14 / 25
14話 調査 その1
しおりを挟む
「私の絵をギゼフ様が他の貴族の方から買っているということですよね?」
「買っているのは間違いないと思うが、それを他国に売るのが目的だろうからな。正当な手続きで買っているとは考えにくい」
「そうですよね……ギゼフ様ですもんね」
「そういうことだな」
ギゼフ様のことだから、自分よりも地位が低い貴族を狙って絵の獲得を考えていそうね。それも少額で手に入れていそうだわ。そうでなければ儲けにならないのだし……場合によっては、無料で譲り受けている可能性も考えられそうね。
「ギゼフ様はどういう手段で絵を集めているのか、とても気になりますね」
「確かにそうだな。不当な方法を使用している可能性も考えられるし」
キース様も私と同じ考えのようだった。ギゼフ様は絵の売買を絶対に成功させる必要があるみたいだしね。
「まずは部下に調査させることにしよう。それから……」
「私に何か出来ることはありますでしょうか?」
私は作者本人なのだし、完璧に当事者になってしまっている。なにかキース様の役に立てないか、念のために聞いてみた。
「そうだな、シェイナ嬢は引き続き依頼されている絵の制作を進めて行って欲しい。調査の方は私に任せておいてくれ。定期的に結果を報告するよ」
「ありがとうございます、キース様。ただ、私は自分の絵がギゼフ様に向かっているのは耐えられないので、なんとかしたいと考えています」
「気持ちは分かるが、今のシェイナ嬢には何も出来ない案件だろう?」
「そ、それは……そうですね」
確かにキース様のおっしゃる通りだった。私の能力では何も出来ない……絵を欲してくれている人々に売らないという選択肢を取ること以外では。ただ、それでは根本的な解決にはならないし。しかし、ギゼフ様が他の貴族から絵を購入しているという事実に目を背けることは難しい。
なんとしても阻止したくなってしまう。私の能力では限界があることは分かっているのだけれど……。
「まあ、そんなに心配することはないさ、シェイナ嬢。私がギゼフ殿の絵画の購入方法について調査してみる。そこで何か違反があれば、直接、殴り込みに行くことが出来るからな」
「殴り込みに行く場合、私も同行させていただいて宜しいでしょうか?」
「そうだな、考えておくよ」
「はい、ありがとうございます」
ギゼフ様がまともな方法で絵画の購入をしているとは考えにくい。キース様と殴り込みに行くことは決定事項になりそうね。その時に今まで売った絵も全て返して貰えないかしら?
「買っているのは間違いないと思うが、それを他国に売るのが目的だろうからな。正当な手続きで買っているとは考えにくい」
「そうですよね……ギゼフ様ですもんね」
「そういうことだな」
ギゼフ様のことだから、自分よりも地位が低い貴族を狙って絵の獲得を考えていそうね。それも少額で手に入れていそうだわ。そうでなければ儲けにならないのだし……場合によっては、無料で譲り受けている可能性も考えられそうね。
「ギゼフ様はどういう手段で絵を集めているのか、とても気になりますね」
「確かにそうだな。不当な方法を使用している可能性も考えられるし」
キース様も私と同じ考えのようだった。ギゼフ様は絵の売買を絶対に成功させる必要があるみたいだしね。
「まずは部下に調査させることにしよう。それから……」
「私に何か出来ることはありますでしょうか?」
私は作者本人なのだし、完璧に当事者になってしまっている。なにかキース様の役に立てないか、念のために聞いてみた。
「そうだな、シェイナ嬢は引き続き依頼されている絵の制作を進めて行って欲しい。調査の方は私に任せておいてくれ。定期的に結果を報告するよ」
「ありがとうございます、キース様。ただ、私は自分の絵がギゼフ様に向かっているのは耐えられないので、なんとかしたいと考えています」
「気持ちは分かるが、今のシェイナ嬢には何も出来ない案件だろう?」
「そ、それは……そうですね」
確かにキース様のおっしゃる通りだった。私の能力では何も出来ない……絵を欲してくれている人々に売らないという選択肢を取ること以外では。ただ、それでは根本的な解決にはならないし。しかし、ギゼフ様が他の貴族から絵を購入しているという事実に目を背けることは難しい。
なんとしても阻止したくなってしまう。私の能力では限界があることは分かっているのだけれど……。
「まあ、そんなに心配することはないさ、シェイナ嬢。私がギゼフ殿の絵画の購入方法について調査してみる。そこで何か違反があれば、直接、殴り込みに行くことが出来るからな」
「殴り込みに行く場合、私も同行させていただいて宜しいでしょうか?」
「そうだな、考えておくよ」
「はい、ありがとうございます」
ギゼフ様がまともな方法で絵画の購入をしているとは考えにくい。キース様と殴り込みに行くことは決定事項になりそうね。その時に今まで売った絵も全て返して貰えないかしら?
