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7話 

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「アーズール王国のメリアス王女殿下側から開催を求めて来るとはな。なかなか興味深い話だ」

「費用も王女殿下側が支払っているとか……」

「そうだな、アニエ嬢。父上からもそのように伺っている」


 私はネレイド河川事業の成功を祝う2回目のパーティーに呼び出されていた。1回目はヴェノム様と出席したけれど……今回はなんとクリス・トラシェル王子殿下と出席している。ハッキリ言って自分の現状を理解出来ていない。こんなことが現実に起こるなんて。

 ある意味では婚約破棄以上の衝撃と言えるかもしれないわね。私も侯爵令嬢という立場上、上位の貴族との交流があったりするわけだけれど……流石に第一王子殿下は上位過ぎる存在だわ。


「大丈夫か、アニエ嬢? かなり緊張しているようだが……」

「だ、大丈夫です。クリス様……はい。ご心配ありがとうございます」

「そうか? 特に体調に問題ないのなら安心なんだが」


 クリス様は自分が近くにいるから、というところを失念されているようね。それだけ普通に付き合ってくれということなのだろうけれど……少し難しいわ。


「既にメリアス・アーズール王女殿下は会場に来ているようだな」

「そうですね……美しいですわ」

「ふむ、確かに美しいか」


 ? クリス様はしばらく無言になっていた。彼女に見惚れているのかと思ったけれど、どうやらそうではないらしい。先ほどから私とメリアス王女殿下とを交互に見ていたから。


「外見の美しさで言えば、君も負けていないんじゃないか?」

「えっ? クリス様……!?」


 予想外のことを言われて私は驚いてしまった。同時に顔が紅潮していくのを感じる。


「そ、そんなことは……クリス様、ご冗談を……その……」

「いや、冗談なんかじゃないさ。本当に美しいと思っているよ」


 メリアス王女殿下はその美貌でも有名なお方だ。両国の架け橋などと呼ばれていたりもするし。それだけに、数々の貴族から狙われているらしい。彼女をゲットできれば、自分達の家系の名が上がると考えている人が多いのだそうだ。

「ふ~む。私の好みが入ってしまうが……私はアニエ嬢の方が好きかもしれないな」

「クリス様……!」


 私の顔の紅潮は限界を迎えていた。これ以上は大変なことになってしまう。


「まあ、本気ではあるが冗談半分に聞いておいてくれ。せっかくのパーティーだし、楽しもうじゃないか」

「は、はい……クリス様」


 このお方は気持ちの切り替えが非常に早いようだわ。私はまだドキドキしているのに……。でも、彼の言う通りだ。せっかくパーティーに呼ばれたのだから楽しまなければ。
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