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13話 アミルのお店 ①

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「でさ、アミル……」

「はい、なんですか? エメラダ……?」


 私は正直、ここまで手伝ってくれたアミルに形のあるお礼をしたいと考えていた。まだまだ、店を始めて間もないし、カイル王子殿下が居なかったら、ここまでの繁盛はしてなかったと思う。加えてアミルが居なかったら、そもそもお店を回せていたかどうかも怪しい……。


 アミルが紹介してくれた、墓地近くの商店……売っているのが薬草などだけに、冒険者が買いに来るケースが多いのは幸いしたと思う。冒険者は基本的に、幽霊程度では怖がらないだろうから。ダンジョンではゾンビとかも出現するんだしね……。


「やっぱりさ、何か形のある物でお礼をしたいんだけれど……アミルが好きなのって、宝石を散りばめたアクセサリーとかだっけ?」


 ポールダンスを本業にしているアミルだけに、美容やオシャレには人一倍気を遣っている。私は彼女に何かアクセサリーを買ってあげたいと考えていた。まだ、そこまで高額な物をプレゼントするのは難しいけれど。


「気持ちは嬉しいですが……エメラダにアクセサリーをプレゼントしてもらうのは、違う気がいたしますわ」

「でも……」


 それだと、どうしても私の気分が晴れない。アクセサリーを渡したからと言って、アミルの好意に報いているとは言えないけれど、あくまでも気持ちとしてプレゼントをしたいと考えている。でも、アミルは首を横に振っていた。彼女はやはり、乗り気ではないようだ……。


「アクセサリーはいりませんわ。代わりに……チケットを進呈してもよろしくて?」

「チケット? 何の?」


 アミルは笑顔を崩さないまま、私にチケットを数枚手渡した。それは、アミルの働くお店の入場券だった。


「よろしければ、私のお店に来ていただけませんこと? おそらくは初めてでしょう?」

「あ、そういえば、行ったことなかったっけ……」


 アミルのお店に入店した記憶はない……それどころか、夜の街で遊んだ記憶もないけれど。これはアミルなりの経験しろっていう示しなのかしら?


「可能であれば、王子殿下もお誘いいただけますか? あの方にもお世話になったでしょう?」

「ええ~~~!? カイル王子殿下を……?」


 カイル王子殿下であれば、ポールダンスという職種に偏見などは持っていないとは思うけど……そもそも、私が誘うことなんて可能なのかしら……? 入口付近で聞いていたのか、見張りの人たちが大きく咳ばらいをしていたけれど……。


 なんだかこちらの様子を伺っている辺り、少なくとも見張りの人たちは誘えば来てくれそう。カイル王子殿下をお誘いする……まあ、あの方にもお世話になっているし、ダメ元で誘ってみようかしら? 面白そうだしね!
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