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突然の婚約破棄はその日、私の婚約者の屋敷で行われた。
「ど、どういうことでしょうか……デナン様!?」
「聞こえなかったか、ローザ? お前とは婚約破棄だと、言ったのだ」
デナン・モルドレード侯爵様。私の婚約者であり、ラタナトイ王国でも名家の1つとされている家系だ。そんなデナン様から「婚約破棄」などという言葉が出たことに、私は驚きを隠せなかった。
信じられない……とは、まさにこういうことを言うのだろう。
「姉さま、いい加減認めたらどうですか? もう分かってますよね?」
「リシェル……」
デナン様の腕を組んでいる令嬢が1人。美しい容姿と、狡猾そうな瞳を併せ持つ人物……私の妹のリシェル・クラウドであった。クラウド伯爵家系の次女に当たる人物であり、今年で17歳になる。ちなみには私は19歳だ。
「どうして、リシェルがここに居るの?」
「え? そんなことも言わないといけないんですか? これだから、姉さまはお堅いお馬鹿さんって言われるんですよ! ねえ、デナン様?」
「はっはっはっ、まったくその通りだな」
リシェルの瞳は完全に私を見下していた、デナン様も私を見ながら笑っている。二人とも、下手をすれば、私のことを人間とすら認識していないかもしれない。それほどに、大きな屈辱がのしかかって来る。
「そんなわけでだ、ローザ。お前はもう必要ない……私は妹のリシェルと婚約するからな。伯爵自身も納得するしかないだろうし、伝えておいてくれるか?」
「……わ、私が納得できません! ど、どうしてこんなに酷いことを……!」
「お前が納得するしないなど、どうでも良いことだ」
「そ、そんな……!」
「だってさ、姉さま。あはははは、本当に滑稽ね!」
こんなに簡単に婚約破棄が成立するなんて信じられない。いくら侯爵家と伯爵家の差があるとはいっても……これも全て、リシェルが裏でデナン様を誘惑したことは間違いないのだろうけど。
リシェルは昔から自分の欲しいものを半強制的に手に入れて来た。貴族としての力や、自らの容姿を利用して……。そして、今回は私の婚約者であるデナン様を……こんなこと、許されるはずがない。
「デナン様! お願いいたします! どうかお考え直しを……私との婚約を考え直してください!」
「うるさいっ!! お前はもう用なしだと言っただろうが! すぐにも立ち去れ! それとも衛兵たちの力で強制的に追い出されたいか!」
「で、デナン様……!」
「それでは、姉さま。また会いましょう……うふふっ」
私がその時に見た光景はリシェルの勝ち誇った微笑みだった……その微笑みは強く脳裏に焼き付けられたけど、その後どうやって帰ったのかは、記憶が飛んでいた。それほどに衝撃的だったということだ。
「ど、どういうことでしょうか……デナン様!?」
「聞こえなかったか、ローザ? お前とは婚約破棄だと、言ったのだ」
デナン・モルドレード侯爵様。私の婚約者であり、ラタナトイ王国でも名家の1つとされている家系だ。そんなデナン様から「婚約破棄」などという言葉が出たことに、私は驚きを隠せなかった。
信じられない……とは、まさにこういうことを言うのだろう。
「姉さま、いい加減認めたらどうですか? もう分かってますよね?」
「リシェル……」
デナン様の腕を組んでいる令嬢が1人。美しい容姿と、狡猾そうな瞳を併せ持つ人物……私の妹のリシェル・クラウドであった。クラウド伯爵家系の次女に当たる人物であり、今年で17歳になる。ちなみには私は19歳だ。
「どうして、リシェルがここに居るの?」
「え? そんなことも言わないといけないんですか? これだから、姉さまはお堅いお馬鹿さんって言われるんですよ! ねえ、デナン様?」
「はっはっはっ、まったくその通りだな」
リシェルの瞳は完全に私を見下していた、デナン様も私を見ながら笑っている。二人とも、下手をすれば、私のことを人間とすら認識していないかもしれない。それほどに、大きな屈辱がのしかかって来る。
「そんなわけでだ、ローザ。お前はもう必要ない……私は妹のリシェルと婚約するからな。伯爵自身も納得するしかないだろうし、伝えておいてくれるか?」
「……わ、私が納得できません! ど、どうしてこんなに酷いことを……!」
「お前が納得するしないなど、どうでも良いことだ」
「そ、そんな……!」
「だってさ、姉さま。あはははは、本当に滑稽ね!」
こんなに簡単に婚約破棄が成立するなんて信じられない。いくら侯爵家と伯爵家の差があるとはいっても……これも全て、リシェルが裏でデナン様を誘惑したことは間違いないのだろうけど。
リシェルは昔から自分の欲しいものを半強制的に手に入れて来た。貴族としての力や、自らの容姿を利用して……。そして、今回は私の婚約者であるデナン様を……こんなこと、許されるはずがない。
「デナン様! お願いいたします! どうかお考え直しを……私との婚約を考え直してください!」
「うるさいっ!! お前はもう用なしだと言っただろうが! すぐにも立ち去れ! それとも衛兵たちの力で強制的に追い出されたいか!」
「で、デナン様……!」
「それでは、姉さま。また会いましょう……うふふっ」
私がその時に見た光景はリシェルの勝ち誇った微笑みだった……その微笑みは強く脳裏に焼き付けられたけど、その後どうやって帰ったのかは、記憶が飛んでいた。それほどに衝撃的だったということだ。
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