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3話 新たなスキル その2

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「お前……ハイポーションなんて生成出来たの?」

「いや、出来ないけど……」

「出来てるじゃないか」


 ハイポーションはポーションよりも上位の回復薬で、中級クラスのアイテムに属する。おかしい……私は今まで、下級のポーションしか生成は出来なかったはずなのに。

 それに、先ほどの頭の中の声は……。


「頭の中に上級アイテム生成にレベルアップって出てたけど……」

「お前それって、俺達がスキルを発現させる時に聞こえる天の声のことなんじゃないか?」

「え、ええ……おそらくはそれで間違いないと思うんだけれど」


 天の声というのは、私達の誰しもに聞こえるとされる声のことだ。スキルの発現を告げるもので、それがどういった能力なのかも教えてくれたりする。天の声の主と言うか、発生源の特定はされていないけど、神様からの贈り物であるという説が有力だ。

【上級アイテム生成】の性能については教えてもらえなかったけれど、これはおそらく上級クラスのアイテムまでを生成出来るようになったことを意味すると思うわ。

「しかし、凄いなメリアドール。スキルのレベルアップなんて、冒険者の中でも一部……才能のある奴にしか発現しないとか聞いたけどな」

「それは私も聞いたことがあるわ」


 人間は1つのスキルを10歳~20歳くらいまでの間に必ず授かる。これについては例外はないらしいけれど、その人の得意分野とか育ってきた環境が考慮されるらしい。リクイドのスキルは【調理技術アップ】で、まさに酒場で働く彼にはピッタリと言える。

 他にもレストランとかで働く場合も役立ちそうね。ただ、通常はそこからスキル自体がレベルアップすることは稀だと言われている。【調理技術アップ】はさらに上の【調理技術大アップ】というのがあるけれど、リクイドはそのスキルは持っていないわけで。

 私の場合はこのタイミングでスキルレベルアップをしてしまった。まあ、喜んで良いことなんだろうけれど、出来れば追放される前に来て欲しかったかな。いえ、リムーブのメンバーの本性が分かってしまったし、どのみちこれ以上、あそこで働かない方が良かったわね。

「これって……自慢になるかな?」

「そりゃなるだろ。他の冒険者パーティにも加入しやすくなるんじゃないか? 上級アイテム生成のスキルなんて、珍しいだろうからな」

 確かに……これは希望が見えて来たかもしれない。と、そんなことを思っていると。


『新たなスキル、レアドロップが発現しました。この能力は魔物を倒した時のドロップ率上昇効果に加え、レアドロップ率の確率もアップします』


 という天の声が聞こえて来た。えっ? こんなに何度も天の声が聞こえるなんて、その時点でおかしい気がするけれど、新しいスキル……? えっ、どういうこと……?

 スキルはレベルアップする場合はあるけれど、一人につき1つでは……。
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