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80話 束の間の休息
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「う~ん、予想以上に上手くいったわね。全員生きて帰ってきたし」
「うん……でも、強敵だったよ。全員生きれたのが、不思議なくらいの」
アルトクリファ神聖国での戦いから2日ほどが経過していた。春人とアメリアはバーモンドの酒場でいつものように寛いでいる。オルランド遺跡も探索は完了したために、仕事自体がないのが現状だ。もちろん、リザード討伐の依頼は残っているが。
「実際戦ったのは少しだったけど、アテナとヘカーテ……あんな強敵が世の中には居るのね……ジェシカ・フィアゼス以上の存在……」
「人間じゃないというのが一番厄介だよ。致命傷を与えられない。俺が例え互角以上になったとしても、戦えば勝てるとは限らないな」
春人の力は現在でも伸びている。近い内に、レベルが1000を越える可能性もあるだろう。しかし、致命傷の問題だけは種族の問題なので絶対に乗り越えられない。春人といえども心臓を貫かれて生きてはいられないのだ。アテナたちはへたをすれば、呼吸をしなくても生きられる身体なのかもしれない。厳密には生物とは定義されないのだから。
「あの二人、海を越えるって言ってたわね。もしかしたら、制圧してない地域もあるのかもね」
「そりゃ全部を制圧してるとは思えないけど……まあ、永遠の寿命があるみたいだし、色々と楽しんでくれればいいと思うよ」
アルトクリファ神聖国の住人は驚いたことに誰一人死んではいなかった。もちろん、軍部に関連する者の死者は出たが、最小限と言えるだろう。
彼女らが言っていた異次元空間は解除され、今はいつもの通り経済は動いているようだ。ジェシカの像や大聖堂についても、アテナ達は破壊することはなかった。どんな形であれ、ジェシカの形見になるものは破壊したくないということか。
「でも「シンドローム」……彼らだけは、メドゥを除いて死んだみたいね。まあ、アテナ達にやられた冒険者は彼らだけではないけど」
「うん……そうだね」
メドゥは他のメンバーが死んだことを表には出さないが、相当に悔やんでいる。まだ知り合ってそれほど経過していないパーティだったが、居心地は気に行っていたのだ。メドゥは現在、ルクレツィアのお店で精力的に働いている。相当な稼ぎをしているらしい。
「そういえば、神聖国が手にした宝もアテナは持ち去ってないらしいわよ。今後も人間を食わないなら、特に敵視しなくてもいいかもね」
「メドゥのことがあるから、なんとも言えないけど……それに、油断はできないから、力はつけとかないとね」
アテナもヘカーテも相当に気まぐれな性格をしている。春人は念の為、自らの力の向上を考えることにしていた。まだ、春人の知らない国の方が多いが、自分より強い人間は居ないだろうという考えからだ。
「そうね、それからコンビの能力向上。これをすれば、さらに戦力を上げることができるわ」
「うん、そうだね」
「ま、そのためには……は、春人が私を抱くというのもかなり大きな能力向上だと思うんだけど……」
アメリアの顔は真っ赤だ。大胆な告白からまだ日にちはほとんど経過していない。春人は答えなども出していないが、アメリアとしては先に既成事実を作ろうという魂胆があった。
最近はサキアも危険な為だ。春人は確実にサキアの誘惑に我慢できなくなっていることをアメリアは勘づいていた。
「すごく魅力的な誘いだけど……もう少し待ってくれないかな。答え出すから……」
「わかってるわよ。でも、冗談とはいえ彼氏発言しておいて、振ったら立ち直れないんだけど……」
「うう……一応、俺の初恋は委員長なわけで……」
「なによそれ~~~~!」
春人は空気が読めなくなっていた。アメリアはそんな春人を羽交い絞めにする。もちろん全く怒っておらず、彼女の顔には笑顔すらこぼれているが。
