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24話
しおりを挟むグレンデル様は複数の護衛の手によって連れて行かれた。私はそこで、この問題が解決したのだと思っていたのだけれど……。
「グレンデル様、大丈夫ですか?」
「あ、ああ……お前達……迷惑を掛けたな」
彼の護衛として付き添っていた人達がグレンデル様に寄って来た。マルクスの護衛と相対した形だ。数少ないグレンデル様の味方……といったところだろうか? 収容所送りを先延ばしにしてもらっていると言ってたし、まだグレンデル様の味方は少しいるみたいね。
「グレンデル様に何をしているのですか? いくらマルクス様でもこの扱いは……」
「グレンデルが私に危害を加えようとしたからな。真偽のほどはともかくとして、本来であればより罪が重くなる事態だ。それだけではなく、いきなりアリスの屋敷に来るだけでも約束違反になるだろう」
「……」
グレンデル様の護衛達は何も言えなくなっていた。マルクスの言葉が確実に正論だからだと思うわ。
「グレンデル様をどうするのですか?」
「本来なら収容所に送りたいところだが、まずは裁判所に差し戻そうと思っている。そうなれば、彼の罪が重くなるかどうかの審議が行われるだろうからな」
「そ、そんなこと……いくらマルクス様でも!」
「やり過ぎだと言いたいのか? そもそも、グレンデルは貴族ではなくなっている。それがアリスの元へ訪れたり私に無礼を働いたりしたのだ。状況的には殺されても文句は言えないのだぞ?」
「うっ……それは……!」
貴族の身の安全を守るのが護衛の最大の務めだ。場合にとよっては護衛対象に覆いかぶさったり、盾になったり、相手を殺すことも任務に含まれる。護衛対象を守る意味での殺人は免責になることだって多いとされている。sおうでなければ護衛なんて務まらないし、誰もやりたがらないだろう。グレンデル様が生きているのは幸運ですらあると言える。
「うう……右手が折れているかもしれない。少しだけ確認させて貰えないか?」
その時、グレンデル様が右手を抑えている護衛に発言した。
「仕方ないな、少しだけだぞ」
その護衛は右手の拘束を少し緩める。その瞬間、グレンデル様は動いた。私にはほとんど見えない動作だったけれど、確かに何かを懐から出したのだ。そして……。
「えっ……なっ……!?」
「ま、マルクス……?」
一瞬だけ自由になった右手には刃物が握られており……それは、そのままマルクスに向かっていた。それと同時に落ちて行く赤い水滴。私は見逃さなかった……。
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