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5話 焦り
しおりを挟むジオット視点……。
「おかしい……どうなっているのだ? これは……」
「父上、どうかなさいましたか?」
「おお、ジオットか。これを見てくれ」
私は父上でありオルガス家の当主である、デノン・オルガスと話をしていた。書類を差し出されたがどうかしたのだろうか?
「この書類がどうかしたのですか……?」
「今月のアイテムの供給についての書類なのだが……なぜかエリクサーの供給が0なのだ」
「エリクサーの供給が……た、確かに0になっておりますね。これは一体、どういうことでしょうか?」
これはおかしい……エリクサーは回復アイテムとしては最上級の代物だ。今までは毎月購入出来ていたはずなのに、なぜ今月に限って供給数が0になっているのか? どういうことだ?
「いつもの取引先の商人が数を間違えたのではないでしょうか?」
「うむ……そうだと良いのだがな」
「と、言いますと?」
「今まで商人達は供給の数を間違えたことはないだろう? それが今月に限ってエリクサーの数だけが0になっているのが、どうも引っかかるのだ」
父上の心配はもっともだと言えるだろう。私がその心配を取り除いてやらないとな。
「何も心配いりませんよ、父上。私が調べてまいります、ご安心ください」
「う、うむ……それでは任せるとしようか」
-------------------------
ナタリー・マルコシアス視点……。
「まさか、ドルト・マッキンリー様からの助力を得られるなんて思ってもみませんでした」
「あら、そうなの?」
「はい、お母様。驚き以外のなにものでもないですよ」
お母様がどのように話をつけたのかは未だに不明だけれど、私にとっては大きな味方が付いてくれたことになる。お母様には感謝しないといけないわね。同時にドルト様へも感謝をしないといけない。
「ドルト様への感謝は大事だけれど、実はドルト様の方から力になりたいと言って来たのよ?」
「えっ、本当ですか? お母様」
「ええ、本当よ。ふふふふ、あなたもモテるわね」
「いえ、それはどうなんでしょうか……」
モテるというのとは少し違う気がするけれど、そっか……ドルト様の方から志願してくれたんだ。私はなんだか嬉しくなってしまっていた。
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