アメリアの告白はエミル達にも伝わっており、誰が春人の心を射止めるか、ある種の競争が裏では行われている。もちろん、過ごす時間の長さからアメリアが有利ではある。
「エミルと美由紀……どっちも美人だし、気を付けないと」
「え? アメリア?」
「ううん、なんでもないわ。それより……リザードよ。トネ共和国が危ないらしいし、早く片付けるわよ。2000万ゴールドもらえるしね」
アメリアはリザード討伐の依頼の話に話題を変えた。その報酬額に少し性格が変わっている。日本円にすれば2億4000万円ほどの金額になり、一般的なサラリーマンでは40年間働いたとしても届かない額である。年収600万円を40年間続けてやっと同額だが、それをコンスタントに続けられる人は意外と少ない。さらに手取りではもっと下がる。
そんな額を1回で手に入れられるのだ。命の危険も当然高いが、彼女の目の色の変化は頷けるものがあった。
「2000万ゴールドは確かに魅力的だけど……アメリアは既に何億ゴールドもあるんだし、そんなに急ぐ必要はないと思うけど」
アメリアは日本円で数十億レベルの金額を稼いでいる。特に2000万ゴールドに固執する必要はなかった。正義の味方でもないのだから、そこまで急ぐ必要がないのは確かだ。
「まあ、それは……ほら、春人と旅行したいし」
漏れた彼女の本音。2000万ゴールドよりもそれが目的である。
「あ、ありがと……そう言ってくれるとうれしい……」
「うん……ただ、エミル達のことも考えてあげてよね。彼女も本気なんだし」
「うん、わかってる」
アメリアは自分が選ばれたとしても、友人関係にひびが入ることを良しとは考えていない。これからもアーカーシャで生きていくのだから。
「そういえば、サキアは?」
「2階で寝てるよ。さすがに、ヘカーテとの戦いは疲れたらしい」
「そうなんだ、レナ達はスコーピオンの退治に行ってるし……私達もリザード討伐に行きましょうか」
そう言いながら、アメリアは立ち上がる。春人も彼女に続いて立ち上がった。ずっと先延ばしになっていたリザード討伐。もはや達成したも同然の依頼だが、油断は禁物だ。春人は気を引き締める。
「エミルは買い出し……今日は酒場自体が休みだしね……エミルに挨拶して、ギルドに寄ろうか」
「そうね、そういえば春人知ってる?」
「なにが?」
「悟ってば、彼女できたみたいよ。確か、同じチームの人だとか」
「本当に? あとで詳しく聞かないと」
春人は意外にも興味深々だ。他人の色恋沙汰は春人といえども蜜の味ということか。
「それから、アルマークとイオはものすごい盛ってるみたい。ジラークさんが一晩中喘ぎ声聞こえてくるって言ってたし」
「ああ、「アプリコット」でしてるんだね……ははは」
アルマークとイオ……二人の行為は考えるだけで、とても微笑ましいが、それと同時に二人は顔を赤くしてしまった。これから二人旅になるのだ。その間、春人が我慢できる保証など全くない。アメリアがこんな話をしたのも、そういった考えがあってのことだった。
「ま、結構長旅になるとおもうけど……よろしく」
「う、うん……」
お互い顔は驚くほど赤く、視線もそれぞれ逸らしている。春人を取り巻く恋愛事情はアメリアの1人勝ち……になるかに思えた。しかし……
「はい、改めてよろしくお願いします。春人さん」
目の前には普段着に身を包んだエミルの姿があった。ミニスカートを穿いており、とても魅力的だ。
「あ、あれ……エミル? それに委員長も……」
エミルの隣には美由紀の姿もあった。彼女たちはどこか旅の支度とも思える格好をしていた。なにやら嫌な予感が春人によぎる。
「私達もリザード討伐に同行するわ。あなた達二人だけなんて……その、まあ色々問題があるでしょ?」
「はい、美由紀さんと同行すれば、私も足手まといにはならないと思いますので。お料理などでしたらサポートできますし」
二人は有無を言わせない表情で言った。表情としては穏やかだったが、その威圧感は断ることができない凄みで覆われていた。
