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3話

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「マリア様がどうしてここに……? 話は聞いているんですよね?」

「話っていうのは、あなたが私を虐めているというシナリオについてかしら?」

「それです」


 シナリオって言った。やはり裏で進行していたんだわ。ビスタは最初から私を嵌めるつもりだったのね。いつから計画していたのかしら。このマリアも共犯よね……?


「ビスタはあなたとの婚約を破棄する為にとんでもない計画を実行したのよ。当然、私も知っているわ」

「知らないはずはないですよね。一体、どういうつもりなんですか?」


 私は怒りが込み上げて来た。マリアは全てを知った状態で私のところへ来ているのだから。今すぐにでも飛びかかりたいくらいだわ。でも、そんなことをすれば本当に牢獄行きだ。でも納得いかないことに変わりはない。

 ビスタは性格的にやってもおかしくなかったけど、このマリアまでそんな性格をしていたなんて。流石は幼馴染ということかしら。


「勘違いしないで欲しいのだけど、私は計画を知ってはいたけれど納得していたわけではないわ」

「えっ?」

「ビスタからあなたを蹴落とす計画を聞かされた時、止めるべきだったと反省しているわ」

「マリア様……?」


 確かマリアは噂では高貴な雰囲気を纏った才女だと言われていたはず。そんな彼女がビスタの計画に賛同するのは確かにおかしなことだけれどこれはもしかして。


「納得されていなかったのなら、なぜその時に言わなかったのですか? 結果的に私は捕らえられ大変なことになりつつあります」

「そうね悪かったと思っているわ。ビスタは私の大切な幼馴染だったから……なんとなく言い出しにくかったのよ。そのお詫びとして私はここに来ているの」

「お詫びですか?」


 ビスタを止められなかったお詫びとしてここに来ている、ということか。そうなると、彼女が来た目的は……。


「あなたをここから出してあげるわ」


 やっぱり……思った通りだった。でもそれは大きなリスクが伴うはずだ。


「大丈夫なんですか? そんなことをして」

「大丈夫なわけはないわ。ビスタはあれでも第6王子……見つかれば大変なことになるでしょうね。その前にこの学園を出て助けを求める必要があるわ」

「なかなかリスキーですね、それは……」

「でも、それしか方法がないわよ。このままだとあなたは地下牢行きだから」


 それは流石に嫌だわ。地下牢はひどく寒いと聞くし風邪が流行しているともされている。環境の酷さでは王国トップクラスだろう。そんなところには入れられたくない。

 これはマリアに付いて行くしかないわね。罠である可能性も否定できないけれど、彼女の眼は真剣だったからそれを信じることにした。
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