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11話

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「なに……シーザー殿が……?」


 私は本日もジェームズの新たな屋敷を訪れていた。別に変な下心があるとかではない。妹のレイナについて、ジェームズに相談しに来ている。


「ええ、レイナとシーザー様をくっつけたのは私なんだけれど……」

「君はとてつもないことをするな。その手腕は素晴らしいよ……」

「あの……もしかして、引いてるのかしら? 私だってしたくてしたわけじゃないわよ。レイナにはすごく悩まされてきたの」


 私はシーザー様とレイナの婚約の真相について話していた。ペラペラと話す内容ではないけれど、ジェームズには話しておいた方が良いと思えたから。

「ああ、そうだろうな。私達がよく遊んでいた時も……まあ、色々あったからな」

「ええ……」

 あの当時は子供のいたずら、わがままで許される内容だった。それでも、レイナのわがままは酷かったけれど。私やジェームスから色々な装飾品を取ったりは普通なレベルで、彼が大切にしていたおばあ様の形見まで欲しがる始末……流石にそのときはお父様が叱ってくれたけれど。

 でも、基本的には可愛い次女であることに変わらない……貴族としては非常に信頼できるお父様やお母様は、レイナを甘やかしてしまった。俗にいう親バカという事態だ。

「それで……レイナはシーザー様を欲しがったの。彼女の好みだったのでしょうね」

「欲しがったのか……なんだか物扱いだな」

「そうかもしれないわね。シーザー様は高圧的なお方だったし、少し自由の身になりたいと考えてレイナに譲ることにしたの。まさか、こんなに上手くいくとは思わなかったけれど」

「そうだったのか。それで、問題というのはシーザー殿に関してだな?」

「ええ、その通りよ」


 さて、本題はここからだ。私は隣で舌を出して甘えてくるジョセフを撫でながら話した。

「レイナが……最近、シーザー様の屋敷から戻らないの。全くの音沙汰なしだなんて、今までになかったことよ」

「おいおい、物騒な話だな」

「ええ……でも、シーザー様の性格を考えると。私も以前までは後悔しても知らない、というスタンスだったのだけれど……」

 後悔したところで、もう遅い。そう考えることは簡単だけれど、今回ばかりは冗談では済まない可能性がある。私はその点を心配していた。

「よしわかった。一度、シーザー殿の屋敷に行ってみよう。私と一緒ならば特に問題はないだろう?」

「ありがとう、ジェームズ。やっぱり頼りになるわ」

「まあ、君のためだからな」

「あ、ありがとう……」


 なんだか照れてしまう発言を聞いた。と、とにかくまずはシーザー様の屋敷に向かうことね! よし、気持ちを切り替えなくちゃ!
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