「あ……えと……アメリア?」
春人はなんとも言えず、アメリアに助け舟を出した。
「いいんじゃない? 大勢の方が楽しいし。まあ、ペアリングまでしてる私達に勝てるとは思わないでほしいけど?」
とこれみよがしに、彼女は小指のリングを二人に見せた。その挑発には二人も黙っていない。
「あら? 胸の大きさでは負けていないわよ? 日本で過ごした時間はあなた達とは比べ物にならないわ。ねえ、春人くん?」
「え? 春人くん……ま、まあそうだけど……」
「春人くんも私のことは美由紀でいいわよ? 親しい間柄なんだし、これからはそう呼び合いましょう」
美由紀の大胆な攻勢に、アメリアの表情も強張る……意外な強敵、そのように感じているのかもしれない。
「ふふふ、アーカーシャで恋人として認知されているのは、私と春人さんですから。そこについては勘違いしないでくださいね?」
とても優しい笑顔……しかし、そこには負けられない乙女の感情が込み上がっていた。3人とも笑顔ではあるが、稲妻のような視線を交わしている。
春人はもはや、囚われた子犬のようになにも言えない状況になっていた。
「お前のご主人さまも大変だな。あれ、どうなるんだよ」
「マスターは浮気者です。私が居るのに……これは、負けられないですね」
「おいおい、デスシャドーがマジで人間と恋に落ちるとでもおもってんのか?」
「何事も前例を作ることはいいことです。私とマスターとで、常識を覆してみます」
遠目から、春人たちのやり取りを見ていたアビスとサキア。二人は人間のように振る舞い、とてもアイテムだとは思えない。決して相容れないはずの、アイテムと人間の壁だが、それを突破しようとするサキアは春人の下まで移動し、大胆な口づけを披露した。そのあと、春人がどのような目に遭ったかは想像に難くない……。彼らの冒険はまだまだ続いて行くのだ。これからもずっと……。
「春人のハーレムもまだまだ続きそうだな」
最後に彼らのやり取りをカウンターで見ていたバーモンドは柔らかい笑みでそう締めくくった。
春人は苦笑いしながら今後のことを考えているようだった。
「うん……でも、強敵だったよ。全員生きれたのが、不思議なくらいの」
アルトクリファ神聖国での戦いから2日ほどが経過していた。春人とアメリアはバーモンドの酒場でいつものように寛いでいる。オルランド遺跡も探索は完了したために、仕事自体がないのが現状だ。もちろん、リザード討伐の依頼は残っているが。
「実際戦ったのは少しだったけど、アテナとヘカーテ……あんな強敵が世の中には居るのね……ジェシカ・フィアゼス以上の存在……」
「人間じゃないというのが一番厄介だよ。致命傷を与えられない。俺が例え互角以上になったとしても、戦えば勝てるとは限らないな」
春人の力は現在でも伸びている。近い内に、レベルが1000を越える可能性もあるだろう。しかし、致命傷の問題だけは種族の問題なので絶対に乗り越えられない。春人といえども心臓を貫かれて生きてはいられないのだ。アテナたちはへたをすれば、呼吸をしなくても生きられる身体なのかもしれない。厳密には生物とは定義されないのだから。
「あの二人、海を越えるって言ってたわね。もしかしたら、制圧してない地域もあるのかもね」
「そりゃ全部を制圧してるとは思えないけど……まあ、永遠の寿命があるみたいだし、色々と楽しんでくれればいいと思うよ」
アルトクリファ神聖国の住人は驚いたことに誰一人死んではいなかった。もちろん、軍部に関連する者の死者は出たが、最小限と言えるだろう。
彼女らが言っていた異次元空間は解除され、今はいつもの通り経済は動いているようだ。ジェシカの像や大聖堂についても、アテナ達は破壊することはなかった。どんな形であれ、ジェシカの形見になるものは破壊したくないということか。
「でも「シンドローム」……彼らだけは、メドゥを除いて死んだみたいね。まあ、アテナ達にやられた冒険者は彼らだけではないけど」
「うん……そうだね」
