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10話

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「こ、これは……ハリア王子、レックス王子まで……ようこそいらっしゃいました」

「これは丁寧にありがとうございます、エグゼ殿、ウィング殿」

「て、テレサまでいらっしゃるとは……」

「ウィング様、お久しぶりですね」


 あれから1週間、私達はアラート家の屋敷を訪問していた。お父様は参加できなかったけれど、ハリア王子とレックス王子は参加している。このあまりの強豪ぶりにエグゼもウィングもたじたじになっていた。とくにウィングの表情は面白かった。


「ど、どうしたんですか、急に……私の顔になにか付いてますか?」

「いえ、何も付いていませんよ」


 こんな会話をしたのだけれど、急に敬語になっていたのがおかしかった。

「ほ、本日のご用件はなんでしょうか? いきなり王子殿下が二人もお越しになるというのは……異常事態が起きたと考えても良いのでしょうか?」

「エグゼ殿は知らないのか?」

「レックス様、それはどういう意味でしょうか?」

「そのままの意味だ! テレサに対して酷い仕打ちをしただろう!」

「て、テレサ嬢に……しかし、それは……」


 レックス王子の睨みについつい後退するエグゼだった。

「まさかとは思うが、エグゼ殿。あのような噂を真に受けているわけではないだろうな?」

「し、しかし……レックス王子。息子は全てが真実だと……そのように言っています。子を信じない親はいないでしょう?」

「なんということだ、エグゼ殿。あなたが以前、進めていた事業は非常に素晴らしいものだったのに……」

「残念ですね」


 レックス様もハリア様もただただ呆れているようだった。息子であるウィングの言葉を鵜呑みにした罰。それはこれから下るのだから……。
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