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15話

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(リシェル視点)


 なんだかおかしい……なんでこんな状況になっているの……? 私は目の前に起きている現状を理解できなかった。どうして、バルサーク・ウィンドゥ大公殿下がこの客間に居るんだろうか。それからローザ姉さまが彼の隣にw座っていることが理解できない……。

 それから、なぜバーンは彼らをさも当然のように応接室に案内してしているの? 意味が分からないことだらけだった……。

「応接室に招いてくれたことは感謝する、リシェル嬢」

「い、いえ……当然のことだと思っていますので……」


 とりあえずはバルサーク様の言葉に賛同してみる……余計な発言はバルサーク様の怒りを買い、得策ではないと思えたから。それから……私の許可を取らずしてバルサーク様とローザ姉さまを応接室に招いたのは、執事のバーンだ。

 私はバーンに対して、不信感を募らせていた……一体、どういうつもりなの?


「さて……こうして、応接室に招かれたことで、より話しやすくはなったな。そうは思わないか? ローザ嬢?」

「左様でございますね、バルサーク様。おっしゃる通りかと存じます」


 なぜかしら……バルサーク様と普通に話しているローザ姉さまが異様に腹立たしいわ……。どういう経緯で二人は知り合ったのよ? 大公殿下と伯爵令嬢……その時点で身分的にもおかしいはず。おかしい……絶対におかしいわ!


「さて、リシェル嬢よ……話の本題に入ろうか」

「は、はい……。バルサーク様、話の本題とは……?」


「それからの説明が必要か……」


 私の問いかけにバルサーク様は、やれやれといった様子を見せながら溜息を付いていた。バルサーク様からすれば、そんなことも分からないのか? という気持ちなのかもしれないけど……流石にそれは失礼じゃないだろうか?
私は仮にもデナン・モルドレート様の婚約者なわけだし。


「本題と言うのは、リシェル嬢がデナン・モルドレートの家名を使い、ローザ嬢の屋敷を強引に自分の物にしたことについてだ」

「えっ……それは……」


 やっぱりそのことだったか……まずい。なんて答えればいいか見当も付かないわ。とにかく私は、当たり障りのない言葉で誤魔化すことにした。


「いえ……この屋敷がリシェルハウスになったのは、ローザ姉さまとの協議の結果ですし……」


 完全に嘘ではあるけれど、私はローザ姉さまに睨みを利かせて言った。否定したら、後でどうなるか分かるわよね? と心の中で思いながら。

「本当なのか、ローザ嬢?」

「いえ、そんな事実はありません。私はリシェルに強引に追い出されました……」

 ローザ姉さまはビックリするくらいあっさりと私の言葉を否定した。こんなことがあっていいわけ? 何、その態度は……。


「バーン、リシェル・クラウド伯爵令嬢の粗相については記録しているか?」

「はい、バルサーク様。彼女の問題のある言動については、全て記録済みでございます」

「え……? なにそれ……?」


 デナン様の執事の一人であるはずのバーンが、バルサーク様と親しく話していた。しかも、私の悪事を記録していた……? ちょっと待ってよ……それだと私は、とんでもない人物を信用していたことになるの……?
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