メドゥは他のメンバーが死んだことを表には出さないが、相当に悔やんでいる。まだ知り合ってそれほど経過していないパーティだったが、居心地は気に行っていたのだ。メドゥは現在、ルクレツィアのお店で精力的に働いている。相当な稼ぎをしているらしい。
「そういえば、神聖国が手にした宝もアテナは持ち去ってないらしいわよ。今後も人間を食わないなら、特に敵視しなくてもいいかもね」
「メドゥのことがあるから、なんとも言えないけど……それに、油断はできないから、力はつけとかないとね」
アテナもヘカーテも相当に気まぐれな性格をしている。春人は念の為、自らの力の向上を考えることにしていた。まだ、春人の知らない国の方が多いが、自分より強い人間は居ないだろうという考えからだ。
「そうね、それからコンビの能力向上。これをすれば、さらに戦力を上げることができるわ」
「うん、そうだね」
「ま、そのためには……は、春人が私を抱くというのもかなり大きな能力向上だと思うんだけど……」
アメリアの顔は真っ赤だ。大胆な告白からまだ日にちはほとんど経過していない。春人は答えなども出していないが、アメリアとしては先に既成事実を作ろうという魂胆があった。
最近はサキアも危険な為だ。春人は確実にサキアの誘惑に我慢できなくなっていることをアメリアは勘づいていた。
「すごく魅力的な誘いだけど……もう少し待ってくれないかな。答え出すから……」
「わかってるわよ。でも、冗談とはいえ彼氏発言しておいて、振ったら立ち直れないんだけど……」
「うう……一応、俺の初恋は委員長なわけで……」
「なによそれ~~~~!」
春人は空気が読めなくなっていた。アメリアはそんな春人を羽交い絞めにする。もちろん全く怒っておらず、彼女の顔には笑顔すらこぼれているが。
アメリアの告白はエミル達にも伝わっており、誰が春人の心を射止めるか、ある種の競争が裏では行われている。もちろん、過ごす時間の長さからアメリアが有利ではある。
「エミルと美由紀……どっちも美人だし、気を付けないと」
「え? アメリア?」
「ううん、なんでもないわ。それより……リザードよ。トネ共和国が危ないらしいし、早く片付けるわよ。2000万ゴールドもらえるしね」
アメリアはリザード討伐の依頼の話に話題を変えた。その報酬額に少し性格が変わっている。日本円にすれば2億4000万円ほどの金額になり、一般的なサラリーマンでは40年間働いたとしても届かない額である。年収600万円を40年間続けてやっと同額だが、それをコンスタントに続けられる人は意外と少ない。さらに手取りではもっと下がる。
そんな額を1回で手に入れられるのだ。命の危険も当然高いが、彼女の目の色の変化は頷けるものがあった。
「2000万ゴールドは確かに魅力的だけど……アメリアは既に何億ゴールドもあるんだし、そんなに急ぐ必要はないと思うけど」
アメリアは日本円で数十億レベルの金額を稼いでいる。特に2000万ゴールドに固執する必要はなかった。正義の味方でもないのだから、そこまで急ぐ必要がないのは確かだ。
「まあ、それは……ほら、春人と旅行したいし」
漏れた彼女の本音。2000万ゴールドよりもそれが目的である。
「あ、ありがと……そう言ってくれるとうれしい……」
「うん……ただ、エミル達のことも考えてあげてよね。彼女も本気なんだし」
「うん、わかってる」
アメリアは自分が選ばれたとしても、友人関係にひびが入ることを良しとは考えていない。これからもアーカーシャで生きていくのだから。
「そういえば、サキアは?」
「2階で寝てるよ。さすがに、ヘカーテとの戦いは疲れたらしい」
「そうなんだ、レナ達はスコーピオンの退治に行ってるし……私達もリザード討伐に行きましょうか」
そう言いながら、アメリアは立ち上がる。春人も彼女に続いて立ち上がった。ずっと先延ばしになっていたリザード討伐。もはや達成したも同然の依頼だが、油断は禁物だ。春人は気を引き締める。
