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8話
しおりを挟む「テレサ嬢、久しぶりですね」
「テレサ! 元気だったか?」
「ハリア様、レックス様……お久しぶりでございます」
マーク様が屋敷を訪ねて来て1週間、ハリア・クレセント第二王子とレックス・クレセント第三王子の二人が、私の屋敷へと来ていた。信じられない光景だ……年齢的には私と近い二人だけれど、将来の国王候補でもあるお方なのだから。
ちなみにハリア様は私と話す時は敬語で話される。逆にレックス様は普通に会話をされる。性格的にも対極的な二人だった。
「ようこそいらっしゃいました」
「デトロイ様もお元気そうで何よりです」
「ありがとうございます、ハリア様」
私達は今回は応接室ではなくて、お父様の部屋に二人を案内した。大きな意味はないけれど、その方が良いと判断したからだ。
「さてさて、ご用件の方ですが……」
「用件はテレサ嬢のことですよ」
「凄まじい噂が流れているな! あれは一体、なんなんだ?」
レックス様はかなり怒っているようだった。
「傲慢、浮気癖、金遣いが荒い、わがままなどなど……この世の全ての悪口を乗せたような噂ですね」
「はい、ハリア様。当然のことながら真実ではありません」
「当たり前だろう? テレサのことを知っているからこそ、余計に腹立たしいわ!」
「あ、そうですね……」
「レックス、少し落ち着きなさい。テレサ嬢も驚いている」
「む……済まない、兄上」
ハリア様もレックス様も私のことを信用してくれている。それはとても嬉しいことであり、同時に非常に頼もしい存在でもあった。
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