7 / 12
7話
しおりを挟む「デトロイ様、テレサ様……お久しぶりでございます」
「ええ、マーク様。お久しぶりです」
「マーク殿、お元気そうで」
「はい」
私とお父様はマーク様を応接室に通していた。彼は王子殿下の護衛をしているマーク・エッセンバル様。位としては伯爵令息に該当している。伯爵家でありながら、王子様の護衛も行っているすごい方だった。急に来た理由はまだ聞いていないけれど……。一体なんなんだろうか。
「本日は一体、どうされたのですか?」
「はい、デトロイ様。本日の用件はハリア・クレセント王子殿下とレックス・クレセント王子殿下に使わされたという形になります」
「ハリア王子とレックス王子に使わされた? それって……」
驚きのことだった。まさかハリア王子とレックス王子の名前が出て来るなんて思ってなかったから……。
「ええ、最近の噂に関連することなのですが、ほら、テレサ様の……」
「あ、そのことですか」
マーク様はやはり知っている様子だった。ということは、ハリア王子とレックス王子にも知られているのだろうか。
「恥ずかしい話です……」
「テレサ様のことを知っている私としては信じられません。ハリア王子とレックス王子も同じ気持ちだとおっしゃっていました。あんな噂はあり得ない」
「嬉しいことです。ありがとうございます」
マーク様や王子殿下達は私を信じてくれているようだ。他の貴族達とは違う、ということだろうか。
「近い内にハリア王子とレックス王子がこの屋敷に来られます。それは構いませんか?」
「なんと……! 王子殿下が来られる? そ、それは構いませんが……はい」
「ありがとうございます、デトロイ様」
嘘でしょ……? 王子殿下が二人もミリオン家に来るなんて……信じられないことだった。でも、味方が来てくれるのは心強いかもしれないわね。
3
お気に入りに追加
292
あなたにおすすめの小説
婚約破棄されたおっとり令嬢は「実験成功」とほくそ笑む
柴野
恋愛
おっとりしている――つまり気の利かない頭の鈍い奴と有名な令嬢イダイア。
周囲からどれだけ罵られようとも笑顔でいる様を皆が怖がり、誰も寄り付かなくなっていたところ、彼女は婚約者であった王太子に「真実の愛を見つけたから気味の悪いお前のような女はもういらん!」と言われて婚約破棄されてしまう。
しかしそれを受けた彼女は悲しむでも困惑するでもなく、一人ほくそ笑んだ。
「実験成功、ですわねぇ」
イダイアは静かに呟き、そして哀れなる王太子に真実を教え始めるのだった。
※こちらの作品は小説家になろうにも重複投稿しています。
悪役令嬢は、いつでも婚約破棄を受け付けている。
ao_narou
恋愛
自身の愛する婚約者――ソレイル・ディ・ア・ユースリアと平民の美少女ナナリーの密会を知ってしまった悪役令嬢――エリザベス・ディ・カディアスは、自身の思いに蓋をしてソレイルのため「わたくしはいつでも、あなたからの婚約破棄をお受けいたしますわ」と言葉にする。
その度に困惑を隠せないソレイルはエリザベスの真意に気付くのか……また、ナナリーとの浮気の真相は……。
ちょっとだけ変わった悪役令嬢の恋物語です。
婚約破棄されたのたが、兄上がチートでツラい。
藤宮
恋愛
「ローズ。貴様のティルナシア・カーターに対する数々の嫌がらせは既に明白。そのようなことをするものを国母と迎え入れるわけにはいかぬ。よってここにアロー皇国皇子イヴァン・カイ・アローとローザリア公爵家ローズ・ロレーヌ・ローザリアの婚約を破棄する。そして、私、アロー皇国第二皇子イヴァン・カイ・アローは真に王妃に相応しき、このカーター男爵家令嬢、ティルナシア・カーターとの婚約を宣言する」
婚約破棄モノ実験中。名前は使い回しで←
うっかり2年ほど放置していた事実に、今驚愕。
【短編完結】婚約破棄なら私の呪いを解いてからにしてください
未知香
恋愛
婚約破棄を告げられたミレーナは、冷静にそれを受け入れた。
「ただ、正式な婚約破棄は呪いを解いてからにしてもらえますか」
婚約破棄から始まる自由と新たな恋の予感を手に入れる話。
全4話で短いお話です!
あぁ、もう!婚約破棄された騎士がそばにいるからって、聖女にしないでください!
gacchi
恋愛
地味で目立たなかった学園生活も終わり、これからは魔術師学校の講師として人生楽しもう!と思った卒業を祝うパーティ。同じ学年だったフレッド王子が公爵令嬢に婚約破棄を言い渡し、側近騎士ユリアスの婚約者を奪った!?どこにでも馬鹿王子っているんだな…かわいそうと思ったら、ユリアスが私の生徒として魔術師学校に入学してきた!?
少し先の未来が見える侯爵令嬢〜婚約破棄されたはずなのに、いつの間にか王太子様に溺愛されてしまいました。
ウマノホネ
恋愛
侯爵令嬢ユリア・ローレンツは、まさに婚約破棄されようとしていた。しかし、彼女はすでにわかっていた。自分がこれから婚約破棄を宣告されることを。
なぜなら、彼女は少し先の未来をみることができるから。
妹が仕掛けた冤罪により皆から嫌われ、婚約破棄されてしまったユリア。
しかし、全てを諦めて無気力になっていた彼女は、王国一の美青年レオンハルト王太子の命を助けることによって、運命が激変してしまう。
この話は、災難続きでちょっと人生を諦めていた彼女が、一つの出来事をきっかけで、クールだったはずの王太子にいつの間にか溺愛されてしまうというお話です。
*小説家になろう様からの転載です。
婚約破棄されました。あとは知りません
天羽 尤
恋愛
聖ラクレット皇国は1000年の建国の時を迎えていた。
皇国はユーロ教という宗教を国教としており、ユーロ教は魔力含有量を特に秀でた者を巫女として、唯一神であるユーロの従者として大切に扱っていた。
聖ラクレット王国 第一子 クズレットは婚約発表の席でとんでもない事を告げたのだった。
「ラクレット王国 王太子 クズレットの名の下に 巫女:アコク レイン を国外追放とし、婚約を破棄する」
その時…
----------------------
初めての婚約破棄ざまぁものです。
---------------------------
お気に入り登録200突破ありがとうございます。
-------------------------------
【著作者:天羽尤】【無断転載禁止】【以下のサイトでのみ掲載を認めます。これ以外は無断転載です〔小説家になろう/カクヨム/アルファポリス/マグネット〕】
【完結】狸と下級聖女~行方不明中の第三王子なら、私の隣で寝てますよ?~
鬼ヶ咲あちたん
恋愛
下級聖女ジゼッラは、空腹で死にかけていた狸を拾う。禍々しいオーラをまとっていたので聖力で払ってやると、その狸は行方不明中の第三王子ステファノだと名乗った。ステファノにかけられた呪いを解くため、ジゼッラは手を尽くし、やがて二人の間には絆が生まれるが…果たしてステファノは人間に戻れるのだろうか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる