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3話

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 私とグランド様の婚約破棄は成立してしまった。

 この事実はお父様達を落胆させたのは言うまでもない。でも、私はお父様たちにはもちろん、お姉さまにも責められることはなかった。本来であれば、フリード家の中でも相当な不祥事になることなはずなのに。


「ランゼ、決して自分のせいだなんて思わないこと。いいわね? お父様も望んでいないわ」

「あ、ありがとうございます。シルフィ姉さま……」

 シルフィ姉さまには感謝しか出来ない。お父様と一緒に私の婚約破棄の手続きを引き受けてくれたのだから。ハイルズ王家の報告なども含めて。

「グランド様は慰謝料を支払うことを容認していたけれど……そんなこと当たり前なのよね」

「そうですね……姉さま」

「やけにドヤ顔していたのが腹が立ってしまったわ。いくら侯爵令息とはいえ……失礼過ぎるし」

「あはは……グランド様らしいですね」


 シルフィ姉さまに行った態度は容易に想像が出来る。そんな人が私の婚約者だった……なんだか恥ずかしくて、今にもベッドに顔を埋めたい気分だわ。


「でもまあ、あんな卑劣な男にランゼが取られなくて本当に良かったわ」

「姉さま……」

「あなたは悲しいかもしれないけれど、グランド様のことなんてすぐに忘れた方がいいわね」

「はい、私も出来ればすぐに忘れたいです……」


 忘れたいのはシルフィ姉さまも同じだろうけれど、私は当事者なのでそんなに簡単に忘れられるわけではなかった。なんだかんだ言っても、彼とは半年間もの婚約関係にあったのだし。


「簡単に忘れることが出来ないのは分かるわ。でも気を紛らわすことくらいは出来るのではなくて?」

「気を紛らわせることですか? 申し訳ございません、すぐには思い当たらないんですが……」

「簡単なことよ。誰か素敵なお方を見繕う為にもパーティーに出席すればいいの」

「あ、なるほど……パーティーですか」


 確かに気を紛らわせるには最適かもしれないわね。私は婚約破棄をされた身なのだし。別に素敵な方を探したとしても問題はないわ。


「私も一緒に行ってあげるから」

「あ、ありがとうございます……シルフィ姉さま」


 姉さまの言葉はありがたかった。やっぱり一人で行くのは気が重いしね。


「私達は巷では美人姉妹と言われているらしいわよ? パーティーに出席して殿方のハートを射止めましょう」

「あはは……姉さま……」


 姉さまの言葉はとても面白かった。冗談も入っているのだろうけれど……そんな噂流れていたのね。まあ、グランド様も私を身体で繋ぎ止めようとしていたし……そういうことなのかしら? まあ、いまさらどうでも良いけれどね。

 とりあえずパーティーへの出席……気を取り直さなくちゃ。
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