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7話 王家に呼ばれて その2
しおりを挟む「コーデリア嬢の家族……アレイオン伯爵達の件についても、シムルグからは聞いている」
「は、はい……エルグ国王陛下」
「本当に……大変だったな」
エルグ国王陛下は神妙な顔つきで私を見ていた。とても心配してくれているようだ。
「そんな……勿体ないお言葉でございます、陛下」
「ここは非公式の場だ、もっと甘えてくれても良いのだぞ?」
「そ、それはとても光栄なのですが……甘えるというのは……」
「お父様、コーデリアが困っていますよ」
「む? そうか? まあいい、話を戻そうか」
なんだか微笑ましい会話に映ってしまった。血の繋がりのないはずの二人の方が、よっぽど私を心配してくれているのだから。私も陛下に甘えることが出来たら、どれだけ心が救われるだろうか。むしろ本音では甘えさせてもらいたい……本当の家族には甘えることなんて出来ないのだから。
「ストライド公爵、アレイオン伯爵の態度は明らかに常軌を逸している。コーデリア嬢の為にも少し、話を聞く必要がありそうだな」
「話……でございますか?」
「ああ、話だ。シムルグを向かわせよう」
「シムルグ様をですか……それはまさか……」
「うむ、アレイオン家の屋敷にという意味だ。コーデリア嬢さえ良ければ、すぐにでも……」
何という話の早さだろうか……陛下は私の状況を察してくれて、最善の行動を考えてくれている。私はそれが嬉しくて堪らなかった。
「はい! 是非、お願いいたします!」
「よし、決まりだな」
「コーデリア、私も一緒に行っても良いかしら? 婚約破棄されたばかりのあなたを叱責するなんて、許せないもの」
「アーシャ様……はい、是非お越しください。ありがとうございます」
私はアーシャ様にも頷いて答えた。シムルグ様だけでなくアーシャ様も来てくれる……これは私にとって、大きな追い風になっているような気がした。王家の方々には本当に感謝だ。
------------------------------
ヨーゼフ・アレイオン伯爵視点……。
「はあ……それにしても、ミストマ様との婚約がなくなるとは、本当に残念だ」
「本当ですね、父上」
「ブラウン、お前だけが頼りだぞ? アレイオン家の当主の名に恥じないように、しっかりとした働きを期待している」
「お任せください、父上。役立たずのコーデリアなどとは違い、私と婚約者のイスカとの関係は良好ですので……」
「うむ、それならば問題はない」
イスカ嬢は隣国の伯爵令嬢に当たる。隣国との関係強化という意味でもブラウンとの婚約は重要だった。婚約破棄をされたコーデリアの存在は極力隠さなくてはならない。本当に修道院に送ってしまうのが手っ取り早いな。公爵家との縁談を反故にする奴など、私の家系に必要ないからな。
「コーデリアはもう必要ない。いや、最初からあんな娘は居なかったのだ」
「その通りですね、父上。私に妹は存在しません」
「うむ、そういうことだな……」
非常に心苦しいが、これがアレイオン家の考えだ。今日も奴は出掛けているようだしな……まったく、自分の立場を分かっているのか? のんびりと散歩している暇があったら、新しい縁談の1つでも確定させて来て欲しいものだ。
私のイライラは収まることはなかった……。
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