20 / 25
20話 詰み
しおりを挟む
「申し訳ありませんでした……キース王子殿下」
「謝罪をする相手は私ではないだろう? ギゼフ殿」
「そ、そうですね……申し訳ない、シェイナ嬢」
ギゼフ様はやや不満気にしていたけれど、私に対して頭を下げた。
「謝罪をしていただけるのでしたら、身勝手に徴収した絵は全て返却していただけますね?」
「い、いや、それは……!」
ギゼフ様は返却に関しては嫌がっているようだ。信用問題に繋がるから困るのだろうけれど、それに関してはギゼフ様の自業自得ね。不当なな方法で集めた絵を他国の貴族に売る方が、後で問題になるケースもあるだろうし……。
「嫌がったところで無駄だぞ、ギゼフ殿。調べは既についているのだから、屋敷を捜索して不当な方法で入手した絵に関しては元の持ち主に返却する」
「キース王子殿下、そんな……! それをされては、私が請け負った他国の貴族に絵を売ることが出来なくなってしまいます……!」
「そのことに関しては、ギゼフ殿の方でなんとかするのだ。自分で蒔いた種なのだからな」
「うう……」
ギゼフ様はかなり落ち込んでいるようだけれど、全く同情する気にはなれなかった。むしろ、彼のやったことを考えれば、他国の貴族に説明するのは当然だと言える。そのくらいで済ませられるのは、相当に優しい対応だと思うしね。
「素直に返却に応じた方が良いぞ? なあ、ライズ?」
「左様でございますね。今の段階でギゼフ様は横領罪や脅迫罪の罪に科せられると思いますので。出来るだけ素直になった方が良いでしょう」
「く、くく……!! 私がこんな屈辱を……!」
ライズはの言葉はとても1メイドのものとは思えなかった。彼女は一体、何者なんだろうか。ギゼフ様は既に全く言い返せなくなっているし。
「さて、兵士を屋敷内に呼ぶとしようか。ランバル侯爵家の屋敷だけあり、相当な広さだからな。私達だけでは、とても探し切れないだろう」
ギゼフ様の返答に関係なく、キース様はどんどん話を進めて行った。確かに私達と護衛の人だけで、この屋敷内を探すのは難しいと思うけれど、仮にも侯爵家の屋敷を強制的に捜索できるなんて、流石は王子殿下といったところかしら。
「……」
「お、終わった……私はこれから、どうすれば良いのだ……?」
詰み、を感じ取ったのか、ギゼフ様はとても憔悴しているようだった。気持ちは分からなくはないけれど、そこまで人生終了にはなっていない気がするけれど。
ギゼフ様の中では人生終了なのかもしれない。彼は侯爵という肩書きを持つにはメンタルが弱かったみたいね。
「謝罪をする相手は私ではないだろう? ギゼフ殿」
「そ、そうですね……申し訳ない、シェイナ嬢」
ギゼフ様はやや不満気にしていたけれど、私に対して頭を下げた。
「謝罪をしていただけるのでしたら、身勝手に徴収した絵は全て返却していただけますね?」
「い、いや、それは……!」
ギゼフ様は返却に関しては嫌がっているようだ。信用問題に繋がるから困るのだろうけれど、それに関してはギゼフ様の自業自得ね。不当なな方法で集めた絵を他国の貴族に売る方が、後で問題になるケースもあるだろうし……。
「嫌がったところで無駄だぞ、ギゼフ殿。調べは既についているのだから、屋敷を捜索して不当な方法で入手した絵に関しては元の持ち主に返却する」
「キース王子殿下、そんな……! それをされては、私が請け負った他国の貴族に絵を売ることが出来なくなってしまいます……!」
「そのことに関しては、ギゼフ殿の方でなんとかするのだ。自分で蒔いた種なのだからな」
「うう……」
ギゼフ様はかなり落ち込んでいるようだけれど、全く同情する気にはなれなかった。むしろ、彼のやったことを考えれば、他国の貴族に説明するのは当然だと言える。そのくらいで済ませられるのは、相当に優しい対応だと思うしね。
「素直に返却に応じた方が良いぞ? なあ、ライズ?」
「左様でございますね。今の段階でギゼフ様は横領罪や脅迫罪の罪に科せられると思いますので。出来るだけ素直になった方が良いでしょう」
「く、くく……!! 私がこんな屈辱を……!」
ライズはの言葉はとても1メイドのものとは思えなかった。彼女は一体、何者なんだろうか。ギゼフ様は既に全く言い返せなくなっているし。
「さて、兵士を屋敷内に呼ぶとしようか。ランバル侯爵家の屋敷だけあり、相当な広さだからな。私達だけでは、とても探し切れないだろう」
ギゼフ様の返答に関係なく、キース様はどんどん話を進めて行った。確かに私達と護衛の人だけで、この屋敷内を探すのは難しいと思うけれど、仮にも侯爵家の屋敷を強制的に捜索できるなんて、流石は王子殿下といったところかしら。
「……」
「お、終わった……私はこれから、どうすれば良いのだ……?」
詰み、を感じ取ったのか、ギゼフ様はとても憔悴しているようだった。気持ちは分からなくはないけれど、そこまで人生終了にはなっていない気がするけれど。
