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5話
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「その男の子の名前はエンデバーでしょう?」
「そうなんですよね……偽名なんでしょうけど。なんで本名や出身の家系を言わなかったのか、今でも謎なんです」
「ふふ、運命的ね」
「確かに……」
視察の際のレストランの名前と同じ名前の少年だった。当時は私も11歳とかだったけれど、エンデバーも同じくらいの年齢じゃなかったのかな。場所が貴族街だけに一般人とは思えないし、本当に不思議な少年だったわね。
「それで? エンデバー君と性の話になった時のことを聞かせてよ。そういえば当時、詳しくは聞いていなかったわね」
「いえ、姉さまは大分詳しく聞いていたと思いますよ?」
今考えても、かなり恥ずかしかった気がするわ。まだ11歳の少女が性の話って……今の年齢ならともかく。まあ、私はまだ処女だし、そんなに詳しくは語れないけれど。ただ、姉さまは違う。
「姉さま、私のこと馬鹿にして楽しいですか? まだ、その……経験がないからって……玩具にしてません?」
「そんなことないわよ、シンディ。これでもあなたのことは誰よりも心配しているつもりよ?」
「う……それは……嬉しいですけど」
こういうとことは卑怯だと思うと同時に嬉しくもある。クレア姉さまが心配してくれているのは間違いないことだから。というより、これから姉さまに性の話をしないといけないの?
「エンデバーとは色々話しましたけれど、その中でも性の話は……思い出深いですね。彼もまだ慣れてなかったようですし」
「それはそうでしょう。11歳前後で慣れていたら色々とまずいわ」
「まあ、そうですよね……あはは」
当り前の話だった。クレア姉さまは23歳になる。婚約者と結婚しているし、もう色々と経験済みなわけで。こういう話はまったく平気の様子だった。私とは大違いね……。
「エンデバー君とはどんな話をしたのかしら?」
「それ、前にも言いましたよね?」
「もう一度聞きたいのよ」
「うっ……エンデバーとは初体験ってどんな感じかなって話を……はあ……」
駄目だ恥ずかしい……私自身、まだ初体験を終わらせてないんだから余計にだ。ドルト様は浮気相手のエリーヌ様ととっくに終わらせているんだろうけれど。その辺りは経験の差が出ているわね。ていうか、このまま話さないといけないんだろうか……かなり恥ずかしいのだけれど。
「……あら? お目当てのお方が来たみたいね」
「えっ……?」
私はクレア姉さまと同じ方向を見た。馬車が止まっている。あれ……あの家紋って……。
「えっ、嘘……あの家紋、王族のフェリックス王家の家紋! どうしてこんなところに……?」
「来ていただいたみたいね。私も今回の視察でシンディと対面することになるとは思わなかったけれど。色々と偶然が重なって良かったわね」
「ええっ? どういう意味ですか?」
エンデバーの視察に王家の方が来るなんて……このお店の関係者なのかしら? そのくらいじゃないとあり得ないと思うんだけれど。たかが、一店舗のレストランに王族がなんて。
「えっ……あの方は……! まさか……!?」
馬車から降りて来た人物……王族の方だとは思っていたけれど。予想外に大物だった。
「シンディは初めて会うことになるのかしら? 一応は。王太子殿下のラッド・フェリックス様ね」
王太子殿下がこんなところに? 次期国王陛下じゃない……私は言葉が出て来なかった。
「そうなんですよね……偽名なんでしょうけど。なんで本名や出身の家系を言わなかったのか、今でも謎なんです」
「ふふ、運命的ね」
「確かに……」
視察の際のレストランの名前と同じ名前の少年だった。当時は私も11歳とかだったけれど、エンデバーも同じくらいの年齢じゃなかったのかな。場所が貴族街だけに一般人とは思えないし、本当に不思議な少年だったわね。
「それで? エンデバー君と性の話になった時のことを聞かせてよ。そういえば当時、詳しくは聞いていなかったわね」
「いえ、姉さまは大分詳しく聞いていたと思いますよ?」
今考えても、かなり恥ずかしかった気がするわ。まだ11歳の少女が性の話って……今の年齢ならともかく。まあ、私はまだ処女だし、そんなに詳しくは語れないけれど。ただ、姉さまは違う。
「姉さま、私のこと馬鹿にして楽しいですか? まだ、その……経験がないからって……玩具にしてません?」
「そんなことないわよ、シンディ。これでもあなたのことは誰よりも心配しているつもりよ?」
「う……それは……嬉しいですけど」
こういうとことは卑怯だと思うと同時に嬉しくもある。クレア姉さまが心配してくれているのは間違いないことだから。というより、これから姉さまに性の話をしないといけないの?
「エンデバーとは色々話しましたけれど、その中でも性の話は……思い出深いですね。彼もまだ慣れてなかったようですし」
「それはそうでしょう。11歳前後で慣れていたら色々とまずいわ」
「まあ、そうですよね……あはは」
当り前の話だった。クレア姉さまは23歳になる。婚約者と結婚しているし、もう色々と経験済みなわけで。こういう話はまったく平気の様子だった。私とは大違いね……。
「エンデバー君とはどんな話をしたのかしら?」
「それ、前にも言いましたよね?」
「もう一度聞きたいのよ」
「うっ……エンデバーとは初体験ってどんな感じかなって話を……はあ……」
駄目だ恥ずかしい……私自身、まだ初体験を終わらせてないんだから余計にだ。ドルト様は浮気相手のエリーヌ様ととっくに終わらせているんだろうけれど。その辺りは経験の差が出ているわね。ていうか、このまま話さないといけないんだろうか……かなり恥ずかしいのだけれど。
「……あら? お目当てのお方が来たみたいね」
「えっ……?」
私はクレア姉さまと同じ方向を見た。馬車が止まっている。あれ……あの家紋って……。
「えっ、嘘……あの家紋、王族のフェリックス王家の家紋! どうしてこんなところに……?」
「来ていただいたみたいね。私も今回の視察でシンディと対面することになるとは思わなかったけれど。色々と偶然が重なって良かったわね」
「ええっ? どういう意味ですか?」
エンデバーの視察に王家の方が来るなんて……このお店の関係者なのかしら? そのくらいじゃないとあり得ないと思うんだけれど。たかが、一店舗のレストランに王族がなんて。
「えっ……あの方は……! まさか……!?」
馬車から降りて来た人物……王族の方だとは思っていたけれど。予想外に大物だった。
「シンディは初めて会うことになるのかしら? 一応は。王太子殿下のラッド・フェリックス様ね」
王太子殿下がこんなところに? 次期国王陛下じゃない……私は言葉が出て来なかった。
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