「エミルは買い出し……今日は酒場自体が休みだしね……エミルに挨拶して、ギルドに寄ろうか」
「そうね、そういえば春人知ってる?」
「なにが?」
「悟ってば、彼女できたみたいよ。確か、同じチームの人だとか」
「本当に? あとで詳しく聞かないと」
春人は意外にも興味深々だ。他人の色恋沙汰は春人といえども蜜の味ということか。
「それから、アルマークとイオはものすごい盛ってるみたい。ジラークさんが一晩中喘ぎ声聞こえてくるって言ってたし」
「ああ、「アプリコット」でしてるんだね……ははは」
アルマークとイオ……二人の行為は考えるだけで、とても微笑ましいが、それと同時に二人は顔を赤くしてしまった。これから二人旅になるのだ。その間、春人が我慢できる保証など全くない。アメリアがこんな話をしたのも、そういった考えがあってのことだった。
「ま、結構長旅になるとおもうけど……よろしく」
「う、うん……」
お互い顔は驚くほど赤く、視線もそれぞれ逸らしている。春人を取り巻く恋愛事情はアメリアの1人勝ち……になるかに思えた。しかし……
「はい、改めてよろしくお願いします。春人さん」
目の前には普段着に身を包んだエミルの姿があった。ミニスカートを穿いており、とても魅力的だ。
「あ、あれ……エミル? それに委員長も……」
エミルの隣には美由紀の姿もあった。彼女たちはどこか旅の支度とも思える格好をしていた。なにやら嫌な予感が春人によぎる。
「私達もリザード討伐に同行するわ。あなた達二人だけなんて……その、まあ色々問題があるでしょ?」
「はい、美由紀さんと同行すれば、私も足手まといにはならないと思いますので。お料理などでしたらサポートできますし」
二人は有無を言わせない表情で言った。表情としては穏やかだったが、その威圧感は断ることができない凄みで覆われていた。
「あ……えと……アメリア?」
春人はなんとも言えず、アメリアに助け舟を出した。
「いいんじゃない? 大勢の方が楽しいし。まあ、ペアリングまでしてる私達に勝てるとは思わないでほしいけど?」
とこれみよがしに、彼女は小指のリングを二人に見せた。その挑発には二人も黙っていない。
「あら? 胸の大きさでは負けていないわよ? 日本で過ごした時間はあなた達とは比べ物にならないわ。ねえ、春人くん?」
「え? 春人くん……ま、まあそうだけど……」
「春人くんも私のことは美由紀でいいわよ? 親しい間柄なんだし、これからはそう呼び合いましょう」
美由紀の大胆な攻勢に、アメリアの表情も強張る……意外な強敵、そのように感じているのかもしれない。
「ふふふ、アーカーシャで恋人として認知されているのは、私と春人さんですから。そこについては勘違いしないでくださいね?」
とても優しい笑顔……しかし、そこには負けられない乙女の感情が込み上がっていた。3人とも笑顔ではあるが、稲妻のような視線を交わしている。
春人はもはや、囚われた子犬のようになにも言えない状況になっていた。
「お前のご主人さまも大変だな。あれ、どうなるんだよ」
「マスターは浮気者です。私が居るのに……これは、負けられないですね」
「おいおい、デスシャドーがマジで人間と恋に落ちるとでもおもってんのか?」
「何事も前例を作ることはいいことです。私とマスターとで、常識を覆してみます」
遠目から、春人たちのやり取りを見ていたアビスとサキア。二人は人間のように振る舞い、とてもアイテムだとは思えない。決して相容れないはずの、アイテムと人間の壁だが、それを突破しようとするサキアは春人の下まで移動し、大胆な口づけを披露した。そのあと、春人がどのような目に遭ったかは想像に難くない……。彼らの冒険はまだまだ続いて行くのだ。これからもずっと……。
「春人のハーレムもまだまだ続きそうだな」
最後に彼らのやり取りをカウンターで見ていたバーモンドは柔らかい笑みでそう締めくくった。
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