ギゼフ様の中では人生終了なのかもしれない。彼は侯爵という肩書きを持つにはメンタルが弱かったみたいね。
0
お気に入りに追加
4,033
あなたにおすすめの小説
貴方の愛人を屋敷に連れて来られても困ります。それより大事なお話がありますわ。
もふっとしたクリームパン
恋愛
「早速だけど、カレンに子供が出来たんだ」
隣に居る座ったままの栗色の髪と青い眼の女性を示し、ジャンは笑顔で勝手に話しだす。
「離れには子供部屋がないから、こっちの屋敷に移りたいんだ。部屋はたくさん空いてるんだろ? どうせだから、僕もカレンもこれからこの屋敷で暮らすよ」
三年間通った学園を無事に卒業して、辺境に帰ってきたディアナ・モンド。モンド辺境伯の娘である彼女の元に辺境伯の敷地内にある離れに住んでいたジャン・ボクスがやって来る。
ドレスは淑女の鎧、扇子は盾、言葉を剣にして。正々堂々と迎え入れて差し上げましょう。
妊娠した愛人を連れて私に会いに来た、無法者をね。
本編九話+オマケで完結します。*2021/06/30一部内容変更あり。カクヨム様でも投稿しています。
随時、誤字修正と読みやすさを求めて試行錯誤してますので行間など変更する場合があります。
拙い作品ですが、どうぞよろしくお願いします。
もううんざりですので、実家に帰らせていただきます
ルイス
恋愛
「あなたの浮気には耐えられなくなりましたので、婚約中の身ですが実家の屋敷に帰らせていただきます」
伯爵令嬢のシルファ・ウォークライは耐えられなくなって、リーガス・ドルアット侯爵令息の元から姿を消した。リーガスは反省し二度と浮気をしないとばかりに彼女を追いかけて行くが……。
妹がいなくなった
アズやっこ
恋愛
妹が突然家から居なくなった。
メイドが慌ててバタバタと騒いでいる。
お父様とお母様の泣き声が聞こえる。
「うるさくて寝ていられないわ」
妹は我が家の宝。
お父様とお母様は妹しか見えない。ドレスも宝石も妹にだけ買い与える。
妹を探しに出掛けたけど…。見つかるかしら?
私はただ一度の暴言が許せない
ちくわぶ(まるどらむぎ)
恋愛
厳かな結婚式だった。
花婿が花嫁のベールを上げるまでは。
ベールを上げ、その日初めて花嫁の顔を見た花婿マティアスは暴言を吐いた。
「私の花嫁は花のようなスカーレットだ!お前ではない!」と。
そして花嫁の父に向かって怒鳴った。
「騙したな!スカーレットではなく別人をよこすとは!
この婚姻はなしだ!訴えてやるから覚悟しろ!」と。
そこから始まる物語。
作者独自の世界観です。
短編予定。
のちのち、ちょこちょこ続編を書くかもしれません。
話が進むにつれ、ヒロイン・スカーレットの印象が変わっていくと思いますが。
楽しんでいただけると嬉しいです。
※9/10 13話公開後、ミスに気づいて何度か文を訂正、追加しました。申し訳ありません。
※9/20 最終回予定でしたが、訂正終わりませんでした!すみません!明日最終です!
※9/21 本編完結いたしました。ヒロインの夢がどうなったか、のところまでです。
ヒロインが誰を選んだのか?は読者の皆様に想像していただく終わり方となっております。
今後、番外編として別視点から見た物語など数話ののち、
ヒロインが誰と、どうしているかまでを書いたエピローグを公開する予定です。
よろしくお願いします。
※9/27 番外編を公開させていただきました。
※10/3 お話の一部(暴言部分1話、4話、6話)を訂正させていただきました。
※10/23 お話の一部(14話、番外編11ー1話)を訂正させていただきました。
※10/25 完結しました。
ここまでお読みくださった皆様。導いてくださった皆様にお礼申し上げます。
たくさんの方から感想をいただきました。
ありがとうございます。
様々なご意見、真摯に受け止めさせていただきたいと思います。
ただ、皆様に楽しんでいただける場であって欲しいと思いますので、
今後はいただいた感想をを非承認とさせていただく場合がございます。
申し訳ありませんが、どうかご了承くださいませ。
もちろん、私は全て読ませていただきます。
幼馴染がそんなに良いなら、婚約解消いたしましょうか?
ルイス
恋愛
「アーチェ、君は明るいのは良いんだけれど、お淑やかさが足りないと思うんだ。貴族令嬢であれば、もっと気品を持ってだね。例えば、ニーナのような……」
「はあ……なるほどね」
伯爵令嬢のアーチェと伯爵令息のウォーレスは幼馴染であり婚約関係でもあった。
彼らにはもう一人、ニーナという幼馴染が居た。
アーチェはウォーレスが性格面でニーナと比べ過ぎることに辟易し、婚約解消を申し出る。
ウォーレスも納得し、婚約解消は無事に成立したはずだったが……。
ウォーレスはニーナのことを大切にしながらも、アーチェのことも忘れられないと言って来る始末だった……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる