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8話 会合 その2
しおりを挟むなんだろうこの緊張感は……今までに味わったことのない種類と言えば良いのかしら……。
ええと、リードフ・ハルベルト様とカルカロフ・フォルブース様……さらにはその子息のスタイン様と息女のマーシオ様。この4人が私とセシル様の前に座っていた。少し、ややこしい気がするけれど、文句を言ってられない状況ではある。
「よくお越しいただいた。礼を言う」
「ありがとうございます、セシル王太子殿下」
4人とも深々と頭を下げていた。スタイン様とマーシオ様は、私の姿を見て動揺していたようだけれど、何かを言うことはなかった。流石に父親が隣に居るし、私の隣にはセシル様が居るしね……。
「王太子殿下、1つ質問をさせていただいてもよろしいでしょうか?」
「ああ、なんだろうか?」
セシル様に声を掛けたのはリードフ・ハルベルト公爵だ。流石に北の国境線を含む大地を掌握しているだけあって、王太子殿下を前にしても落ち着いているわね。スタイン様とは大違いだわ。
「国王陛下はいらっしゃらないのでしょうか?」
「先に伝えた通り、父上は別件の用事で出払っている。今回は不在ということになるな」
「左様でございますか……」
リードフ様はどことなく不満気な様子だった。もしかすると、自分を呼び出しておいて、国王陛下が相対しないとは何事か、とでも思っているのかもしれない。私がスタイン様と婚約した時も上から目線の態度だったし。
「カルカロフ殿は何か言いたいことはあるか?」
「いえ……特にございません、王太子殿下。マーシオも何もないな?」
「あ、お父様……発言のご許可をいただいてもよろしいのでしょうか?」
「ん? 何かあるのか?」
「はい……そちらにいらっしゃる、ネフィラ様にございまして……」
えっ、私……? しかも、マーシオ様から?
「な、なんでしょうか……?」
「ええと……この度は本当に申し訳ございませんでした。スタイン令息を奪ってしまうような形になってしまって……!」
「え、ええ……!?」
マーシオ様からの謝罪の言葉に私は驚きを隠せなかった。周囲も驚いている様子だけれど、一番驚いているのは私だと思う。マズイ……なんて返せば良いのか分からないわ。
この場合は怒った方が良いのかしら? いや、そんなわけはないけれど、非常に返答の困るタイミングでの謝罪に私は困ってしまっていた。
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