令和3年7月17日に完結することができました。
本当にありがとうございました。
完結 喪失の花嫁 見知らぬ家族に囲まれて
音爽(ネソウ)
恋愛
ある日、目を覚ますと見知らぬ部屋にいて見覚えがない家族がいた。彼らは「貴女は記憶を失った」と言う。
しかし、本人はしっかり己の事を把握していたし本当の家族のことも覚えていた。
一体どういうことかと彼女は震える……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる