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4話
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アランとの恋愛は上手く行っていた。まだ婚約をして1カ月ほどしか経っていないけれど、お互いの趣味がよく合うのだった。
「例のアクセサリーを入手できるツテが決まってね。今度、プレゼントするよ」
「本当ですか、アラン様? ありがとうございます」
お互い趣味が合うだけに買い物なども楽しく出来ていた。まだまだ深い関係になれたというわけではないけれど、そうなるのも時間の問題だろう。
今日は私の屋敷に彼を招いている。なんでもお父様から話があると聞いていたから。一体なにかしら?
「お呼びしまして申し訳ありませんでした、アラン様」
「とんでもないことですよ、ケニー殿。それで、お話しというのはなんでしょうか?」
「ええ、そのことなんですが……」
お父様は少し咳払いをした。それからまた話し出した。
「実は我が家……ネロウ家の地位が上がるようでございまして。陛下の使いの方からそう聞かされました」
「お父様……それって本当なんですか?」
信じられない言葉がお父様の口から飛び出して来た。私達は男爵家でしかなかったのに、その地位が向上するというのは……。
「それはおめでとうございます。どういう理由かは分かっているのですか?」
「なんでも、私が考案した工事が上手く行ったのだとか。そのように聞いています」
「なんとそんなことが……すばらしいですね」
「ありがとうございます。陛下からは私に管理する土地を与えて、そこで工事を試して欲しいようですね。ですので……私は近い内に伯爵の称号を得ることができるようです」
「伯爵ですか……それはすごい」
伯爵家にいきなりなれると言うの? 信じられない……最底辺の貴族だったのに、いきなり高位の貴族の仲間入りを果たすようなものだ。この国では、貴族の地位の向上はたまに見られることではあるけれど、まさか我が家が叶えてしまうとは思ってもみなかった。
これもお父様の努力の賜物でしょうね。
「おとうさま、おめでとうございます!」
「ありがとう、エリナ。これでお前は伯爵令嬢になるというわけだ。そうなってしまえば、アラン様との釣り合いも取れるというものだろう」
「私はエリナのことを地位では評価していませんので、安心してください」
アランはそう言ってくれたけれど、対外的な見立てが変わるのは良いことだ。私が伯爵令嬢になってしまえば、不満の声も少なくなるだろうし。
男爵家から伯爵家への向上……とても信じられないことだけれど、嬉しいことに違いはなかった。これで堂々とアランと手を繋げるわ。
「例のアクセサリーを入手できるツテが決まってね。今度、プレゼントするよ」
「本当ですか、アラン様? ありがとうございます」
お互い趣味が合うだけに買い物なども楽しく出来ていた。まだまだ深い関係になれたというわけではないけれど、そうなるのも時間の問題だろう。
今日は私の屋敷に彼を招いている。なんでもお父様から話があると聞いていたから。一体なにかしら?
「お呼びしまして申し訳ありませんでした、アラン様」
「とんでもないことですよ、ケニー殿。それで、お話しというのはなんでしょうか?」
「ええ、そのことなんですが……」
お父様は少し咳払いをした。それからまた話し出した。
「実は我が家……ネロウ家の地位が上がるようでございまして。陛下の使いの方からそう聞かされました」
「お父様……それって本当なんですか?」
信じられない言葉がお父様の口から飛び出して来た。私達は男爵家でしかなかったのに、その地位が向上するというのは……。
「それはおめでとうございます。どういう理由かは分かっているのですか?」
「なんでも、私が考案した工事が上手く行ったのだとか。そのように聞いています」
「なんとそんなことが……すばらしいですね」
「ありがとうございます。陛下からは私に管理する土地を与えて、そこで工事を試して欲しいようですね。ですので……私は近い内に伯爵の称号を得ることができるようです」
「伯爵ですか……それはすごい」
伯爵家にいきなりなれると言うの? 信じられない……最底辺の貴族だったのに、いきなり高位の貴族の仲間入りを果たすようなものだ。この国では、貴族の地位の向上はたまに見られることではあるけれど、まさか我が家が叶えてしまうとは思ってもみなかった。
これもお父様の努力の賜物でしょうね。
「おとうさま、おめでとうございます!」
「ありがとう、エリナ。これでお前は伯爵令嬢になるというわけだ。そうなってしまえば、アラン様との釣り合いも取れるというものだろう」
「私はエリナのことを地位では評価していませんので、安心してください」
アランはそう言ってくれたけれど、対外的な見立てが変わるのは良いことだ。私が伯爵令嬢になってしまえば、不満の声も少なくなるだろうし。
男爵家から伯爵家への向上……とても信じられないことだけれど、嬉しいことに違いはなかった。これで堂々とアランと手を繋げるわ。
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