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「ふう……グレンデル様からの婚約破棄……意外ときついものね……」
私はアルサード家に戻って来た。お父様たちに婚約破棄の話をして、今は自室にいるのだけれど。じわじわと婚約破棄の悲しみが伝わって来ていた。グレンデル・ボアール侯爵は私の話は聞かずに言い訳ばかりで呆れたけれど。
彼に振られたことよりも、婚約破棄そのものの事実が嫌だった。私はこれからどういう生活をしていけば良いのだろうか。
「アリス様。まさか、ボアール侯爵が婚約破棄をするなんて……信じられませんわ」
「そうよね、レイチェル。私も驚きでしかないわ」
言い訳ばかりの男で最後は直角に話を捻じ曲げた。一刻も早く忘れたい存在だけれど、なかなかそうはいかないだろう。ちなみに話している相手はメイドのレイチェルだ。私の同じ18歳になる。
「アレッサ様と浮気をしていたし、程なくして付き合うでしょうね」
「そうなると、パーティーなどではお二人と顔を合わせるということに……」
レイチェルの言う通りだ。パーティーで出会った場合、グレンデル様の隣にはアレッサ様がいる可能性が高いだろう。ハッキリ言ってそんなシーンは想像したくないけれど、私は捨てられた身として哀れみを受けるかもしれない。
グレンデル様への批判に繋がればいいんだけれどね。
「はあ、面倒なことになりそうだわ。正直、もう会いたくないのだけれど」
「大変でございますね、アリス様。心中お察しいたします」
「ありがとう、レイチェル」
「あ、そういえばアリス様にお手紙が届いておりましたよ」
「あら、そうなの?」
最近はグレンデル様の屋敷に行っていたから、アルサード家には帰って来ていなかった。だから、手紙はすっかり見落としていたわ。レイチェルから手紙を受け取って封を開く。
「ええと……あれ? これって……」
私は自分宛の手紙を読んだのだけれど……その差出人の名前のところで手が止まった。
「マルクス・ファーム……? ええ?」
「マルクス・ファーム様……そのお名前は確か」
私の幼馴染の名前である。それは良いのだけれど……ええと、マルクス・ファーム大公と書かれていた。えっ、それって……。
「大公殿下って……偉いわよね?」
「当たり前じゃないですか。大公殿下と言えば、王家の次の位と言っても過言ではありませんよ? 我が国の貴族の中では最高位です!」
レイチェルも貴族出身なのだけれど怒られてしまった。私はどうかしていたわ……でも、あのマルクスが大公殿下って。まさか、そんな地位になっていたの?
私はアルサード家に戻って来た。お父様たちに婚約破棄の話をして、今は自室にいるのだけれど。じわじわと婚約破棄の悲しみが伝わって来ていた。グレンデル・ボアール侯爵は私の話は聞かずに言い訳ばかりで呆れたけれど。
彼に振られたことよりも、婚約破棄そのものの事実が嫌だった。私はこれからどういう生活をしていけば良いのだろうか。
「アリス様。まさか、ボアール侯爵が婚約破棄をするなんて……信じられませんわ」
「そうよね、レイチェル。私も驚きでしかないわ」
言い訳ばかりの男で最後は直角に話を捻じ曲げた。一刻も早く忘れたい存在だけれど、なかなかそうはいかないだろう。ちなみに話している相手はメイドのレイチェルだ。私の同じ18歳になる。
「アレッサ様と浮気をしていたし、程なくして付き合うでしょうね」
「そうなると、パーティーなどではお二人と顔を合わせるということに……」
レイチェルの言う通りだ。パーティーで出会った場合、グレンデル様の隣にはアレッサ様がいる可能性が高いだろう。ハッキリ言ってそんなシーンは想像したくないけれど、私は捨てられた身として哀れみを受けるかもしれない。
グレンデル様への批判に繋がればいいんだけれどね。
「はあ、面倒なことになりそうだわ。正直、もう会いたくないのだけれど」
「大変でございますね、アリス様。心中お察しいたします」
「ありがとう、レイチェル」
「あ、そういえばアリス様にお手紙が届いておりましたよ」
「あら、そうなの?」
最近はグレンデル様の屋敷に行っていたから、アルサード家には帰って来ていなかった。だから、手紙はすっかり見落としていたわ。レイチェルから手紙を受け取って封を開く。
「ええと……あれ? これって……」
私は自分宛の手紙を読んだのだけれど……その差出人の名前のところで手が止まった。
「マルクス・ファーム……? ええ?」
「マルクス・ファーム様……そのお名前は確か」
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「大公殿下って……偉いわよね?」
「当たり前じゃないですか。大公殿下と言えば、王家の次の位と言っても過言ではありませんよ? 我が国の貴族の中では最高位です!」
レイチェルも貴族出身なのだけれど怒られてしまった。私はどうかしていたわ……でも、あのマルクスが大公殿下って。まさか、そんな地位になっていたの?
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