0
お気に入りに追加
4,033
あなたにおすすめの小説
【完結】王女様がお好きなら、邪魔者のわたしは要らないですか?
曽根原ツタ
恋愛
「クラウス様、あなたのことがお嫌いなんですって」
エルヴィアナと婚約者クラウスの仲はうまくいっていない。
最近、王女が一緒にいるのをよく見かけるようになったと思えば、とあるパーティーで王女から婚約者の本音を告げ口され、別れを決意する。更に、彼女とクラウスは想い合っているとか。
(王女様がお好きなら、邪魔者のわたしは身を引くとしましょう。クラウス様)
しかし。破局寸前で想定外の事件が起き、エルヴィアナのことが嫌いなはずの彼の態度が豹変して……?
小説家になろう様でも更新中
もううんざりですので、実家に帰らせていただきます
ルイス
恋愛
「あなたの浮気には耐えられなくなりましたので、婚約中の身ですが実家の屋敷に帰らせていただきます」
伯爵令嬢のシルファ・ウォークライは耐えられなくなって、リーガス・ドルアット侯爵令息の元から姿を消した。リーガスは反省し二度と浮気をしないとばかりに彼女を追いかけて行くが……。
旦那様、そんなに彼女が大切なら私は邸を出ていきます
おてんば松尾
恋愛
彼女は二十歳という若さで、領主の妻として領地と領民を守ってきた。二年後戦地から夫が戻ると、そこには見知らぬ女性の姿があった。連れ帰った親友の恋人とその子供の面倒を見続ける旦那様に、妻のソフィアはとうとう離婚届を突き付ける。
if 主人公の性格が変わります(元サヤ編になります)
※こちらの作品カクヨムにも掲載します
王命を忘れた恋
須木 水夏
恋愛
『君はあの子よりも強いから』
そう言って貴方は私を見ることなく、この関係性を終わらせた。
強くいなければ、貴方のそばにいれなかったのに?貴方のそばにいる為に強くいたのに?
そんな痛む心を隠し。ユリアーナはただ静かに微笑むと、承知を告げた。
妹がいなくなった
アズやっこ
恋愛
妹が突然家から居なくなった。
メイドが慌ててバタバタと騒いでいる。
お父様とお母様の泣き声が聞こえる。
「うるさくて寝ていられないわ」
妹は我が家の宝。
お父様とお母様は妹しか見えない。ドレスも宝石も妹にだけ買い与える。
妹を探しに出掛けたけど…。見つかるかしら?
【完結】4人の令嬢とその婚約者達
cc.
恋愛
仲の良い4人の令嬢には、それぞれ幼い頃から決められた婚約者がいた。
優れた才能を持つ婚約者達は、騎士団に入り活躍をみせると、その評判は瞬く間に広まっていく。
年に、数回だけ行われる婚約者との交流も活躍すればする程、回数は減り気がつけばもう数年以上もお互い顔を合わせていなかった。
そんな中、4人の令嬢が街にお忍びで遊びに来たある日…
有名な娼館の前で話している男女数組を見かける。
真昼間から、騎士団の制服で娼館に来ているなんて…
呆れていると、そのうちの1人…
いや、もう1人…
あれ、あと2人も…
まさかの、自分たちの婚約者であった。
貴方達が、好き勝手するならば、私達も自由に生きたい!
そう決意した4人の令嬢の、我慢をやめたお話である。
*20話完結予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる