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3話 軟禁状態 その2
しおりを挟むジオス・クレイブン公爵視点……。
「ふっふっふ、誰が婚約破棄などしてやるものか……レオナは永遠に私の物なのだ。結婚したら、かならずその身体を頂いてやる。ふふふふふ……」
「ジオス様、少々、よろしいでしょうか?」
「どうかしたのか?」
私が上機嫌になっていると、配下のトロストイが話し掛けて来た。何やら急いでいるようだが……。
「レオナ様が軟禁状態で退屈されているご様子です」
「レオナが? まあ、退屈は退屈だろうな。軟禁状態というのはそういうものだろう? 仕方のないことだ」
「それは確かにそうかもしれませんが……せめて、貴族街の散策程度はお許しになられた方が良いのでは? ストレスになってしまいます」
「レオナが反省して、婚約破棄の話を無効とするなら考えてやらんこともないが。今は駄目だな」
レオナには罰を与えてやらねばならんからな……貴族街へ行かせるなど、あり得ない。同時に庭の散歩も禁止させている。彼女が反省するまでこの罰は続くのだ。
「しかし、ジオス様……これは、人道的ではありません」
「人道的だと? トロストイ、お前は今更、何を言っているのだ? レオナは私を叱責しただけではなく、婚約破棄まですると断言したのだぞ? そちらの方が、余程、非人道的であろうが!」
その通りなのだ……トロストイは何か勘違いをしているのか、事の重要性を分かっていないのか。レオナが行った罪をまるで分かっていないようだった。クレイブン公爵家に逆らうというのはどういうことか、分からせないといけないからな。
「非人道的と言われますが、元々はジオス様に原因があるのではないでしょうか……? ジオス様の浮気関連が今回の婚約破棄騒動の原因と伺っておりますが……」
「ふん……」
トロストイは失礼なことを言いだしている。この男が忠実な配下でなければ、今頃は即解雇宣言をしてやるところだ。クレイブン家の屋敷で働く者からも、レオナの軟禁については疑問の声が出ていると言うことか。
まったく……当主はこの私であることを皆、忘れてしまっているのか? 自分の将来の妻を軟禁しようが、生殺与奪の権利すら私には与えられているというのに……。
と、そんな時だった。屋敷のベルが鳴ったのは。誰か来たようだな。
「お客様のようですね……使用人が鳴らすとは考えられませんので」
「一体、誰だこんな時に? トロストイ、確認してきてくれ」
「畏まりました」
迷惑な客人でなければ良いが……こちらは忙しいのだ、私と友好関係を築こうと必死な貴族連中の場合、門前払いといこうじゃないか。
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